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1月15日(木)
2009年01月15日(木)
医療と司法の分離―イノセントゲリラ―について海堂尊とともにかんがえました
■業過致死罪「医療事故の特別扱いは困難」
森法務相森英介法務相は9日の衆院予算委員会で「医療事故のみを特別の取り扱いとするのは被害者をはじめとする国民の理解を得るのは困難だろう」と述べ、医療事故を業務上過失致死罪の対象から外すのは難しいとの認識を示した。枝野幸男氏(民主)の質問に答えた。
枝野氏は、医療事故の過失責任を業務上過失致死罪とは別枠の法制度にすることを提案。また検察が控訴を断念した大野病院事件を例に挙げ、「無罪になるようなケースで現場の医師を逮捕・起訴して、一生懸命やったのに逮捕されるという思いを医師が持つのは困る」と訴えた。
これに対し森法務相は、業務上過失致死罪に例外を設けるのは難しいとしたものの、医療死亡事故の原因究明と再発防止を図るため厚生労働省が昨年6月に「医療安全調査委員会設置法案大綱案」を公表したことに触れ、「今後さらに議論を深めていただきたい」とした。(メデイファックスより引用)
患者さんには何の話かさっぱり分からないでしょうね。医療事故かどうかははっきりしなくても、何か問題がありそうな時に患者さんがすぐに医師を警察に訴えて裁判になる傾向の世の中になりましたね。これは「医師法21条」という法律が拡大解釈された結果で、医者は訴えられる可能性が高い産科、小児科、外科をどんどん辞めています。医療崩壊の大きな原因と言われています。
私は枝野議員が国会で質問してくれただけでも大変な進歩だと思いました。というのも昨年、私は全国版在宅系MLで医療再生の処方箋として、まさにこの議論を持ちだしましたが、新聞記者や有識者から散々反論されました。日本医事新報にもいつも登場している医師と弁護士のダブルライセンスの竹中郁夫先生にも反論されました。全国の医師からも今回のような声は全く上がらず不思議に思っていました。
しかし、今回の枝野議員ご意見には大変勇気づけられます。 井上清成氏という弁護士さんの文章の受け売りですが「医療と司法の分離」について考えてみます。
海堂尊の新作「イノセント・ゲリラの祝祭」が昨年末に発売されました。田口医師と白鳥厚生労働省調査官が登場する小説ですが、今回は厚労省の事故調が舞台です。
今回の敵は八神医療安全啓発室課長です。田島と日野の両委員(いずれも法学部教授)も登場しますが、主役は、右翼でも左翼でもない医療主義者(medical wing)の彦根医師という設定です。彦根医師は司法と医療の分離を目指して厚労省主導の事故調を破壊しようと立ち向かいます。法律学者に立ち向かう彦根医師は「イノセントゲリラ」と形容されます。
そして彦根医師は解体された社保庁跡地に「医療庁」を創設し、医師自身で運営しようとします。解剖中心の事故調では限界があるため、彦根医師はオートプシー・イメージング(Ai)を中心とした検証を主体に位置付け「Aiセンター」を医療の手で運営しようと試みます。「医療と司法の分離」です。司法の肥大化、独裁化、暴走を食い止めるには、この方法しかないと確信しているからです。(以下省略)
交通事故と医療事故は本質的に異質ですが、自動車事故への適応を典型モデルとした業務上過失致死罪(刑法211条1項前段)を、同じ「事故」ということで医療事故にも適応したのがそもそもの間違いの始まりです。
このあたりは、梅村聡議員が昨年「医師法21条の歴史」について詳しく講演されましたが、医師法21条が明らかに誤って拡大適応されているのが医療崩壊の一因だと思います。法律学者や偉い先生も気がついていないように思います。 私も「医療と司法の完全分離」を図ることが医療再生の処方箋であると思います。おそらく外国にはイノセントゲリラは必要ないのでしょう。日本独特の法曹界の閉鎖性と国民性がそうさせたのでしょうか。「医師法21条暴走の理由」。これだけでも研究対象になると思います。それにしても海堂尊ってすごい作家(医師)です。
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