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12月26日(金)今年38人目の患者さんが静かに息を引き取りました
2008年12月26日(金)
なんとか新年を迎えようと家族ともども頑張ってきた心不全の患者さんが、正月を目前にして多くの家族が見守る中、午後9時過ぎに静かに息を引き取りました。1年以上前に在宅での最期を強く希望していましたが、まだ相当の予後が期待できると判断した私は、本人と夫を強引に説得して緊急入院させました。
結果的に、その後にも3度の入院を重ねましたが1年2ヶ月も寿命が延びました。今年9月の退院時には「あと1週間」と言われて今度こそは自宅での看取りと、本人、家族、そして私自身も納得して今日まで療養してきましたが、予想を大きく外れて長生きしましたが、今日ついにその日が来ました。
誰も悪くない。何も悪くない。まさに大往生でした。亡くなった後の処置とメイクをする看護師さんの横顔を見ていると、先日見て泣いてしまった映画「おくりびと」を思い出しました。患者さんの顔がみるみる白く美しくなり、刻々と若返る死後の変化を眺めていました。
今年に入り、ご自宅で看取った患者さんはこの方で38人目です。昨年は36人でした。昨年より少し多いようです。数字には何の意味もないと思うのですが、在宅診療所は毎年社会保険庁に看取り数を報告する義務があるので時々、事務に聞くので数は知っています。開業以来なら、もう300人は超えていると思います。医者になってからなら、ゆうに1000人は超えています。
一人ひとりの最期には1冊の本になるような物語がありました。「在宅医療とは物語り」そのものだと思います。
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