- << いきなり、売り切れ!?
- HOME
- 午前は神戸、午後は大阪で講演 >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
3時間毎の導尿
2013年02月28日(木)
今日は取材、産業医業務のあと、4人の新規の在宅患者さんを訪問した。
初回訪問には、どうしても時間がかかる。
中には、どこから手をつけていいのか分からない患者さんもいる。
ある患者さんは、病院の若い医師に3時間毎の導尿を命じられていた。
介護者は、夜中も寝ずに、それを続けていて、フラフラになっていた。
病院の主治医は、「3時間毎に導尿をしないと死ぬぞ!」と脅していた。
私は、「そんなこと無視して、1日2回で充分ですよ」と言った。
介護者は、「じゃあ今までは何だったんでしょうね」と聞いたので、
「幻だと思って、今からは忘れてくださいね」と言った。
別の患者さんは、病院から20数種類の薬をもらっていた。
寝たきりの人に、20数種類?
私は、3種類に減らした。
介護者は聞いてきた。
「20数種類飲まないと死ぬ、と断言した病院の医師は間違っているのですか?」と。
私は、「たいへん残念ですが、間違っていると私は思います」と大人しく回答した。
1日8回の導尿???
8回も小便に行かないのに。
寝たきりで水分も取らないのに。
だいたい、1日に8回も、オチンチンに管を入れられたらどんなに辛いか。
それを「拷問」という。
その若い医者のオチンチンに私が1日に8回管を入れないと理解できないのだろう。
また別の若い医者には、1日、20数種類のお薬を出して飲ませてみたい。
毎食、毎食、一度でいいから自分も飲んでみろ!と言いたい。
そうしないと、自分の愚かさが理解できないのだろう。
私が間違っているのか?
若い医者が間違っているのか?
町医者の常識と、病院の常識は真反対。
誰か、止めてくれよ!
誰か、「オカシイ!」と言ってあげてよ。
誰か、ちゃんとした医学教育をしてくれよ!
と、言いたい。
最近の医療者向けの講演では、必ず、納棺体験の話をする。
一度でもお棺に入ったことがある医療者はまずいない。
しかし人を看とるには、一度くらい、お棺に入って欲しい。
しかし医師も看護師も、誰も入ろうとしない。
すべて他人事。
生き死にすべてが、他人事。
だから無茶なこともl平気でできる。
患者や家族が苦しんでいても気がつかない。
医者が死ぬ直前になってから、「自分が末期がんになって分かったこと」
みたいな本を書いて、懺悔をしようとする。
それを書くほうも書く方なら、
買う方も買う方だ。
阿波踊りの世界。
そんなことでは遅すぎるのだ。
懺悔は、研修医、いや医学部1年生でやっておくべきだ。
在宅現場には、病院医療の矛盾点がすべて落ちている。
そんなもの無視して追従するという手もある。
世渡り上手な在宅医は、そうしている。
しかし私はどうもそれが苦手で、見過ごすことができないので困る。
病院から嫌われても患者さんと家族が喜んでくれればそれでいい。
- << いきなり、売り切れ!?
- HOME
- 午前は神戸、午後は大阪で講演 >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
この記事へのコメント
「3時間毎に導尿をしないと死ぬぞ!」って、「じゃあ3時間毎に導尿したら死なないんですね?」って、私だったら聞いてしまいます。その医者、どのように答えるのでしょうか。
また、「そうですか、では20数種類の薬を飲んだら死なないんですよね? よかったぁ! 先生ありがとうございます!!」って、ニコニコしながら言ったら、別の医者は、何と言うのかしら。
「そうだよ。死なないよ。」と言うのなら録音しておけば証拠になる。
患者としては医者を怒らせるわけにいかないから少なくとも反論はしないから、その医者は自分が正しいと思ってしまう。これからもずっとその医者は自分がやっていることに疑問を持たない・・・なんか暗澹たる思いがします。
長尾先生の本をたくさんの人が読んで、長尾先生の考え方を知る人が増えて、町医者の常識が浸透することを願っています。
Posted by komachi at 2013年03月01日 07:05 | 返信
長尾先生、初めまして。いつも朝日新聞の方からコラムを読ませていただいています。私はアメリカで循環器系のICUでナースをしてまして、終末医療にとても興味があります。長尾先生のコラムを読んで、いつもとても共感できるものが多く、日本の医療はそういうものなのか、ととても勉強になっています。今度日本に帰省するので、そのときにはぜひ長尾先生の本も買わなきゃ!と思って楽しみにしています。
アメリカでも、延命治療にはいろいろ問題があって、痴呆症で寝たきりで話もできない患者さんにtracheostomyやPEGをすることもたびたび、ナースとしては見ていて辛いことも少なくありません。こちらの急性期専門の医師で緩和医療を進める先生も少なくないのですが、やっぱり家族が延命治療を望まれることが多いのですよね。本人が辛そうなのに、もうしゃべることもできないと、意思表示ができない。本当にいたたまれないです。"平穏死という親孝行”、ぜひ読みたいと思っています。
Posted by skiris52 at 2013年03月01日 01:46 | 返信
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: