「本当は、日本医師会がこうした会を開くべき。そうすれば、日本医師会も生まれ変わるのではないか」
9月23日の「医療フォーラムIN 大阪」で、開催趣旨をこう説明したのは、民主党参議院議員で、内科医の梅村聡氏。この会には、中医協診療側の医師委員5人全員がそろい、それぞれの立場から、次期診療報酬改定に対する考えや、出席者からの質問に答えました。5人がそろうのは、2010年度診療報酬改定直後の会見以外には初めて。
「国の審議会などの議事録は公開されているが、それを読んでも、なかなか頭に入ってこない。しかし、私は以前、厚労省のがん対策推進協議会を傍聴した。一度、傍聴すると、委員のキャラクターが分かり、議事録が理解しやすく、かつ面白くなる」(梅村議員)。現在、様々な制度改革が進む中で、医療者が当事者意識を持ち、意見を上げてもらうためには、リアルな議論の場を体験することが大切というわけです。
確かに日医など医療関係団体がこうした会を開くのは意義があることでしょう。ただし、一番有効なのは中医協の議論そのものを、国会のようにインターネットで中継することではないでしょうか。ネット中継は以前検討されましたが、委員から反対意見が上がり、見送られた経緯があります。これから2012年度改定に向けた議論が本格化する中、一考してもらいたいところです。
さて、3時間半近くに及んだフォーラムは、5人が講演を行い、その後、参加者からの10の質問に答える構成でした(『10の質問、中医協診療側委員の答えは?』を参照)。議論になった一つが、「社会保障・税一体改革成案」で打ち出された受診時定額負担。医療界からは反対意見が相次いでおり、9月24、25日開催された十四大都市医師会連絡協議会でも、「断固反対」を決議しています(『「受診時定額負担、断固反対」、十四大都市医師会連絡協議会』を参照)。
梅村議員も、次のように問題視。「昨日(9月22日)の夜、辻厚労副大臣から電話があり、受診時定額負担について聞かれたので、絶対に反対だと答えた。これは免責制度そのもの。高額療養費制度とセットではなく、免責制度自体を議論せずに導入するのは、ルール違反。高額療養費制度の見直しという、誰も反対しない“人質”に取るのは問題。この法案を通すことは絶対にさせない」
10の質問のうち、柔道整復師の療養費については、適正化を図る必要性を指摘。同療養費は、部位の数に応じて算定できますが、3部位は単価の70%しか請求できず、4部位以上を施術しても療養費は算定できません。「なぜ大阪では、療養費の8割が3部位請求なのか。大阪だけ、転んでけがをする人が多いのか。確かに、柔道整復が必要な人はいる。しかし、医療費が足りないと言われる中、こうした部分の適正化とセットで進めるべき」(梅村議員)。
梅村議員は、国の予算の使い方も問題提起しています。2009年度第一次補正予算からスタートした地域医療再生基金は、当初の予算額は2350億円、2010年度にも2100億円積み増しされています(その後、さらに被災三県では追加)。また東日本大震災の復興予算では、宮城や福島の医療復興プロジェクトに対し、800億円、1000億円といった予算が検討されている点を指摘。
「地域医療再生基金は、どんな目的で、どんな結果を生んでいるのか、検証がなされていない。一方、2010年度診療報酬改定は、10年ぶりのプラス改定と言っても、0.19%のアップ、額にすると、約700億円、公費はその4分の1にすぎない。これを上げるのにあれだけ苦労した。予算の立て方は、本当に今のままでいいのか」
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