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寝たきりになって1ケ月以上たってから、FAX1枚でつなぐ「がん医療」

2010年06月08日(火)

某議員さんから「毎日、同じようなことを書いているね」と指摘されました。
確かにそうです。
毎日、毎日、毎日、同じ矛盾に悩みながら医療をしています。
リアルタイムに繰り返し指摘する以外に、末端には手段がありません。

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某がん拠点病院から、在宅医療を依頼するFAXが来たので、さっそく伺いました。
1ケ月以上前から完全寝たきりに陥った患者さんに、まだ抗がん剤が投与されていました。
家族が病院に電話して、地域連携室から、当院に在宅依頼の連絡が来たようです。

もちろん、介護保険についても家族は何も知りません。
小さな布団に横になったまま、すでに1ケ月以上経過しています。
もちろん、痛みの治療もゼロです。

死ぬ瞬間まで(正確には死んでからも)、抗がん剤が投与されている
こともシバシバ経験します。かわいそうです。

こんなことが何十回も続くと、もう文句を言う気も起らなくなります。
「がん拠点病院が、がん終末期医療のがん」です。
そう考えないと、自分の中で納得できません。

病院の専門医は、治療に専念できる環境が必要です。
しかし治療の余地が無い患者さんは、できるだけ早く
看護師やMSWに任せればいいのです。

要するにこれは、医師と地域連携室の院内連携の問題です。
このような問題は、当院のようなクリニックの内部でも存在します。
連携、連携と私を含めて簡単に言いますが、難しい課題です。

ひとつ提案があります。
主治医が「再発がん」の登録をすれば、自動的に地域連携室が
前もって近所の在宅診療所と連携すればどうでしょうか。
それだけでもご家族は心の準備ができます。

とてもヒドイ状態の患者さんを、ゼロから、いや、マイナスから立て直す
作業は大変骨が折れます。

せめてあと、1ケ月早く言ってくれたら、いろんな無駄がないのに・・・・
「失われた1ケ月」の患者さんを思うと。なんて嘆いてばかりおれません。
頑張って、超特急で、ケアしていきます。


でも、なんとかならないのかな。がん拠点病院からの橋渡し。

このままでは、本当に、がん医療のがんになってしまいます!

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この記事へのコメント

これが現実なのですから、しつこく書いて頂きたいと私は思います。
私も何もわからないところから時間と追いかけっこをしながらやってきました。
先生のブログは掛け値なしの日本の現実が書かれている貴重なブログです。
しかもお医者様であると同時にひとりの当たり前の庶民の立場の目線で感じられた事を発信されている稀有なブログです。私は大変参考にさせていただきました。介護もあらゆる意味で楽になりました。
こんな書き方は親に失礼ですが、あえて書きますと親の介護に関して、私はもっとこうしてやれば良かったと後悔することは無いと思います。それというのも先生のやり方がわかりやすく患者さん中心だからです。今日も母は「長尾に連れてって。」と言ってましたよ。「昨日来て下さったやん、また金曜日来て下さるよ。」と言うと嬉しそうに納得していました。少なくとも、母は心は完全に救って頂いてます。母のようなケースの方が少ないのでしょうが、先生のやり方が間違っていないのでうちのように恩恵を受けることのできる家庭も出てくるのですから。
ひとつの記事しか見ない読者さんもおられることでしょう。繰り返し繰り返し、発信し続けて下さい。

Posted by チズ at 2010年06月08日 11:39 | 返信

月曜日は先生が来ると知りながら家に居なくてすいませんでした。訳は話したくないのですが今自分はもう生きる事が嫌になりました。そして今あまり誰とも会いたくないんです。ただ自分が弱いだけなのかもしれません。ただ今自分が何のために手術をして今何のために生きているのか自分の存在価値が解らなくて毎日が苦痛でたまりません。自分を支えてくれてる人もたくさん居る事もわかってるんですけどその人たちもみんな敵に見えて今は誰とも会いたくなかったのです。月曜日は本当にすいませんでした。

Posted by yuuzi at 2010年06月09日 06:37 | 返信

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