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二次性高血圧を見逃さないなめに
-高血圧の4%は手術で治るという衝撃レポートー
2010年04月16日(金)
「肥満を手術で治す話」の後は、横浜労災病院院長 西川哲男先生による「2次性高血圧」の講演でした。ホルモンから見た生活習慣病の話です。「高血圧の4%は手術で治る」という衝撃的なお話を聞きました。西川先生は「血圧は下げればいい」だけではない!と警鐘を鳴らされました。高血圧患者さんの1割もいる2次性高血圧は手術で治るのです。メタボ対策にも一石を投じる研究です。(以下は医療者向けのサマリーです)
【原発性アルドステロン症を見落とさない!】
高血圧症の初診時に、原発性アルドステロン症を見落とさないことが大切。2次性高血圧は決して稀ではない。腎血管性高血圧より多い。高血圧症患者さん全例に腹部超音波をして副腎腫瘍の有無をまず確認する。薬剤抵抗性高血圧(3種類投薬でも正常血圧にならない)の中に原発性アルドステロン症が潜んでいる確率が高い。
【Yokohama studyの衝撃】
横浜で1020例の高血圧患者さんを対象に5年間の前向き調査を実施。低レニンかつ高アルドステロンでスクリーニングすると12%が引っかかる。フロセミド立位試験、カプトリル負荷試験などで6%が原発性アルドステロン症の確定診断に至った。20%だったという報告もある
【カリウムを目安にすると誤診する】
カリウムを目安にすると誤診する。レニン、アルドステロン測定は必須。原則的には、降圧薬剤投与前に測定する。30分臥位が理想だが、15分以上座位でも可。
ARR=PAC(血漿アルドステロン濃度)/PRA(血漿レニン活性)比は、
20以上でカットオフとして専門医に紹介する
ARBやカルブロックなどが入っていてもよい。
しかし、ニフェジピンは多少交感神経活性を上げているので影響する。
βブロッカーや利尿剤はダメ。βブロッカーは2週間、利尿剤は6週間中止する。
心不全などでアーチストが止められない時はしょうがない。
「6%は嘘」だと言われたので、Tokyou Studyも行った。その結果は10.6%だった。スクリーニングで3割が引っかかる。迅速ACTH負荷試験を外来で実施。片側病変だと手術する。
【どうして見逃すのか】
低カリウム血症を呈する原発性アルドステロン症は2割に過ぎない。また重症高血圧とは限らないことを知っておくべき。ACAが10以上、レニン1以下でカットオフしていい。
【臥位と座位ではどう違うのか】
多少違う。
【迅速ACTH負荷試験】
コートロシンを注射して採血する。低レニンが前提。カプトリル50mgによるカプトリル負荷試験も必須。ラシックス立位試験も同じく必須。
【副腎静脈サンプリングでの診断基準】
Conn症候群に見られる副腎腫瘍は、Golden yellowである。アルドステロン産生腫瘍の
42%はmicroademomaで、CTでは写らない。6mmが境界線である。見えない腺腫は
このサプリングがないと診断がつかない。とにかくマクロアデノーマを早く見つけることが重要。
【CT所見のみで手術していいのか?】
答えはNOである。1/4は誤診する。Conn症候群では33%、マイクロアデノーマでは35%が誤診する。CTは参考程度。副腎静脈サンプリングが決め手。
原発性アルドステロン症の高血圧や心筋梗塞は4倍高い。それだけ動脈硬化が強い。またAFの発症率は10倍高い。発見はACTH-loading AVSによる。
【クッシング症候群も見逃さない】
特徴的な身体所見とデキサメサゾン抑制試験は必須。一見正常そうな対側にもマイクロアデノーマがあるかもしれないことを念頭に置く。
【腎血管性高血圧】
心臓カテーテルの時に、腎動脈も必ず造影するようにする。
【アルダクトンAかセララか】
セララは1日2回の薬。アルダクトンAの方が強い薬だが、セララでも充分効く。
以上、内分泌疾患は外科治療の時代、だと痛感しました。
県立尼崎病院内分泌科の医師たちに、「レニンアルドステロン外来を作ってね!」と、半分冗談でお願いしました。
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