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ビジョンを持った政治家はいる

2011年09月24日(土)

ちょうどネットを見ていたら、昨夜の医療フォーラムを象徴する意見があった。
医療政策の矛盾がちりばめられている。
しかし、最後の問いには答えがある。 梅村聡参議院議員だ。
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以下、MRICから引用させていただく。
これが、新規開業医の実情である。
勤務医でいたほうが、幸せだと思う。

・本当に自信と根性のある医者
・病院で特別評判のいい医者
・親が金持ちで、お金に困っていない医者
でなければ、開業しないほうがいいと思う。

しかし多くの人は、私の忠告を無視して開業する。
うつになるひとを何人も見てきた。
私もかつては、そうだった。

真面目な勤務医も地獄、新規開業も地獄
普通に医者を続けることが段々難しくなっていると感じる。
医者が足りないと言われるが、足りないなら食えるはず。

足りなくても、食えないのは、どこかオカシイ。

私の考えは単純。
必要なものは残り、要らないものは消える。
必要かどうかは、患者さんが判断してくれる。

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政治家は医療に対するビジョンを述べよ!

 

つくば市 坂根Mクリニック   

坂根みち子

 

2011921日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

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日本大学医学部付属練馬光が丘病院(東京都練馬区)が撤退することを発表し、騒ぎになっている。

永年の赤字がようやく黒字化の兆しが見えてきたところで、現場に全く話がなく日大の理事会が撤退を決め、練馬区議会との話し合いも不調に終わったそうで、地元住民と病院の内部から、おもに理不尽な決定をした日大理事会と、決定を覆す交渉が出来なかった練馬区議会に怒りの矛先が向いている。

これに対して、武蔵浦和メディカルセンターの多田 智裕医師が、責めるべくはこの両者ではなく、原価計算からの公定価格を決めてこなかった行政の不作為であり、「赤字必至」の公定価格設定が放置される限り、今後もこのような撤退は止められないだろうと述べている。慧眼である。

 

開業のレベルでも今同様のことが起きている。開業医は、基本的に再診料がすべてである。この再診料は、前回の診療報酬で病院と同じ額(減額)となり、基本は70点、これと処方箋が出れば処方箋料68点、これが、全収入となる。(慢性疾患の場合は加算がつく) これだけでは、毎日100人以上診察しても経営は成り立たない。

IT化の流れの中で、新規開業では、電子カルテ、レセプトon lineCR等の画像システム、院内検査機器、エコー、内視鏡等揃えることになる。それぞれ導入に数百万円かかる。ところが、これらに対する点数化はほぼない。すべて持ち出しである。しかもこれだけ高額のものを買わせておきながら、ほとんどの医療機器メーカーは、1年保証で、2年目からのメインテナンス契約には月数万の料金を要求する。いまどき家電製品でも5年保証である。不平等契約も甚だしい。契約しなければ、壊れたときは数十万から数百万の修理代となる。

 

また、患者さんがクリニックに行かずに病院志向であることの理由の一つに、クリニックの採血検査はすぐ結果が出ないことが挙げられている。そのために、クリニック内で検査できるようなコンパクトな検査機器が次々開発されている。ところが、これらの値段設定がすごい。例えば、HbA1cの保険点数は50点である。ところが、検査1検体のランニングコストが、ほぼ500円かかるのである。これでは消耗品代も人件費も全くでない。その点を突くと、担当者は、まあ患者サービスだと思ってくださいと言い放った。

 

もともと、医療機関では、物品購入や医薬品購入に対する消費税分は患者さんから徴収することはできず損税となっている。つまり、営利目的の企業に対する支払いに、赤字必至の公定価格のみで対応することを私たちは求められているのである。

しかもその公定価格さえも、診療内容につき、重箱の隅までほじくりかえされた挙句、査定という名の兵糧攻めに会い、首尾よく収入が上がっても、稼いだクリニックは、上から順に厚労省から「指導」を受けるのである。医師会は今やまったく力を持っていない。非力な一個人が、各地で巨人と戦っている。

 

その結果はどうなるか、一個人事業主が出来ることは限られている。保険診療で検査を多くして利ザヤを稼ぐか、患者さんにまめに受診していただくか、自費診療部門を充実させるしかない。本筋の診療のみでは全くやっていけないのである。

勤務医生活で疲労困憊して、さてじっくり患者さんの話を聞いていい医療をしようと思って開業した医師も、職員の雇用は守らなければならないし、自分の家族も養っていかなければならない。

 

ところが待っていたのは、やはり行き過ぎた低医療費政策のつけと日常業務の妨げとなる行政からの数々の指示だった。ネット上の開業医のサイトでは、鬱になりながら診療を続けている開業医のなんと多いことか。今の保険点数では良い医療は提供できないどころかクリニックを継続していくことさえ難しい。ちなみに、筆者は1年前に開業した循環器内科医であるが、この1年クリニックからの収入はゼロである。入ってくるお金は、すべて、関連の企業に吸い取られている。開業医も政治家と同じで、「地盤看板かばん」がないと、やっていけないようである。

 

 

開業医としてはまだたったの1年だが、その前は中小規模病院で救急の前線に立っていた。いずれの立場でもこの国の医療政策が全く見えてこない。勤務医のみならず、開業医もこれだけ追いつめてしまうことに何かいいことがあるのだろうか。国は医療をどうしたいのか、このままだと、海堂氏の言うようにあと数年で医療は崩壊し始めるだろう。日本医師会は、診療報酬の改定の延期を提案したが、それは、今回の大震災と政治の状況から、改定されれば、さらに改悪されることへの懸念が一番強かったのではないかと思われる。新規の開業医には全くゆとりがない。

 

民主党も背水の陣のはずだ。この状況で、診療報酬の増額は国民の理解が得られないなどと最初から言っていては、残念ながら、現場はもう持ちこたえる気力も財力もない。この国の医療をどうしたいのか、正面から問うて欲しい。そして政治家はまずビジョンを述べよ。

 

病院の外来でも同様である。大学病院で、何人もの名医が一人の患者を診ても、同日なら診察料は全部で70点、病院の収入はたったの700円である。医師の技術料は、なりたての医師だろうがベテランだろうが、同日全部で700円、こんなことが長年許されてきたのである。ちなみに、調剤技術料は、今公表されているデータによると一処方箋平均200点である。診断をつけ治療している医師の技術料が全部で70点で、その処方箋で薬を出す薬剤師さんの技術料のほうが、医師の3倍近いのだ。そして、労働基準法違反の勤務医の労働環境は全く放置されたまま。そこに手を出せば、すべての医療機関は大赤字になってしまうからである。ここでもまた赤字必至の公定価格を見て見ぬふりをする不作為がまかり通っている。この国は何かが狂ってしまった。

 

1957年の110円の決定以来、公定価格の基本形は変わらない。あとは、国のさじ加減で、ちょっと収入が増えると、次の改正ではその分野の点数を削り他に回すという小手先の改定で、総量規制をしてきた。医療機関として生き抜くための様々な努力が、2年ごとの改定ですぐはしごを外される。このシステムが一番の不安定要素である。

 

くるくる変わる大臣の下では、官僚は国益より省益に走る。菅元総理が、愛読書とされていたらしい塩野七生氏の「日本人へ リーダー篇」の中で、氏は、ローマ帝国が滅亡した理由を、トップが短期で変わり政策の継続性がなくなったからだと述べている。まさしく今の日本である。

このまま、日本が滅び行くのを座して待つわけにはいかない。民主党に実行力のある人はいないのか。

 

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