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スモン病の歴史
2012年03月11日(日)
ついてお話をさせていただいた。名だたる諸先輩の前で少々緊張した。
特別講演ではスモン病の歴史について大村先生から詳しく教えて頂いた。
「スモン」とのかかわり
国立病院機構 呉医療センター
名誉院長 大村一郎先生
最初はスモン病の原因がキホルムが原因とは全く分からなかった。
キノホルム中毒であると判明するまでさまざまな議論があった。
家族内で集団発生するので
・重金属中毒説。
・ウイルス説等があった。
キノホルムは、明治32年から使われていた。
その後、劇薬に指定された。
高価な薬だった。
兵隊の下痢止めとして使われた。
昭和13年に、大阪の桃山病院(天王寺病院)で
700人の患者が出たことがあとで分かった。
これが日本における最初のスモン病である。
昭和36年の国民皆保険制度と開始と相まって
エンテロビオフェルミンとしてキノホルムが多用された。
なぜか犬や猫には投与されなかった。
昭和39年の日本内科学会での議論は、
徳島の姫野先生がウイルス説をとなえた。
感染説が主流だったために自殺する患者もいた。
厚生省では、120人による研究班を結成した。
当時5億円の研究費が投入された。
これを契機にして、SLE,重症筋無力症、
ベーチェットなどの原因究明がなされたが、成功しなかった。
最初はキノホルムが原因だと信じない医師もいた。
自分で飲んで実験して亡くなった医師が2人いた。
特定疾患の第一号がスモンだった。
現在は67の病気が指定されている。
診断基準として、
・亜急性の経過
・腹部症状
・知覚障害が前面に出る
現在、全国に1万人の患者さんがいる。
軽症も含めると2~3万人もいる。
大阪はスモンと関連の患者が多い。
患者一人あたり、1500万~5500万円の補償金が支払われた。
それらの5%を拠出して、5億円の「スモン財団」が作られた。
現在、患者さんの交通費などに使われている。
現在、厚労省のスモン班の研究課題は、
ポストスモンの経過を研究している。
若年発症例の研究もおこなわれている。
これは、ポスト・ポリオ研究と同じこと。
大村先生は全国の100人の患者さんを自分の足で回られたそうだ。
患者さんの多くは田舎にいるので1日に1~2人しか回れない。
私のした質問
Q1 外国ではスモンは無かったのか?
A1 マレーシアやスイスでもあったようだが、
高価なキノホルムが2週間投与されることは
ほとんど無かったらしい。
日本では皆保険制度が出来た時期と重なったのは皮肉なこと。
Q2 スモンとキノホルムは、1:1対応なのか?
A2 1:1対応である。
私自身、これまで数人しか診たことがない「スモン病」。
スモン研究の第一人者か直々に
スモン病の発端から勉強させていただいた。
大村先生のご講演の中で、井形先生のお名前が出た。
厚労省で対応されたのは、岩尾總一郎先生ではないのか。
井形先生お岩尾先生も私が日本尊厳死協会で現在、
大変お世話になっている先生。
ご縁とは不思議なものだとつくずく思った。
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