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南相馬の医療の現状

2011年05月09日(月)

相馬と南相馬は隣接しているが、事情は少し違う。
南相馬は4つに分断されており、病床も少なくかなり厳しい現状。精神科の需要もある。
南相馬に極度に不足している医療資源を相馬が補う形になろうが外部からの支援は無い。
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2つのレポートを引用させていただく。
まず、東大の松村有子先生の相馬レポート。
次に、南相馬病院の根本剛先生のレポート(MRICより)

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相馬市総合福祉センターはまなす館

相馬市のボランティアの横山さんの案内で伺いました。

ちょうど環境大臣か誰か視察に来ていた。

 

もともとコミュニティセンターなので、お風呂がある。

着替える場所があるので、他の避難所にあるような、段ボールのついたてはない。

しかし、一人になれる場所がない。

毛布の色で自分の場所、隣の場所を区別しているので、不眠の訴えが多い。

 

津波で流された人が入居

老人から子供連れの家族まで。

 

石川県医師会から医師が来ており、診療所がある。

 

現金を持っていない。どこにも行きようがない。買い物もできない。

銀行に行く足がない。高齢者など手続きできないまま

  →銀行が来てくれることは不可能か? 東邦銀行など。

何も身分証明になるものを持たないで着の身着のままの被災者が多い。

JA銀行からのお知らせが掲示板にある:「運転免許証など本人確認ができないと払い出しできません」

 

最初700人の避難者がいた。毛布400枚→いきわたらないから配れない、と段ボールが積んだままになっている。

 

観光庁の旅館宿泊5000円補助については、自腹ゼロではないので、相馬の避難所から利用した人はいない

 

炊き出しは喜ばれる。炊き出しは終了したがボランティアがやっていた。

 

水の音を怖がって泣き出す子、夜飛び起きる子、雨が降るとお父さんを探しに玄関で立っている子供がいる(お父さんは消防団員で亡くなった)

学校は始まった。遠いので車で送り迎え。

学校に行きたくなくてずっと避難所にいる子供もいる

  →横山さんがそういう子供に「学校行きたくなかったら、事務所に連絡しておいで」、と連絡先を渡すとのこと。

トイレの隅に夜一人じっといる、鬱の傾向が出てきている人もいる。



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4月の南相馬の医療状況

 

南相馬市立総合病院 外科

根本 剛

201158日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

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南相馬市立総合病院に勤務している外科の根本剛といいます。4月の南相馬の医療状況について報告させていただきます。

 

まずは南相馬市立総合病院の状況について23書かせていただきます。当院は福島原発から23kmのところにあります。緊急避難準備区域にあり外来は行っていますが、入院患者を置くことはできません。3月下旬から夜間救急を一時救急のみですが行っています。南相馬市原町区では入院できる病院が当院を含め4つありましたが、当院以外の3つの病院は日中の診療のみで、同地区で夜間救急を行っているところは当院以外ありません。東日本大震災、原発事故前は医師が13人いましたが、現在は4人のみで診療等を行っています。震災前は当院に手伝いに来ていた応援医師の派遣も止まっている状況です。

 

以下に4月の南相馬市の医療状況について箇条書きにまとめました。

1.原発30キロ以内と見なされていた鹿島厚生病院が正式に80名の入院が、5月からできるようになった。震災、原発事故後、南相馬市の病院では入院患者を全員転院搬送したが、その後初めて、多くの人が入院できる病院ができたことになった。

 

2.南相馬市立総合病院も、572時間のみ入院をおけるように準備をしているところ。主には脳疾患の患者さんが入院するようになる。(震災前福島県浜通北部で脳外科の診療を行っていた病院は当院のみであったため)

 

3. 南相馬市の北に位置する相馬市内の公立相馬総合病院、立谷病院も入院患者が多く、救急患者に十分に対応できない。したがって、福島県浜通りの北部では患者の救急対応は十分できない。特に発症から時間がたつと予後に関係する疾患(脳出血、心筋梗塞など)の対応ができない。国や県のサポートは必要だが、目に見える形では出てきていない。

 

4. 震災によって南相馬市、双葉郡の精神科病院が閉院した。精神科の開業医が2名南相馬市原町区にいるものの、閉院した病院に通院、および入院していた患者の症状が悪化しているらしい。PTSDやうつ状態に陥った人も多くいそうだが、はっきりと症状が出ていればある程度当院でも対応できると思うが、不定愁訴のような場合、診断ができず見逃される場合があると思われる。5月になり精神科のボランティアが入り始めた。

 

5. 当院に子供が学校に行かないという電話が数件あった。PTSDになっている子供が何人かいるようであるが、把握し切れていない。

 

6. 泌尿器科、眼科、皮膚科、形成外科などのマイナーの科の医師がおらず、患者に相馬市の病院の受診を勧めている。相馬市の病院に迷惑をかけている。

 

以下は南相馬市立総合病院の付記事項です。

1. 当院でも入院患者を数名とることに対応するため、6月から当院で働く脳外の医師を1名募集している。就業年数、年令不問。

 

2. 4/29の日当直。この日は特に受診患者が多く、震災前の救急外来と変わらない状態。

各避難所から多くの人が戻ってきた。医療弱者と言われる人も戻ってきている。

本人たちは医療弱者とは思っていないようである。

救急車は5台収容要請があったが、そのうち3台は断った。

いずれも患者さんの診察をしており、早急な対応ができなかったため。

(救急車収容の依頼は午後10時以降なかった。)

状況が刻一刻と変わっている福島県浜通り北部の医療ニーズに対して、対応できていないのを実感した。

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