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今日も、「状態が悪いから帰れません」

2010年05月19日(水)

今日も、先日、退院調整を終えた某病院の
地域連携室から連絡がありました。
「状態が悪いから家に帰れません」と。
予想どうりです。
地域連携室から紹介される患者さんの半分は家に帰れません。
自力で脱出した人は、100%家に帰れます。
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「地域連携室は善か悪か?」と、以前書きました。
連携室のMSWさんを攻撃する意図ではありません。
この現実に、病院として正面から向き合って欲しいだけです。

拙書「はじめての在宅医療」には、
「状態が悪いからこそ家に帰りましょう」と
書きました。
これは、病院医療者に向けた私のメッセージです。

そのとうり実行された患者本人・ご家族は、全員、満足しています。

末期がんは、状態が悪くなるのです。
だから家に帰るのです。

こんな単純なことが、
がん拠点病院の医療者には分からないのです。


話は変わりますが、

患者さんを紹介する時には、「病院に集まれ」で、
患者さんが退院された後の様子を聞くのも、
「病院に集まれ」です。

たまには「病院」ではなく、患者宅でカンファレンスをという
発想はないのでしょうか?

そう提案しても、病院関係者はポカンとしています。
「病院」を「役所」のように、医療者が考えているのです。

間違った「上から目線」を、どうしたら治せるのでしょうか?

病院を中心に医療が回っているのか?
患者さんの自宅を中心に医療が回っているのか?

天動説か地動説か?

パラダイムシフトには、まだ相当な時間がかかりそうです。




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この記事へのコメント

帰宅を心待ちにしている患者さん達に『状態が悪いから帰れません』という医師のメッセージを伝えるのは、(あくまでも私の勤めている大学病院での話ですが)たいていは看護師の役目です。

時間のない研修医/勤務医がナースステーションへ電話してきて伝言を伝えるのです。『時間を見つけて患者のところへ後で行って説明するから』と、大抵はどの医師も(言い訳まじりに)言いますが、実際にそれを行動に移している医師はごくわずかです。だから余計に患者さんたちの容態を把握出来ずに入院を無駄に長引かせてしまい、そして最終的に本望ならずも病院で患者さんが旅立ってしまうのではないかと思うときもあります。

本当に予後が悪くてもういくばくもない。。。と分かれば、普通は患者さん達の最後の望み=帰宅を尊重するのが病院勤務の医師の使命ではないのだろうか、と看護師である私は思うのですが。。。
でも最近の研修医/勤務医は自分の医者としての株をあげるのに必死なようで、看護師の言うこともまったく聞いていません。自分の研究が一番大事なようです。
病院同士、地域同士の連携医療も大事ですが、患者さん達からの信頼を頂き、24時間フル回転のシフトで過酷労働を必死の笑顔でこなしている看護師たちとのチームワーク無しでは、医療もへったくれも無いでしょうに。。。
看護師達を虫けらのように見下している医師の多いこと多いこと(溜息)。
時々、看護師を止めようかしら、と思うことも多々あります。

それでも、私は看護師として未だに働いています。
わたしのメンターであった現役看護師であり、講師でもある方が授業中にこう言い、私の看護師としての目を開いてくれたのです。
"Any hospitals can run without doctors for a day, but no hospital can survive without nurses for an hour. - You are the guardians of human lives!"

びっくりしました。本当に。この事実を突きつけられて、当時看護師という職業に不安を抱いていた私の目が覚めました。

『看護師こそが24時間眠らない病院を動かしている実際のエンジンなのだ』と。

だから、看護師さん、ケアマネさん、ヘルパーさん達に常に感謝して、より良い方法や仕事環境を一緒に作って行こうと日々努力されている先生は素晴らしいです! 長尾クリニックにお世話になっている患者さんはとてもラッキーだと思います。長尾クリニックのような、患者を中心として看護と医療の輪を広げている施設やクリニックがもっと増えてほしいです。

患者に取って最高の医療とは、設備が整った大病院で受ける高価な化学療法や最新技術を駆使したセラピーなどではない、というこんなにシンプルなことが病院勤務の看護師には理解出来るのに、何故同じ病院勤務の医師には分からないのでしょうね。 不思議です。

Posted by *snowflake* at 2010年05月20日 08:13 | 返信

お久し振りで御座います。

丁度、昨日の「毎日新聞・余禄」に非常にタイムリーな事が載っていました・・・。

(引用・5月19日/毎日新聞・朝刊)

「医の世に生活するは人の為(ため)のみ、己が為にあらずということを其(その)業の本旨とす。安逸を思わず、名利を顧みず……人を救わんことを希(ねが)うべし。人の生命を保全し、人の疾病を復治し、人の患苦を寛解するの外他事あるものにあらず」

これは幕末の蘭方医・緒方洪庵がドイツの医学者フーフェランドの「医師の義務」を抄訳した「扶氏(ふし)医戒之略」の冒頭だ。「医は仁術」の掛け声とはうらはらに無能で強欲な医者が横行した江戸時代にあって、西洋医学はその倫理面でも心ある医者を魅了したという

ひたすら病者を見ろ、貴賤(きせん)貧富を顧みるな
病者を決して手段としてはいけない
病者の金銭的負担を思いやれ
病者の秘密を知る者は沈黙すべし

--こうした戒めを記す「医戒」は職業倫理に基づき専門知を駆使する専門職の自律と矜持(きょうじ)を日本の医学界に教えた

職業倫理の底が抜けたような話には事欠かぬ昨今だが、「医戒」はいう。

「斉民の信(庶民の信用)を得ざれば、其徳を施すによしなし」


「医学技術・理論」等は、日々進歩しているとは思いますが、「哲学」「真理」「人の道」は 古今東西
先人たちの「言葉」に嘘偽りはナイし、現代にも通じますよね!

「医療」も「介護」の世界も、従事している人々は 最初は「何かしらの志」を抱いて その業界に身を置いた筈ですが、 いつしか日々の仕事に埋もれて 忘れてしまいがち・・・。

「経営者」や「管理者」になって、机上の人 となり・・・。

あ~~、やだやだ。。。

「大人になんか なりたくな~~い!!」

と 思い・・・ながら いつしか 又 日常の生活 に迷走する の繰り返しです(情)

Posted by 駆け込み寺 at 2010年05月20日 11:26 | 返信

駆け込み寺さま、長尾です。

その緒方洪庵の上に建った「阪大病院」で勉強していました。
江戸時代も今も、ちょっと似ている?
それにしても素晴らしい「医戒」のお言葉ですね。
わかちゃいるけど実行できない、ではダメですね。
明日から、また頑張ろう。
「大人にななんか、なりたくない!」と、
50を超えても、尾崎の歌「卒業」を絶叫している私って、
変???

Posted by 長尾 at 2010年05月21日 01:36 | 返信

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