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トリプタン製剤ください

2011年10月06日(木)

先週から、「トリプタン製剤ください」という患者さんが何人も来られた。
「なんに聞くの?」と聞いたら、「めまい、耳鳴りが治るんですよ」と教えてくれた。
今時の町医者は、「ためしてガッテン」を見ておかないと患者さんについていけない。
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今夜は、第23回内分泌DMセミナーの司会をしていた。
甲状腺、高血圧、糖尿病、動脈硬化に関するレベルの高い勉強会。
しかし、懇親会での会話のほうが、レベルが高かった!

「トリプタン製剤ください」は、私のところだけではなかった。
いろんな開業医のところで同じ依頼があったようだ。
NHKの人気番組の宣伝効果は抜群だ。

「脳過敏症」という言葉を知っている人は、医師より患者さんの方が多いのでは?
LOH症候群の時もそうだった。
これからの開業医は、必ず「ためしてガッテン」を見ておかないとダメだという結論になった。

頭痛の概念が大きく変わりつつある。
片頭痛は、従来考えられているより広い概念になってきた。
さらにめまい、耳鳴りに、トリプタン製剤が効く場合が多い。

従来の筋収縮性頭痛には、片頭痛が隠れている。
デパケンという薬が、片頭痛の予防薬として認可された。
レルパックスという薬を、片頭痛の初期に飲むことが重要。

そうしたストーリーの最後に、「トリプタン製剤」が紹介されたらしい。
患者さんの頭には、この「トリプタン製剤」という言葉だけが残った。
めまい、耳鳴りの人への朗報として「トリプタン製剤」が伝わった。

それはそれでいい。
めまい症にトリプタン製剤の保険適応は無い。
それを行うことを、厚生労働省は認めていない。

NHKはそれをちゃんと言わずに、
みだりに現場を混乱させる報道をしている。

悪気は無いだろう。
しかし、現場の混乱をどうするのか?
マスコミはいつもこうだから困る。

・正しく伝える。
・混乱させない。
・社会の不利益を起こさない。

いずれにおいても、NHKの報道は、思慮に欠けている。
マスコミの影響力の大きさを考慮した報道をしてほしい。
レルパックスの会社を喜ばせるための報道になっていないか。

梨木様ご指摘の、夢の糖尿病の薬も、同じではないか。
聞いた話だが、夢の糖尿病薬とは、「ランタス」のことだそう。
昔から普通に使っているのだが・・・・

天下のNHKさま。
もう少し考えてから、医療番組を作ってください。

「金を出せ」のように、「レルパックスを出せ」
という患者さんがおられることを知って欲しい。

 

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この記事へのコメント

報道が医療現場にそのような影響を及ぼすのですね。
メディアは他にも紙面やインターネットと数多くあります。
我々だって発信源になり得るのだから普段から我々介護職も気をつけたいと思います。

Posted by 板野 at 2011年10月07日 10:29 | 返信

ためしてガッテン効果はうちの両親にも絶大ですね。
ちゃんと知って発しなければいけませんね。
言葉の責任力、最近よく考えます

Posted by きみきみ at 2011年10月08日 11:14 | 返信

私も番組をみた一人で
偏頭痛もちの耳鳴り持ち。
病院探しておりましたが、やはり「効きます」と言われると、
目に見えない病気持ちとしましては、試してみたくなるものです・・・

Posted by こづ at 2011年10月12日 11:19 | 返信

私も、ガッテンを見て『今の私の症状にピッタリだ』と思い、『今の辛い状態が治るかもしれない』と
希望の光が見えたと思っていました。片頭痛持ちで、半年前から頭痛が消えめまいが出ていたので…。

けれど、すがる思いで行った頭痛外来で「ああ、S先生のね」と言われただけで、
脳が過敏な状態なのかどうかの検査すらしてもらえませんでした。
頭痛学会の先生なのに、S先生の著書で紹介されている大学病院の先生なのに、もうお先真っ暗です。

耳鼻科や内科、婦人科など色々巡って治らず、私にとっては、最後の砦だったのです。

診察や検査も無しに「トリプタンを出して」と患者側から言うのはどうかと思うけれど、
あのような放送を全国的に流すのならば、
脳過敏の検査を積極的にやってくれる医師を増やしてからにして欲しかったです。

今でも、脳過敏を調べてもらえる医師を探していますが、
どのように探したらよいのかも謎になってしまい、もう迷宮入りです。

Posted by つる at 2011年10月13日 03:02 | 返信

私は10年以上耳鳴りで困って居ます。先日心療クリニックに行き、イミグランを処方されました。3回飲みましたが、まだ効果が出ていません。お医者さんにはトリブタンが処方して下さいと申しましたが。薬局が取り扱っていないらしく、イミグランも同じ効果が有ると云われましたが納得行きません。
トリブタンの扱い、処方してくれる。所を教えて下さい。

Posted by 大屋温義 at 2011年11月07日 01:00 | 返信

以下の5種類が現在日本で処方可能なトリプタン"系"のお薬ですので
イミグランもちゃんとトリプタンの一族ですよ
スマトリプタン(商品名:イミグラン)
ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミッグ)
エレトリプタン(商品名:レルパックス)
リザトリプタン(商品名:マクサルト)
ナラトリプタン(商品名:アマージ)
ただし、先生が仰っているように、どれも保険適応上は「偏頭痛」に対してしか処方が認められていません

Posted by tezz at 2011年11月16日 11:06 | 返信

通りすがりのガッテン視聴者です。
ブログ文章を読む限りでは、「トリプタン製剤がめまい、耳鳴りに効くとガッテンで放送された」と誤解されているような気がしたので訂正します。
他のブログでわかりやすくまとめておられましたので、以下引用します。

番組で、不眠、めまい、耳鳴りに悩む3人の治療に使われたのは、「抗てんかん薬」と「抗うつ薬」。
脳の興奮を抑えることで「脳の過敏状態」を改善したのです。
また、そもそも脳の過敏状態にならないためには片頭痛をしっかり治療しておくこと。
片頭痛の治療薬「トリプタン」は、痛み物質の発生を抑え、「脳の過敏状態」を防ぐことができます。

参照元ブログ
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/10/post_c5a3.html

Posted by 通りすがり at 2012年04月01日 09:49 | 返信

なるほど、 このブログ記事は役に立ちますね。参考になりました。

Posted by 匿名 at 2012年06月27日 12:34 | 返信

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