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4月15日(水)

2009年04月15日(水)

梅村議員が医師の宿直問題に関する国会質疑で「パンドラの箱」を開く
―「清潔で鋭いメス」は国会のあるべき姿でもある―

 先週から毎日のように、梅村議員と勤務医の過重労働について話してきました。そして昨日、梅村議員が医師の宿直問題に関する国会質疑を行い、ついにパンドラの箱を開きました。医師の宿直と当直での国会質疑は極めて重要な視点です。国会史上初めてので出来事です。医師の過重労働に支えられて日本の医療は世界最高の長寿を達成しました。しかし10年余の医療費削減政策の結果、気がつけば連日の病院閉鎖のニュースです。過重労働に加えて、訴訟リスク。勤務医が逃げだすのは当たり前です。医師はスーパーマンではありません。


 舛添大臣も梅村議員の心意気を感じたのでしょう。とても真摯な議論だったと思います。会の議論とはこうあるべきという見本のようなディベートでした。ネット動画を見ながら、おもわず
梅村議員を「清潔で鋭いメス」と形容してしまいました。


 
前半3割はB型肝炎問題後半7割は医師の宿直、当直問題です。特に後半は医療崩壊の本質論で、素晴らしい議論となっています。1時間のお時間がとれる時にご覧になってください。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/reference.php?page=1&cd=3170&tx_mode=consider&sel_kaigi_code=0&dt_singi_date_s=2009-01-05&dt_singi_date_e=2009-04-14&tx_speaker=&sel_speaker_join=AND&tx_anken=&sel_anken_join=AND&absdate=2009-04-14&sel_pageline=10&dt_calendarpoint=2009-03-14&abskaigi=no

“パンドラの箱を開けろ!”、勤務医の宿日直問題で梅村氏が国会質問

 
 「勤務医が法的に正しい働き方をした場合、いったいどの程度の医師数が必要か。どれだけのコストがかかるのか。そのためには診療報酬はどうすればいいのか。今まさにこの問題に切り込まないと、医療費を増やす議論にも、負担のあり方の議論にもならない。“パンドラの箱”を開けることになるかもしれないが、勇気を持って開けてほしい。大臣は“パンドラの箱”を開ける勇気があるのか」
  

 414日午前11時から開催された参議院の厚生労働委員会で、勤務医の宿直問題について質問した、民主党の梅村聡氏。舛添要一・厚生労働大臣は、次のように回答しました。  

 「一人の人間(大臣)が、旧厚生省と旧労働省の仕事をやっている意義がまさにそこにある。ただ、“パンドラの箱”を開けようとした時に、“閉めろ”という、ものすごい圧力がある。しかし、この問題は国民のためを考えて、きちんとやりたいと思う。この議論を厚生労働委員会で続けていきたい」
 
 舛添大臣が言う「ものすごい圧力」が何を指しているのかは不明ですが、大臣自身は“パンドラの箱”を開ける決意をしたということでしょう。
 

 現状の勤務医の宿日直には、(1)実態上、宿日直ではなく、通常勤務であっても、「宿日直扱い」で、夜間・休日の救急外来などを勤務医にさせている(宿日直については、2002319日通知「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」に記載)、(2)使用者が勤務医に宿日直をさせるには、労働基準監督署の「宿日直許可」を得ることが必要だが、その許可を取っていない、(3)時間外労働をさせるためには、割増賃金を支払う必要があるが、それを支払っていない、といった様々な問題があります。  

 何も今に始まった問題ではないのですが、今年3月に東京で、愛育病院(『 「法令違反」と言われては現場のモチベーションは維持できず』)や日赤医療センター(『日赤医療センターは労基署の是正勧告にどう対応したか』)が相次いで労基署の是正勧告を受けたことで、メディア、社会、そして政治家の関心が高まっています。

  梅村氏が、宿日直許可を得ている医療機関の数を質問したところ、厚労省労働基準局長は、2002年と古い数字だが、診療所も含めて、約6600施設」と回答。「2次救急医療機関や救命救急センターはその中には入っていない(宿日直許可を得ていない)と考えるのが自然」と問い詰める梅村氏に、局長は「宿日直許可を取っていない医療機関の中には、交代勤務をやっている場合もある」としながらも、「救急指定の病院でも、宿日直を受けている施設があるとは聞いているが、全体の数字は把握していない」と苦しい答弁。  

「実態が宿日直でなく、通常勤務の場合、宿日直許可を取り消すことはあり得るのか」(梅村氏)「可能性で言えば、法令を遵守できない状態であれば、宿日直許可を取り消すことはあり得る。しかし、適正化に向けた指導を粘り強く続けていく」(局長)  

「救急告示病院に対しては、宿日直許可を取り消して、36協定を結んで、きちんと割増賃金を支払う。あるいは宿日直許可を認めて、それに見合うような労働実態にしていく。この二つの選択肢があり得る。仮に後者の場合、どんな指導をしていくのか」(梅村氏)  「2002年に宿日直について通達を出した際には、自主点検をしてもらった。それでも適正化が必要だと思われる施設、約2700に対しては説明会を開いた。その上で、さらに問題がある医療機関については、個別に病院を訪れ、指導した。交代勤務や必要な医師の確保が難しい中で、例えば実際に救急業務に携わる時間が限られているのであれば、その時間は外して、それ以外を宿日直にするなど、いろいろ病院と話し合いを進め、粘り強く適正化を進めている」(局長)  

「なぜそこまで宿日直許可の範囲内にこだわるのか」(梅村氏)  ここで紹介したのはやり取りのごく一部ですが、梅村氏は終始攻勢、一方の局長は苦しい回答が続きました。「粘り強く指導」しても、法律と実態とを合わせるのには無理があるからです。  

 要は、交代勤務にするには医師が足りない、夜間・休日をすべて時間外労働とするには、割増賃金を支払わなくてはならず、コストがかかる。しかも、すべて勤務時間としてカウントすれば、1週間当たりの勤務時間は「過労死水準」を超える……。この議論を進めるのは、まさに“パンドラの箱”を開けることになるのです。しかし、梅村氏の指摘のように、この議論をしない限り、救急医療の問題は解決しません。

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