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梅村聡・参議院議員の医療政策

2012年01月17日(火)

今週末は、高校と医局の後輩で参議院議員である梅村聡氏(医師)との共著、
「平成に学ぶ関寛斎の医の魂」の出版記念パーテイが今週末に大阪で開催される。
梅村聡氏をまだ知らない方のために12月11日の京都腑医師会での講演録を紹介したい。
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「第179回臨時国会の報告とこれからの医療政策」

                       参議院議員・内科医師

                              梅村 聡 氏

 あらためまして、こんばんは。ただいまご紹介いただきました、参議院議員の梅村聡です。

 まずは森先生、今日はこのようなかたちでお招きをいただきまして、ありがとうございます。先ほどから、久山先生に座長をしていただいて、城守先生が司会、ごあいさつが安達先生ということで、私にしてみればホームグラウンドに帰ってきたような気持ちになっているのですが、今日は京都でお話をさせていただくことができて、本当にうれしく思っております。

 若干自己紹介も兼ねて、これまでの私の取り組みについて、お話をさせていただきたいと思います。

 私の選挙区は大阪府選挙区です。参議院議員ですので、京都府で言えば福山哲郎先生、あるいは松井孝治先生と同じく選挙区は全県区になります。私は生まれも育ちも、学校も仕事も、実は大阪府から、これまで一歩も出たことがありません。堺市で生まれまして、その後、結婚するまでの30年間は大阪市内の十三という町で育ちまして、いまは大阪府池田市に住んでいます。ちょうど先月、大阪府知事選挙がありましたが、あのときの反維新の候補者が、私が住んでいる池田市の市長さんの倉田さんという方でした。


 中学、高校は、大阪教育大学附属池田中学、高校を卒業しまして、高校の先輩には民主党では岡田克也さん、自民党には丸川珠代さんという本当に個性豊かな先輩方がおられます。

 そして、高校卒業後、大阪大学医学部に進学をしました。私の母方の家系は、非常に濃い糖尿病家系でして、当時、大阪大学では松澤佑次先生がおられました。松澤先生のご専門はメタボリックシンドロームなのですが、「同じ肥満でも良い肥満と悪い肥満がある」と授業でおっしゃられるのを聞いて、これは非常に面白いなと思って、私は松澤先生が教授をつとめていた第二内科に入局をしました。

 私自身はもともと勤務医の立場でして、大阪府箕面市にある市立病院ですとか、あるいは大学病院で勤務医をしておりました。

 私がどうして政治の世界に来たかをお話しします。私が当選する前の参議院大阪選挙区の参議院議員は、知名度はあまりないかもしれませんが、民主党では山本孝史さんでした。2007年に「がん対策基本法」という法律が施行されましたが、実はこの「がん対策基本法」は超党派の取り組みでできたのです。

 
 山本孝史先生は、当初はこの個別の病気に対して基本法をつくることには諸手を挙げて賛成ではなかったとお聞きしています。ところが、2005年の暮れにご自身が末期のがんであるということが判明しました。胸腺がんだったのですが、それから、がん患者として「がん対策基本法」に取り組まれた議員の方でした。

 また一方で、この2006年というのは、福島県立大野病院で産婦人科のドクターが業務上過失致死傷罪で逮捕された年です。つまり、医療行為そのものが刑事罰の対象になるという非常に大きな事件、われわれの医療界では事件と呼びますけども、その案件があった年が2006年でした。

 その時に、私はある議員の方を通じて、この案件や現在の医療現場についてどう思うのか話をしてほしいと言われました。当時、私は勤務医でしたから、法律の裏付けもなく、普段感じていたことをありのままにお話ししました。少なくとも医療行為に過失致死傷罪を適用すれば、今後の医療というのは非常に危うくなるのではないかというお話をしました。

 ところが、いまから6年ぐらい前は、政治の世界では、梅村さんの意見には違和感を持つというのが大勢派でした。つまり、医師という仕事はプロフェッショナルなんだから、結果責任として過失致死傷罪で問われても仕方がないのではないかと。実はこれが当時、いまから6年前の政治家の中での、いわゆる平均的な考えだったと思います。

 私は、これはもう非常に困ったなと。もっと言えば、医療の世界と立法府の間に共通言語がないわけです。これは困ったなと正直に思いました。そのころに、ちょうど私に声がかかったのです。山本孝史さんが末期のがんで次の選挙には出られないので、梅村さんが後釜で参議院大阪府選挙区から出てくれないかと。

 私は逃げまくりました。嫁さんのおなかに子どもがいるから、そんなことを言ったら流産するかもしれないとか、母親が反対していて暴れまくっているとか、いろいろなこと言いながら断り続けました。

 その頃に、山本さんがおっしゃったことは、梅村さんと私は考え方が必ずしも一緒ではないと。しかしそのあとにこう言われました。「国会で落ち着いて医療や年金など、社会保障を議論する国会議員が少なすぎる」と。

 
 これは、いまの2011年を本当によく表していると思うのですが、いまの国会議員、特に衆議院議員は小選挙区制度です。小選挙区制度というのはどういう制度かと言うと、10%の浮動票が右から左に動くだけで片や300議席、片や100議席になる。ちょうど郵政選挙と、それから2009年の政権交代の選挙を比べれば、日本全体で800万票しか動いていないのです。「小泉さん、素敵」と言ったときの800万票が、「鳩山さん、変えて」という800万票に動いただけで、片や300議席、片や100議席になると。

 山本さんがおっしゃった言葉は「いまの国会の環境はじっくり腰を据えて、政策を議論できる場ではないんですよ。梅村さんは、当選すれば参議院で6年間の任期が与えられるわけですよね」と。

 
 私は医師という仕事に誇りを持っていましたし、素晴らしい仕事だと思いましたが、その山本さんの言葉が政治の世界に出てくる最初のきっかけでした。

 実は、山本さんは200712月にお亡くなりになりましたが、私は、いまの国会の情勢を見ていますと、現在の状況を的確に見抜いておられていたなと。「年金が消えた」となったら、皆が年金の評論家になって、ほかの会議はガラガラ。以前に、中国産の冷凍食品に農薬が混ざっていることがありましたが、皆がその分野に集中的に興味を持ちます。では、一つのことを継続的に議論している国会議員というのはどこにいるんだと。私はいまも山本さんの言葉は正しかったんだと思っています。

 私は、そのようなことからこの政治の世界に出てきましたので、先ほど、安達先生から過分なお言葉をいただいたのですが、あのときに本当に痩せた山本さんから言われた言葉というのが、やっぱり大事なのではないかなと思います。

 下世話な話をしますと、今日、私はここに来て話をしても1票にもならないわけですね、簡単に言えば。先月も私は島根県に行きました。島根県の各行政区の人が集まってきて、医師不足を何とかしようということを議論したのですが、よく考えたら、島根県に行っても私は1票も獲得できないのです。

 だけど、大事なことは1票にもならないことを、どれだけやれるかということが、私は政治家としての器を試されているんだと思っていますから、ぜひとも、先生方にはこれからご意見もいただきたいし、あるいは、末永くお付き合いをさせていただきたいなという思いでいます。

 今日は「第179回臨時国会の報告とこれからの医療政策」というお話になりますが、どちらかと言えば、医政活動と、国会議員や立法府とが、どう関係しているのかということを中心にお話をしたいと思っています。

 今日は「臨時国会」と書いてあるのですが、私は大阪と東京を、国会開会中は週にだいたい2回ぐらい往をします。JR京都駅は残念ながら通過でして、たいてい京都駅を発車するころには、眠りに就いていることが多いのです。

 国会には大きく分けて通常国会と臨時国会というのがあります。通常国会は、1月の中ごろから150日間あります。つまり、6月の末ぐらいまで開会しています。

 通常国会の大きな仕事は予算を決めることです。予算執行は4月1日からですから、3月までは予算審議が行われます。4月から6月というのは、予算関連の法律を通していく。これが通常国会です。今年は東日本大震災がありましたので、本来は6月で終わる通常国会がお盆明けまで行われました。その後、民主党の代表選挙があったということになります。

 
 では、秋の臨時国会というのはどういうものなのかと言いますと、会期幅は決まっておりません。必要に応じて招集をされるわけです。

 主な内容は何かと言いますと、今回の場合は補正予算です。3次補正予算が11月に国会を通過しましたが、補正予算をつくっていく。あるいは法律が必要ならば、法律を通していく。これが主な仕事ですが、もう一つ、秋の永田町では非常に大きな仕事があります。それが税制改正です。

 いまお手元に裏表印刷した紙がございます。これは医療分野の中でも大きな部分を引き抜いて書いてまいりました。本来税金というのは、非常にシンプルなものです。つまり、消費税で言えば5%だし、それから所得税で言えば、所得が決まれば税率は10%、20%、30%。非常にシンプルなものです。

 シンプルなものですが、いまの日本には、このシンプルな部分に加えて租税特別措置という部分があります。これは何かと言いますと、戦後から、それぞれの職種や、あるいは業界によっては、公的な役割を担っている職種や業界があります。あるいは政策的に国として誘導しなければいけない。そういった部分に、国として税金の掛け方に特例を付けています。これを租税特別措置と言います。

 日本にいくつぐらいの租税特別措置があるのか、私も知りません。実は、それぐらいたくさんあるのです。どれぐらい多いかと言うと、同じ省庁の中でも課が違えば、隣の課の租税特別措置の内容というのは分からないそうです。

 「租税特別措置」というタイトルで論文を書けば、何メートルもの厚さの本になるぐらいだそうです。だから、実はもう誰にも分からない状況なのです。でも、それがいいかどうかということは別問題です。これは、やはりある程度の時期を見て、一定の見直しをして簡素化していくことが必要です。これはいまの与党の民主党も言っているわけですから。

 
 だから、そういうものはまず見直していこうということがあるのですが、しかし、その中でも今回、特に医療分野で大きかったのは、いわゆる社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置ですね。それから後は、社会保険診療報酬以外部分に係る軽減措置の存続。裏側に行きますと、4段階といわれる所得計算の特例。これが非常に大きな論点になったわけです。

 この税制というのは、秋にどうやって決まっていくかと言うと、政府側に税制調査会という調査会ができます。それからもう一つは、党の方に税制調査会という調査会ができます。

 最初にお断りしておきますと、ここに書いてある事業税の非課税措置であるとか、それから4段階の所得計算の特例であるとか、これは先生方から見れば、自然にずっと続いているように見えるかもしれません。しかし、現実は毎年毎年、なくすのか、なくさないのかを激論をたたかわせているのです。毎年、議論をして、今年はなくしませんという結論になったから、先生方のその計算方法が残っているわけです。

 よく「なくすのかい」という言葉を言われるのですが、実は違うのです。毎年毎年なくなるかもしれないのです。それを議論していって残そうという結論になっていますから、それがたまたま何十回と続いてきただけの話で、来年なくなっても別に不思議でも何でもない話です。まず、この原則を知っておいていただきたいと思います。

 そして、どのようなかたちで決まるのかというと、党の方の税制調査会(税調)に党所属の全国会議員が集まって、そして自分たちが残すべき、あるいは作るべき租税特別措置の項目は何なのかということを、みんなで主張し合うわけです。議論をするわけです。その議論の行方によって残るか、駄目になるかということが決まってきます。

 
 今日のこの会場と同じ大きさぐらいの会議室に、何百人という国会議員が集まってきます。その部屋の最前列の壇上には税制のトップの方が座っておられます。自民党時代は、これは山中貞則先生だったと思いますが、いまの民主党であれば藤井裕久先生がここに座っておられます。そして、それぞれの議員が発言をします。そこでこの租税特別措置の意義というのを、一人一人言っていくわけです。これはものすごく原始的なやり方ですけどね。 

私は、この非課税措置については、族議員という意味ではなくて、あくまでも医療機関の運営費を考える場合、診療報酬と事業税非課税措置と、それから、いわゆる控除対象外消費税の部分というものが見合いで、セットでいまの医療経済実態調査の結果が出ているんだと。だから、少なくともこの事業税非課税措置だけをなくすということは、これは医療全体を一体的に議論したことにはならない。だから、部分最適を求めるようなことは、ここだけを議論するというのはアンフェアなんですと、私はそのように発言をしました。

今回の民主党税制調査会の議論というのは、政権交代後、今回で3回目なのですが、医師の先生方はいろいろな国会議員さんにおそらく陳情されると思います。この措置は残してくださいと。この陳情活動をもう少し積極的に展開すべきだと思います。

 なぜかと言うと、私が税調の会議でこの課題について最初に発言したんですね。その後、議員の何人かは、帰ってしまったのです。ああ、もう梅村さんが言ったから済んだと。違うんですよ。これはいい悪いではありません。民主主義ですから、数が多ければ多いほど力を持つのです。何人もの議員が続けて発言することが重要です。

 だから、京都の先生方も、今度から陳情するときは、こうこう、こういう内容を税制調査会で発言してくださいねとしつこいくらい具体的にお願いをしていただかないと、ああ、もうあの意見が出たから帰ってしまおうと。これでは駄目なんですね。

 
 税制が非常に大事なのは、これは国のかたちを決める問題ですから、税制調査会で発言するというのは、国会議員にとってとても大切なことです。それをせずに帰ってしまうということは、1年間、何もしなかったということと一緒になってしまうのです。

 もう一つは、今度資料の裏側に行っていただいて、この4段階の所得計算の特例です。これについては、今年はもうほぼ駄目なのではないかと言われていました。会計検査院が、そもそもこの措置はおかしいということを言ったのです。そのことを党も、あるいは厚生労働大臣、副大臣も知っていましたから、残念ながらこれは諦めなければいけないというのが、今年の10月ぐらいの雰囲気でした。

 私は、会計検査院に資料を持ってきていただいて、どこがどうおかしいのかを説明してくれと、そのお話を聞きました。そうしましたら、この概算経費率のところの数字が72%もないと。50%台なんだというデータを出してこられました。

 そこで私が、会計検査院の方が持ってこられたこのデータは、何カ所の税務署を調べて出されたデータなんですかと聞くと、全国で54カ所だと。そうすると、1都道府県に1カ所ぐらいなのかなと。

 もうちょっと聞くと、いや、実はその54カ所のうち15カ所は東京都内ですと。全国の54カ所のうちの3分の1が東京都では、事業仕分けと一緒ですけども、このデータで議論するのは不自然ですよねと言ったら、いまのところそれしかないですからとの答えでした。

 それで、税制調査会でそのポイントを突くわけです、ちょっとそれはねと。これは事業仕分けとまったく同じポピュリズムではないですか、そういうことをやるんですかと。それで、税制調査会の雰囲気を少しずつ変えていくわけです。

 国会議員ですから永田町で発言するのは自由です。どういう主張をするのかも自由です。だけど、ここで大事なことは、私がそういう発言をしたときに、あ、梅村は族議員なんだなと思われたら、これはよくないことです。あくまでも、国全体の中でこの議論をすることは有益なんだという話にしないといけない。

 
 しかし残念ながら、やっぱり族議員といわれる方が出てきています。この特別措置を残すことが選挙上有利なんだみたいな発言をするんですよ。

 そんな発言をしたら意味がないわけです。選挙とか金とかで、この国の税制は決まっていくんですかということですから、その時には藤井先生は大きく首をかしげるわけです。当然のことです。

 私は主張が結果的に同じであれ、どのようなかたちで主張していくのかということが、国会議員の値打ちを決めるし、あるいは本当にその議員さんが、この国のかたちをきちんと考えているのかということを問われているんだと思うんです。

 ですから、税制改正について、今日は二つの例を持ってきましたけども、これを決めていくというのは、同時に国会議員としての能力も問われているし、実力も問われているんだと、そのように思っています。

 結論から言えば、事業税については、ここの3行目に書いてあります。「地域医療を確保するために必要な措置について引き続き検討する」。引き続き検討するというのは、いい言葉なのです。これは残すという意味です。

 ただし、その下に書いてあります。社会保険診療報酬以外部分に係る軽減措置の存続、この部分は「平成25年度税制改正において検討する」と書いてあります。この表現はどういう意味かと言うと、1年間は猶予をします。だけど、来年もう1回勝負だよということです。ですから、ここが来年の議論のスタート台になるということです。

 それから、裏側の4段階についても概要の下、2行書いてあります。「課税の公平性の観点を踏まえ、厚生労働省において適用実態を精査した上で、平成25年度税制改正において検討をする」と。ですから、これも来年、もう一度勝負するんだということになります。

 
 これはあまり表に出ていないのですが、実はこういう話がありました。自動車取得税というのは地方税です。医療機関の事業税もいま非課税なのは地方税です。だから、総務省からすれば経済対策で自動車取得税の税源をなくすのであれば、医療界がその分を穴埋めしてくれてもいいじゃないかと。単純に言えばこういう話です。

 私は、それはおかしいと。自動車をどうするかこうするかというのは経済、自動車産業をどう育成していくかにとっては大事なことだと認識しているが、しかし、それの穴埋めを医療機関の事業税でするというのは、筋がまったく通らない。だから、そこは断固抗議すると。私はそういうことも申し上げました。

 油断すれば必ず、すぐにほかの業界からのしわ寄せがきます。要は、医療界というのは決して守られた業界ではありません。税制について言えば、いろいろな業界とのパワーバランスの中で税制というのは決まってきていますから、その点もぜひ先生方に意識をしていただければなと思っております。

 臨時国会はおとといで終わりましたが、これから年末にかけては社会保障と税の一体改革の議論が進んできます。最大の難関は年末までに、まず政府・与党として素案をまとめます。その素案を持って与野党協議に進んでいって、与野党協議が終われば、おそらく1月の中ごろまでには大綱案が決まってくるというスピード感になってくると思います。

 その時の最大の難関というのは、クリスマスを越えるあたりから消費税をどうしていくのか。税率をどうしていくのか。いつの時期から上げていくのか。あるいは、そのための条件を付けるのか。条件というのは、ある一定の経済成長率を達成したときに上げることを発動するのかとか、このような条件の話にこれからなっていくんだと思っています。

 
 ここからは、私の個人的な意見ですが、私は消費税の負担ということは必要だという立場です。条件はいろいろ細かいことはあったとしても、これは必要だと。その理由は何かと言うと、私は消費税だけが必要だという立場ではありません。まず、政治家として、意見表明をしなければいけないのは、この国をどれぐらいの大きさの政府にしていくのか。どれぐらいの規模の、国民負担率の政府にしていくのか。

 いま日本の国民負担率は、この国民負担率という言葉も財務省の陰謀ではないかという説もありますが、あえて、国民負担率という数字を使えば、日本は約38%です。これは分母には国民の総所得が来ます。分子には税金や保険料の負担の総額が来ます。この割合が、日本は約38%なのです。

 いわゆる小さな政府といわれるアメリカが3233%。それからイギリスやドイツは、医療費についていえばイギリスは税が中心、ドイツは保険料が中心ですけども、そこの負担率がだいたい45%から50%。フランスはもう少し大きくて50%台の前半。

 大きな政府といわれる北欧は55%から60%。このような大きさが並んでいます。私はこの数字の目標から考えれば、日本は45%ぐらいの国を目指すべきであるという立場です。

 では、いまの民主党というのはどうなんだ。ばらばらなのではないかと。ばらばらなんです。だけど、だいたいのコンセンサスから言えば、私が申し上げているような中負担、中福祉という言い方ですかね。45%がそうだとすれば、その程度で考えている所属議員が約7割だと思います。

 
 一方で、やっぱり小さい政府がいいんだ、自己責任なんだといわれている、いわゆる小泉型というか、そういうものを目指されている方も1割ぐらいおられると。いやいや、ゆりかごから墓場までだと。北欧型の政府だという方も2割ほどおられると。

 おそらく自民党の場合は、ちょっとその1割の部分が大きいかもしれません。いわゆる北欧型という方が、その分少なくなってくるという立ち位置なのではないかなと思っていますから、私は本来であれば、それぐらいの大きさの負担を求めていくべきだと。その中身は保険料なのか税なのかという議論はあるかと思いますが、私は消費税そのものの負担には、決して反対ではないという立場であります。

 それを前提として、医療や社会保障に関してもいろいろな中身が一体改革では議論されていると。特にその中で大きな、幾つかのかいつまんだお話をしますが、今回大きな議論になっているのが、受診時定額負担の問題ということになってくるんだと思います。

 
 今日はA3の紙に、これは『それゆけ!メディカル』に投稿した文章をお配りさせていただきました。与党の国会議員がここまで書いていいのかという議論はありますが、私はこの受診時定額負担制度は許すわけにはいかないということを書かせていただきました。

 いまの国会の情勢、あるいは厚労省とのやりとりの中から言えば、おそらくこの受診時定額負担制度導入は見送られる可能性が高いです。見送られる可能性が高いのですが、だけど私は、この議論を100円新たに払わせることがいいのか悪いのかという議論で終わってしまったら、近い将来また出てくると思います。なぜまた出てくるのかと言えば、私はこの制度は小泉政権で、いわゆる保険免責制が議論されたときの、あのかたちの亜型だと思っています。

 つまり、再来なんですね。これは何も新しい考え方ではありません。本来の保険免責制というのは、簡単に言えば、かかった医療費総額から一定額を保険の対象外にすると。残りの部分に2割とか3割を掛けて、その2割か3割の窓口負担に免責した部分を足すというのが、保険免責制度です、

 今回の制度は、厚労省は保険免責制ではないと言うのです。だけど、私は違うと思っています。100円先に医療費総額に足しただけなのです。分かりますかね。100円先に足したのです。その部分を先に免責したのです。そして足す前の部分に2割か3割掛けて窓口負担にしているわけですから、これは紛れもなく保険免責制度なのです。

 私は、この「それゆけ!メディカル」の文章に書いたことは、今回のこの受診時定額負担制度導入のためには、「健康保険法」を改正しないといけないということです。つまり、この「健康保険法」には、窓口負担を3割に引き上げるときに、給付割合は100分の70を維持すると書いたのです。だから、もしそれに100円を足すとすれば、給付は100分の70を割り込むわけです。自己負担割合は3割よりもたくさん掛かる。

 そこが、ある厚生労働関係のA議員さんと、私との最大の議論だったのです。その議員さんは、法律を変えなくていいと言ったのです。何でですかと聞いたら、国全体の医療費トータルで100分の70以上を、いま出しているのだからと。要するに、1割負担の方も2割負担の方もいるのだから、トータルすればまだ3割に届いていない。だから変えなくていいというのが彼の立場です。私は、いや一人でも3割負担の人がいればその人が自己負担3割以上になった時点で、この法律違反になるから法律は変えないといけないんだと。その議論だったのです。

 
 でも、たぶん私の意見の方が正しいと思って、厚労省に聞いたら、いや、それは残念ながら梅村さんの方が正しいと。それは当然です。法律というのは一人一人の国民に対してどうなのかという話であって、別に国全体の医療費トータルの人の話をしているわけではない。

 だから、法律を変えなければいけないんですよと言ったら、ええ!?という話になって。これは裏の話ですけどね。

 いろいろなことを言われています。患者さんが患者さんを支えるのはどうなのかという議論もありますし、あるいはこういう、なし崩し的な議論はどうなんだという考え方もあります。

 私が一番申し上げたかったのは、いまのA3の紙の左側に書いてあります。左側のところに、見出しがあります。「免責は真っ向議論を」と。なんかこれだけ聞いたら、私が免責制を進めようかというように見えるのですが、実はそうではなくて、国民に分からないようにこっそりとやるというやり方が、そもそも政治としてはよくないんだというのが私の立場です。

 もし民意が、仮にもし免責制度が一番いいんだという議論になったら、われわれ国会議員は、それに基づいて国会で法律をつくらないと仕方ないのです。だけど今回、その議論はしていないわけです。私はここに書いたのですが、それだったら三つ選択肢を出して、全国でシンポジウムをやったらいいんですよ。

日本に保険免責制を導入します。混合診療を全面解禁します。税と保険料の負担を多少我慢してでも国民皆保険を守ります」と。もしこの100円負担をやるのであれば、議論をしないと駄目ですよ。

 それの、要するに長所短所も全部分かるように開示をしないといけない。国民が分かるような説明を政治家がしないといけない。それを、この100円窓口定額負担は保険免責制ではないのだと。法律をちょっといじればできるんだという話でやってきたことに対して、私はまず反対をしました。それが1点です。

 もう一つ、私が許せなかったのは、高額療養費制度の自己負担上限額の見直しと抱き合わせにしたことです。これには誰も反対しないわけです。それを人質にとって受診時定額負担制度を導入しようとするのははっきりいってやり方が汚い。私も高額療養費制度の自己負担上限額の見直しというのは、一定必要だと思っています。これは何かと言うと、この制度ができたころと医療環境が変わってきています。高額な生物製剤もありますし、抗がん剤もあるわけですから。

 そして、上限ぎりぎりの、例えば上限金額が月額8万円だったら、7万円ぐらいで、ずっと毎月来ている方だっておられるわけですから、このような方はどうするんだという議論があります。

 ですから、そのことは私たちも考えなければいけないという立場なんですけども、それとこれをセットにしてしまうから、はっきり言えば、難病の患者さんなんかは、受診時定額負担制度をやってくれというわけです。だけど、彼らはこの受診時定額負担制度がいいと思って言っているわけではなくて、高額療養費制度を見直ししてくれるのだったら、これをやってくれた方がいいと。

 私は、その時に厚労省に言いました。本当に全ての高額療養費の人を、一律に負担軽減することが今すぐ必要なんですかと。私は違うと思いますと言って、このA4の紙を厚労省につくらせました。

 
 もちろん、全員を助けてあげたいのはやまやまです。だけど、いま日本には残念ながら、豊富な資金があるわけではないし、税収だって十分あるわけではないから、まずは、いますぐ助けてあげないといけない方がいるのではないですか。それはどんな方ですかと言えば、これは私の私案ですから、また先生方の中ではいろいろなご意見があるかと思いますが、年収が300万円に満たない方で、4カ月以上、高額療養が長期に続く方、ここがやっぱり一番助けてあげないといけないのではないですかと主張しました。

 で、それに相当する方がどれだけの方がおられるんですかという質問をしたら、厚労省はデータがないと言ったのです。やっと出てきたのは、和歌山県のデータでした。

 だけど本来、政治家と官僚というのはこういう話をしないといけないんですね。テクニカルの話は、そんなことは官僚の方がやった方が絶対早いのです。電卓をたたいたり、エクセルに数字を入れて、こういう患者さんが何人いるかと出してくるのは、官僚の方の方が絶対早いのです。だけど、政治家は、優先的にどういう方を集中的に助けるのかという考え方を言わないといけない。

 
 これは、たまたま300万円という数字ですけど、私は別に300万円でなくてもいいのです。要は、所得が低くて長期間というだけの話です。これでなんぼかと聞いたら、300億円かかると言っていました。

 この対象の方は、これで月額の自己負担が9千円下がります。9千円ぐらいだったら不十分ではないかという、もちろんそんなご意見もあると思いますから、それはまた議論をすればいいと。だけど、政治家から出さないといけないメッセージというのは、こういった考え方とか、それからわれわれのいま取り組むべき優先課題というものを、官僚の方に明確に指し示すことだと思っています。

 そのようなことから言えば、この2年間の民主党の最大の失敗は、課長補佐さんがやるような書類仕事を政治家がやったことです。これが私は最大の間違いだったと思うし、そこの反省がないままに、これからいくら政治主導だと言っても、この国の政治と行政の関係は決して正常化しないし、役所はやる気をなくします。

 政治主導という中で、社会保障の中でも、われわれは気を付けないといけないし、われわれが本来やるべきことは何かを、しっかり考えていかなければいけないと思っています。

 
 もう一つは、先ほど負担増の話をしましたが、では、負担増を考えた上で、いまの国民が医療に対して、もっとも不安に思っていることは何なのか。このことも私は、医師という立場だけではなくて、国会議員として考えていかなければいけないと思っています。

 今日は関係者の方がおられたら非常に恐縮ですけども、はっきり申し上げて、いまの国民の方の、最大の不安は在宅介護と在宅医療です。これは、この中にも在宅を一生懸命やっていただいている先生方がおられると思います。私はそれを決して否定するわけではないし、これからの時代、必ず必要な分野なのですが、しかし、いまの厚労省が出してきている案をいろいろ読み解いていくと、在宅至上主義なのです。

 いまの日本は在宅原理主義ではとてもではないけど進みません。もちろん在宅支援診療所ができて、在宅支援病院ができてきています。大事なことです。いま日本で1日に使っている医療と介護サービスの延べ人数は、いわゆる高度急性期から一般病床、亜急性、リハビリ、施設系の介護、在宅まで入れて454万人です。これが2025年には、推計で750万人。だから必要なサービス量がのべ300万人分増えるわけです。

 
 国はいまのところ病床数は増やすとは言っていません。施設系の介護のベッドが65万床ぐらい増えると。ということは、どう考えても差し引き230万人分の在宅の医療介護ということが、算数上は必要になってくる。その時に、国民のいまの不満は、必要なときにベッドが使えない。出て行けと言われている。ここですよ。

 これは、先生方から言えば何を言っているのかと。そういう方向を国が目指していたのではないかと言われますが、それはプロの議論です。国民はそういう意識でいます。

 実は、昭和55年にちょうど在宅死と病院死の割合が逆転しました。そしていま日本は8割が病院で亡くなられて、15%が在宅死だと。これが不正常だから、もう1回、在宅死を4割まで増やしていくんだというのが国の立場です。だけど、いまなぜ病院死が増えているのかということも、日本の文化として考えないといけない。それは、やっぱり一つは、在宅でできる医療と病院の医療というのに量的にも、技術的にも差があることなんだと。もう一つは、介護のマンパワーが圧倒的に足りないんだと。

 ここをどうするのかという議論をしないと、そんな乱暴な政策は、議員側からは一辺倒に進めていくことはできないと思っていますし、何よりも政治家で本当に在宅看取りして亡くなった方はおられますか。この間、西岡議長が亡くなられましたが、病院で亡くなったのではないですか。

 
 国を引っ張るというか、トップの政治家がみんな大病院で亡くなっているのに、国民の4割は在宅で亡くなって下さいというのは皮肉ではないですか。いや、これは看取りをやっている先生方に文句を言っているわけではありません。国民の感情からしてどうなのかと。やっぱりこれは在宅と、それから病院・施設が効率的に連携をしていく。場合によって、在宅で過ごされて、最後の1週間は病院でみとれるとか、この連携をどれだけ上手にやっていくのか。

 それから、もし看取りを在宅でやるとしても、がんは、私はある程度やれるのではないかなと思います、いろいろなやり方をすれば。だけど、非がんというのがいま本当に問題になっているわけですね。この問題をどう考えていくのか。

 やっぱりそういうことをきちんと議論した上で、私はもう一度、政策を練り直す。そのために私は財源は、いま考えているよりも若干たくさんいるのではないかなという立場ですから、ここは少し議論が必要だと思いますので、また先生方にもいろいろなご意見を賜れればと思います。

 
 誤解がないように申し上げれば、私は決して在宅が駄目だと言っているわけではありません。ただ、その連携のやり方であるとか、量的な問題ということは考え直す必要があるのではないかなという立場なので、誤解をされないでいただきたいと思っています。

 後は、医療と社会保障全体で言えば、昨日、前原政調会長も鹿児島で講演をされたみたいですが、私はいま特に生活保護の問題というものに取り組んでいます。私は大阪選出の国会議員で、本来ですと、この問題を国会で取り上げるのは非常にリスキーだといわれています。1年前も私は、城守先生にテレビで見ていただいたと思いますけど、NHKの国会質問の生中継の中で、生活保護の問題を取り上げました。二つのことを申し上げました。

 一つは、生活保護というのは、最低限の生活を保障するものだから、もらう方の収入と資産調査は厳格にしないといけない。本当にその人がもらうべき人かどうかをきちんと調査しないといけない。

 だけど、いまその調査ができるような法律体系にはなっていません。だから、金融機関とかあるいは事業所が、この人には本当に収入・資産がないのかということについて聞かれた場合には、回答義務を付けるように主張しました。

 もう一つは、これは反対される先生方もおられるかもしれませんが、あえて言います。医療費窓口負担は償還することを前提で構いませんから、つまり後で返すことで結構ですから、窓口自己負担の一部導入はすべきであるということを、テレビ中継の中で申し上げました。

 案の定、うちの事務所には「人殺し」という電話が何十本もかかってきました。うちの秘書が真っ青になって国会の部屋まで来ました。「先生、えらいことです。人殺し言うてますよ」と。私、答えました。「大丈夫だ、俺は家に警報設備を入れたから」と。

 私は「何本かかってきたんだ」と聞きました。そうしたら1時間に20本かかってきましたと。でしょうと。大部分の人は、その意見におそらく賛成でも電話をかけてきていないんだよと。役所も政治家もそうなんですけども、1日何十本も電話がかかってきたら、世の中みんなが反対しているように思うんです。だけど、サイレントマジョリティー、民意というのがどこにあるのかということを、間違えて政治をやったら大変なことになります。

 
 だから、私はおととい、前原誠司さんのお部屋に行って、前原先生にレクチャーをしました。いま生活保護費の不正受給をしても告発される人は、日本全国で年間約30人だけです。何で告発されないのかと言うと、国がこういう事案は告発すべきだという基準をつくっていないからです。だから、地方自治体は告発できない。また色々な集団が平気で大量の人に受給させて貧困ビジネスをやっているわけです。

 医療費の自己負担については、私は某衆議院議員とけんかになりました。そんな自己負担を導入したら、導入するというだけで鬱の方が余計に鬱になると。私はその某議員の方とは仲がいいんですよ。このことだけは対立したのです。だけど、普通の人は少ない年金の中で食費とか、医療に行くお金とか、住宅費とか、みんな工面してやっているのです。だから、税金である生活保護費の使途だって、それを工面してもらうことが大事で、お金を取ることが目的ではありません。後で返してあげたらいいのです。

 だけど、普通のサイレントマジョリティーは、みんなそれをおかしいと思っているんですよと。そうやって今回党側の提言の中には、そのことも検討すべきだということを入れさせていただきました。

 もちろん、生活保護行政というのは、これは国の経済情勢とか雇用の問題とかもありますから、そこだけ取り出すのはよくないのかもしれませんが、社会保障ということを考えた上では、政治家は時には嫌われたり、時には問題だと言われながらも、きちんと取り組まなければいけないことが、私はあるのではないかなと思っています。

 
 最後に、医療とTPPの問題だけ少し、あと2、3分だけお話しします。

 私は、TPPの問題についても、医療界にとって重大な懸念があるということは決して否定をしません。ただし、先ほども森会長と控室でお話をしていましたけども、JAが同席する反対集会で医師会の幹部の方が「断固反対」の鉢巻きをして、一緒にこぶしを振り上げているのは、私は演出の仕方としては間違いだと思っています。

 なぜならば、反対の理由が全然違うからです。JAは、彼らは関税の問題を反対しているわけです。医療は、金融セクターであるとか、あるいはサービス部門としての反対をしているわけです。全然状況が違うのです。

 あるいは、JAの関係者の方がおられたら謝りますが、あそこで反対している方は実際には農業をやっていないのです。JAのプロパーさんたちです。医師会の先生方は毎日、地域医療をやっている方が、あそこに立って反対しているわけです。あれはJAに利用されたのです。

 もう一つは、公的医療保険が破壊をされたり、あるいは営利企業が入ってくる恐れというのは確かにあります。だけど、なぜそういう事態が起きうるのかということを正しく理解をして、反対ならば理論武装する必要があると思っています。

 まず大原則は、条約が決まっても国の法律が変わらなければ、いまの制度は変わらないという原則です。ですから、国民皆保険をもしなくすのであれば、「健康保険法」を改正しないといけません。

 あるいは営利企業が本当に無尽蔵に入ってこようと思えば、「医療法」を改正して、そして、例えば剰余金が配当できるようにするとか、あるいは合併が自由にできるようにできるとか、そういう法改正をしないと本来はできないはずです。まず、そこの整理が医療界にとっては必要だと思っています。

 
 ただ、心配なのは「ISD条項」というのがあります。国内の法律を飛び越して相手方の国のしくみが投資対象や貿易相手国として不都合であれば、相手国の法律を飛び越して第三者機関に訴えて、そこに穴をあけるという条項です。こういうものが危ないのではないかと。それだったら、そのことに対してきちんと意思表明をすべきだと思います。「ISD条項」というのは、こういうものだから怖いんだと。

 ですから、そういうことを全てきちんと整理をして、この問題に医師会として取り組むべきだと。そのことをきちんと整理して政府や立法府に意見表明をすべきだと思います。いまみたいにJAと一緒に並べられて、日本医師会幹部が『報道ステーション』のインタビューで、「私たちは既得権益者ではない。国民を守るためにこの反対運動をやっているんだ」と答えていました。あの映像が流れた瞬間に、国民の中では医師会は既得権益を守る団体だという印象が付きました。

 
 弁護士会はかしこいです。弁護士会は、われわれは青い目の弁護士が来ても、日本人は青い目の弁護士にお願いするとは思わないから、いまはとりあえず黙っていますと。ただ、締めるべきところはしっかり締めさせてもらいますけどねと、こうおっしゃっています。

 
 ですから、そういう意味からも、ぜひ医師会の先生方と、そしてわれわれと、何を守るべきなのか。あるいは、来年の診療報酬改定もそうです。いま財務省は診療報酬本体マイナス1%で打ってきています。薬価がおそらくマイナス1.3%。だからネットで、マイナス2.3%からスタートです。2年前もマイナス3%からスタートしました。

 今週の水曜日、私が事務局長をやっている「適切な医療費を考える議員連盟」で逆仕分けというのをやることにしました。マスコミフルオープンで。見せることは大事です。国民の方に見てもらうことが大事です。何で開業医の先生の年間収支差と、勤務医の給与所得を比べることに意味がありますか。あるいは、人件費は医師等と書いてありますけども、看護師さんの人件費の方が総額で2倍以上あるわけですね。何であれを公開の「仕分け」で行政刷新会議は取りあげるのでしょうか。

 
 私はマスコミの記者に言ったんです。「皆さんね、フリーの記者の給料と『毎日新聞』の記者の給料を比べて、『毎日新聞』の記者の給料が高いから『毎日新聞』1部の値段を130円から120円に下げろと言ったら、おかしいと言うだろう」と。それと一緒のことなんですね。

 こういうことも分かりやすくカメラの前で、われわれ政治家が言う必要があるのです。難しい話も大事ですよ。難しい話も大事なんだけど、民意というものをきちんと反映するためには、分かりやすく説明をする努力が国会議員には必要なんだと。

 
 そのことを来週、再来週のいよいよ診療報酬改定、19日が大臣折衝です。22日あたりがおそらく決定かと思いますが、私は髪の毛2本でもネットでプラスにすべきだとそう思っていますから、また先生方のお力も賜りたいと思っております。

 少し時間が超過を致しましたが、私から国会報告と、これまでの取り組みのお話をさせていただきました。ご静聴ありがとうございました。



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