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嘘に嘘
2011年12月10日(土)
窓ガラスを割って入ってみると、床に倒れていたが、生きていた。
往診のあと、車椅子に乗せて運び、レントゲンを撮ると「恥骨骨折」だった。
じっとしていればm日にち薬で在宅でも充分治る。
しかし独居の患者さんは、まだ要支援1のまま。
それなのに3日前からほとんど全介助。
地域包括のケアマネが頭を抱えていた。
「先生、今夜だけでもなんとかして」と迫ってくる。
「俺が横に寝たろか?まあ間違いが起こるかもしれんけど」
この冗談で、泣きそうになっていた患者さんが笑ってくれた。
入院かショートステイのどちらかで今夜をしのぐことを、
ケアマネとヘルパーさんが、強く主張された。
私は、この患者さんと会うのは2回目なので黙って従うことにした。
某病院に、入院依頼をかけたが満床で断られた。
仕方なく「ショートステイ」で1~2日しのいでから入院させることになった。
そこで、その病院に再度電話で「入院の予約」を頼んでみた。
しかしまた断られた。
「ショートに行けるくらいなので、緊急性を感じないから」という理由。
黙っていたらよかった。正直に言ったことが裏目に出た。
嘘をついておけばよかった、と後悔した。
ショート先にも同じようなことを言われて断られた。
「骨折の人は施設には入れません」と。
こちらも骨折の話をしなければ、良かった。
緊急性がなければ病院はダメ。
医療が必要なら施設もダメ。
我々は、その狭間を行くために、小さな嘘をつくときもある。
結局、病院も施設も断られたので、ケアマネは泣きそうになっている。
嘘をつかなかったので、入院できなかった。
ショートにも断られた。
嘘も方便?
嘘をついたうえにまた嘘をつかねばならない。
でも嘘に嘘なら、本当になるかも。
時には知らないふりをしないと「入院」にはありつけない。
圧倒的病床不足地域の悲しい現実。
分かる医療者には分かるが、市民は知らない。
行き場のない独居高齢者。
在宅では無理な場合もある。
慢性期の急性増悪に制度が全然追いつかない。
現場は本当に困っている。
結局、あちこち探して入院できる病院が見つかった。
地域包括のケアマネは半日以上、ボランテイア。
時間外手当もつかないだろう。
しかしめでたし、めでたし。
しかし、毎日、こんな苦労をするこんな患者さんだらけだ。
施設や病院という箱モノの絶対数が足りない。
もし100億円借金できたら、
廃校になった小学校を買収して改装して
巨大な老人施設に生まれ変わらせたい。
校庭には全部芝生を植えて自由に遊べる。
認知症があっても全然OK。
集い場があtこちにある。
もうからなくてもOK。
だって職員の大半がボランテイア。
今夜はそんな夢を見よう。
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この記事へのコメント
医療的には必ずしも入院を要さないが社会的に入院が必要と思われる患者さん(独居の方など)はこれからどんどん増えていくと予想されますが、国の施策ではそういう患者さんはどんどん医療から排除する方向にありますね。
「入院の適応はほとんどが社会的要因で決まる」、と尊敬するオーベンに教わったことが懐かしい時代になりました・・・
Posted by みどり病院 清水 at 2011年12月10日 10:20 | 返信
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