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「抗がん剤シリーズ」朝日と産経で同時スタート

2012年11月11日(日)

昨日から、「抗がん剤シリーズ」を朝日新聞(電子版)と産経新聞(兵庫版)でスタートした。
胃ろうの話の次は、「抗がん剤」について本音で語ってみたい。
2紙に書いていく(それぞれ別の内容)が、さて、どんな展開になるのやら・・・
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昨日の産経新聞・兵庫版から転載させていただく。
産経は毎週土曜日、全8回。
朝日新聞・電子版は、年内毎日、約50本続けて書きたい。


産経新聞「抗がん剤シリーズ」 第1回 早期胃がんの患者さん

              「早期発見、早期治療」は本当だった

 

 町医者のもとにも、がんに関するいろいろな相談が舞い込みます。がんの予防、がん検診、早期癌の治療、抗がん剤、緩和医療、終末期医療など、さまざまながんのステージにおける悩み相談があります。実に幅が広い。今日から8回、主に抗がん剤について述べていきます。私はただの町医者であり、がんの専門医でも、抗がん剤の専門医でもありません。ただ、がんの数だけは沢山見て来ました。現在も多くのがん患者さんを診させて頂いています。「こんな考えの町医者もいるんだ」という軽い気持ちで読んで頂ければ幸いです。

 
 第1回目は「胃がん検診」についての雑感を述べます。日本人に多い胃がん検診として、昔からバリウムを飲む胃透視が有名です。検査のあとは白い便が出ます。胃透視による胃がん検診は、集団検診に適していますが、小さながんを見逃す可能性があります。近年は、内視鏡を用いた胃がん検診が普及してきました。内視鏡検査なら小さながんでも見落としがより少ない。さらに、バリウムも内視鏡も飲まずに、血液検査で行うABC検診という検診が提唱されています。胃がんの危険因子である、ピロリー菌と萎縮性胃炎の両方を持つ方が胃がんになる危険性が高いことを利用した検査法です。血液検査で胃がんになり易い人を絞り込みます。だれかれとなく内視鏡検査を行う方法は、がん検診としては効率が悪いのです。そこでABC検診でハイリスクのひとに内視鏡検査を行おうという考えです。いきなり内視鏡という前にワンクッションを置くのは、便潜血反応が陽性の人に大腸内視鏡検査を行うのと似ています。誰でも内視鏡検査は嫌なものです。あれが好きな人など、あまり見たことがありません。

 
 さて、内視鏡で発見された小さな早期胃がんを放置しているとどうなるのでしょうか?慶応大学の近藤誠先生という方が、「患者よがんと闘うな」など一連の著書の中で、「がんの早期発見などない。それはがんでなく、がんもどきだったのだ」と主張されています。「本当かな?」なんて思いながら、10数年間、早期胃がんの方を観察してきました。せっかっく早期発見しても、本人の意思でがんを放置された方が何人かおられました。3年後に現れた時に再び内視鏡で見たら、立派な進行がんになっていました。それでも説得を無視して、さらに3年後には痩せこけた姿で私の前に現れました。ついに末期がんでした。結局、その方は間もなくお亡くなりになりました。その一連の経過を見て私は「早期胃がんを放置すればやっぱり死ぬんだ」と思いました。実は同様な方を2人見ました。一方、同じような早期胃がんで内視鏡手術ないし外科手術された方が沢山いました。私の知る限り全員元気で生きておられます。それらの中には、もしかしたら近藤誠先生が言われる

 「がんもどき」も混じっていたのかもしれません。しかし、早期胃がんを放置した人と治療した人の差は私にとっては歴然です。従って「早期発見、早期治療は本当だ」と確信しました。「なんだ、そんなこと当たり前じゃないか!」と思われる人も多いでしょう。みなさまには当たり前かもしれませんが、私にとっては新鮮な学びでした。さて、その早期胃がんを手術した後に、果たして抗がん剤は必要なのでしょうか?(続く)

 

キーワード 胃がんリスクのABC検診

ピロリー菌感染の有無(血清ピロリ菌IgG抗体)と胃粘膜萎縮の程度(血清ペプシノゲン値)を測定して胃がんになりやすい状態かどうかをA~Dの4群に分類する新しい検診法。胃がんそのものを見つける検査ではない。

                   

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この記事へのコメント

私は大腸がんの検査はしたくせに「今度は、胃がんの検査に来ます」とお医者さんに、約束して、忙しくて、行っていません。
大腸がん検査も、麻酔のお蔭で、全く痛みはありませんでした。だから、胃がんの検査も痛くないと思います。宝塚南口の宝塚ホテルの西向かいのお医者さんです。
比較的、若い女三人で、下剤を飲まされていると、胃がん検査のお婆さんが「あんたら、若いのに、大腸がん検査しているの?」と聞くのです。「そうよ」と言うと、「私は上品な胃がん検査やけど、あんたらは、大腸がん検査やなんてようするね!」言うので腹が立って「お婆さんも、もうすぐ、大腸がん検査に来ることになるんよ!」と言うと、「いやや!」と言ってました。看護婦さんも笑ってました。「ジョウヒンな胃がん検査も受けて見なければ」とは思うのですが...。

Posted by 大谷佳子 at 2012年11月12日 01:30 | 返信

>「助かるものは助かる、しかしダメなものはダメ」。
>「ならばジタバタせずに、今を楽しく生きればいい」

と本当にそう思います。
なので、がん検診は受けないんですが、主治医の立場からすると定期健診して欲しいらしく、別件で受診するたびに、「受けてください」と言われます。お医者さまの提案に逆らっているようでいつも申し訳ない気分になります。

Posted by ノンノン at 2012年11月12日 02:59 | 返信

ノンノン様。
いえいえ、長尾先生がアピタルで、胃がん検診で、「早期発見、早期治療」と仰るものですからね。
大腸がん検診は、皆に、からかわれるので、お勧めしませんが、胃がん検診は若い女性にお勧めします。
癌検査で無くても、ピロリ菌検査だけでも、そこをなんとか。

Posted by 大谷佳子 at 2012年11月13日 12:51 | 返信

長尾先生が産業医をなさっているのに、こんな事を申し上げるのも、何ですが、職場の検診は、あくまで会社の為にするのです。
ですから、個人的に親しいお医者さんで、癌検診をするのが、良いと思います。
知り合いの主人は綜合商社のエリートサラリーマンでしたが、会社が、癌検診で「肺癌」を見つけました。
でも、本人には内緒にして、妻に報告して、「貴方の主人は肺癌なので、これからは、前線から、離れて、後方で働いて貰います。でも、肺癌だと言う事は本人には内緒にして下さい」と言ったので、本人は死ぬまで、自分が肺癌だとは気がつかずに死んだそうです。
でも、死に際に「俺は、死ぬ!」と言って死んだそうで、かわいそうだったと妻が言ってました。自分では、知らない方が良いのなら、職場で、癌検診を受けたら良いでしょう。

Posted by 大谷佳子 at 2012年11月13日 12:10 | 返信

会社の健診でがんが見つかっても、早期で済まないことは多々あるようです。
私もその一人で、1回目の検査で癌はでなかったのに、再検査と言われて行った検査で胃癌と言われました。即、対応したのですがステージⅣだそうです(哀)
スキルス胃がん。何度か撮った映像では、みるみる変容してゆくのがわかるくらいでした。
結果的に腹膜播種があったとかでステージⅣ。胃は全摘しましたが、ずっと抗がん剤治療です。
「こんなのいつまでつづけるのかしら」と思うのですが、続くのだそうで。。。
今のところ、腹水も無ければCTでは確認できる転移もないので「薬が効いている」という医師の判断です。
けど。。。播種がパクリタキセルで消えるものではないとしたら、いつかは出ますよね。
そして、出なかったとしたら、今の治療と称する行いは、自分の体を痛めつけてるだけの愚行ですよね。

どこで止めるかなーというのが、今年の1月に手術してからずーっと考えていることです。
術前抗がん剤から数えると、すでに1年。手術から2年は続けた方がいいのかなぁと思いつつも、2年もこういう生活続けたくないという意識がつよいので、頑張って1年半かなと思っています。
とはいえ、医者の態度は2年生きてたらめっけもの! みたいな感じなんですけどね。

誰も「止めていいよ」と言えないことなのなら、「止めていいよ」と自分に自分で言ってやるしかないですよね。きっと。
というわけで、がん検診なんて、毎年胃カメラ飲んでても、見つかった時はすでに早期がんじゃないってこともあるってことで、「助かる人は助かるけれど、助からない人は助からない」ものだと思います。

自分は10年生きる気満々なんですけどね。なんつっても親を見送ってやらないと可哀そうだから。と、思います。

Posted by ユウタ at 2012年11月15日 03:12 | 返信

ごめんなさい。ノンノンさんを相手に、軽い気持ちで、お喋りしてしまいました。私は鍼灸師なので、詳しい事は分かりません。
尼崎のお近くの方なら、是非、長尾クリニックにTELして、長尾先生に診てもらって下さい。
実は、私の家系も、胃の弱い家系で、私自身も、ベーターブロッカーを、飲まされています。
私自身も一度、胃の検査をしなければ、他人事とは思いません。

Posted by 大谷佳子 at 2012年11月16日 01:16 | 返信

重ねがさね、申し訳ありません。βブロッカーではなくて、H2ブロッカーを飲まされているのでした。
お詫びして、訂正します。

Posted by 大谷佳子 at 2012年11月16日 11:05 | 返信

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