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アルコール依存症患者さんからの手紙
2011年12月19日(月)
紹介した施設に入所してから禁酒できて、現在は依存症の人の相談相手をしていると。
嬉しかった。そいいえば偶然、一昨日の産経新聞に依存症の記事を書いたばっかりだ。
産経新聞「アルコールシリーズ」第3話
アルコールに関連した社会問題
ー適量と休肝日で依存症と自殺を予防ー 長尾和宏
忘年会のシーズンにちなんで、アルコールの話題をもう少しだけ。アルコールはさまざまな社会問題に関連しています。まず飲酒と自殺の関連についてです。現在、我が国の自殺者は年間3万人を超えていて、死亡原因の第6位です。交通事故死亡者の約4~5倍、特に働き盛りの40~50歳代の男性の自殺が増えています。特記すべきは、75歳以上の高齢者の自殺も増えていること。ちなみに国際比較ではロシア、ハンガリーに次いで日本の自殺率は世界的に見ても大変高率です。2006年には自殺対策基本法が制定され、「健康日本21」では、「年間自殺者数22000人以下」が達成目標として掲げられています。自殺者の98%が精神病を合併。3割がうつ病で、それに次いでアルコール依存症が大きな原因とされています。アルコール依存とうつは深い関係にあります。一方、アルコールを全く飲まない人の自殺率も意外に高く、1日1~2合の人が最低で、逆に1日3合以上のひとの自殺率はまた高くなるというUカーブを描きます。
晩酌などの「習慣飲酒」は、実はアルコール依存の始まりです。次第にアルコールに対する強い願望が生じ、一度飲み出したら止められない状態に至るひとがいます。さらに飲酒に関する有害な現象が起きても止められないのが「アルコール依存症」です。現在、アルコール依存症は82万人いて、予備軍がその5倍いるといわれています。
アルコール依存症は様々な「依存症」の中でも厄介な病気です。依存症専門の病院がありますが、遠くて入院できないというひとも多く、最近はできるだけ外来で治そうという方向にあります。依存症の治療には、まず本人の禁酒への意思が必要で、医療機関で安定剤、睡眠薬に加えて抗酒薬というお薬を使います。ニコチン依存症の治療とよく似ていますね。ただ、ニコチン依存症より克服は困難だと思います。また地域の断酒会に入ることもお勧めします。依存症克服に成功した先輩のアドバイスに耳を傾け、同志と情報交換しながら依存症からの離脱を目指します。
アルコールは、他にも様々な病気と関連します。メタボに代表される生活習慣病とも深く関連します。脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変、慢性膵炎をはじめ様々な肝臓病や膵臓病と関連します。飲酒で増えるがんとして肝臓がん、大腸がん、乳がんが知られています。またタバコと同じで、アルコールの通り道にある臓器のがんも増加します。口腔、咽頭、食道がんです。私は内視鏡医なので、胃カメラの前に必ず患者さんに「お酒とタバコ」について問診します。両方ある50歳以上の男性の食道は、特に念入りに観察します。食道がんはそのような人に集中してできるがんだからです。ここまで読んで「依存症かな?」と思った人は、3日でもいい、1週間でもいいのでお酒を止めてみてください。それが可能ならまだ依存症ではありません。たしかに少量の酒は百薬の長なのですが、知らぬ間に依存症になっては本人も家族も大変辛い思いをします。適量を守り、週1~2日は休肝日を作って長く楽しんでください。今年は今回で終わりです。少し早いですが飲み過ぎに気をつけてよいお年をお迎えください。
キーワード:抗酒薬
アルコールを分解する酵素を阻害し酒を飲むと気分が悪くなるお薬で依存症の治療に用いる。シアナミド(シアナマイド液)やジルスフィラム(ノックビン)がある。効果の持続は前者が1日、後者は数日。
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