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認知症と後見制度

2013年04月27日(土)

昨日の産経新聞は、凄かった!新憲法草案が特集されていた。
さて、今朝の産経新聞・兵庫版認知症ケアシリーズ第6回目は、
後見制度について書かせて頂いた。
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産経新聞認知症ケアシリーズ第6回  財産管理で慌てない

 成年後見制度を上手に利用

 

 認知症の初期症状は、ときに大変分かり易い場合があります。高齢男性が怒りっぽくなるか、反対に無気力になるとかなり怪しいです。一方、高齢女性が「嫁がお金を取った」といえば、それだけで認知症だと分かります。さて、家族の認知症が進行して周囲が困るもののひとつは本人の財産管理。たとえば銀行口座など本人確認が必要な場合、いくら自分が子供であると名乗っても取り合ってくれない場合があります。本人が管理できなくなった時のために、成年後見制度という代理人制度があります。介護保険制度が誕生したのと同じ年、2000年に誕生しました。

 
成年後見制度は、複雑で私も深く知りません。まず
裁判所の審判による「法定後見」と、本人の判断能力が十分なうちに候補者と契約をしておく「任意後見」とがあります。法定後見は家庭裁判所を通して、任意後見は公証役場を通して後見人が決まります。法定後見は、程度によって「後見」、「補佐」、「補助」に分かれます。一番多いのは、もちろん「後見」です。

 
 後見制度を利用するために必要なものは、「申し立て人」です。問題は、誰がその言いだしっぺになるのか、ということです。申し立て人は、後見人を選ぶまでの諸費用を負担する義務があります。一般的に司法書士さんなどを介する場合、約20万円強の諸費用が必要だそうで、申し立て人の負担になります。これを聞いただけで「やっぱり、やめておこうかな」という人が多いでしょうか。あまり知られていないのですが、実は認知症の「本人」も申し立て人になれます。それも「補佐」や「補助」だけではなく、「後見」の申し立て人にもなれるのです。自分で判断できないから後見人に委託するのですが、自分自身も申し立て人になれるという仕組みはちょっと不思議ですが知っておくべきです。また一度選定された後見人は、原則、一生変更することができません。職務の大きさに応じて、毎月決められた費用を負担します。


 成年後見制度はこの13年間で約30万人の人が利用されたそうです。現在、300万人の認知症の人がいるといわれていますのでもっと増えるでしょう。誤解なきよう申し添えますが、私は決して後見人制度を勧めているわけではありません。そんな制度を利用しなくて済むなら、それにこしたことはありません。しかし現代社会では、認知症の人を取り巻く環境は実に様々です。別居や独居をはじめ、様々な問題が生じます。認知症の人の財産を巡る不毛なトラブルを回避するためにも、後見人制度を利用したほうがいい場合が、毎日の在宅診療の中でたくさんあります。もちろんご家族が、後見人になれば一番いいでしょう。しかし家族がいないとか、いても疎遠や喧嘩しているとか、様々な事情がある場合があります。そんな場合、司法書士さんや弁護士さんが後見人になることが1割ずつくらいあります。市民後見人はまだ1%だそうです。備えあれば憂いなしといいます。財産管理等が心配な方は、元気なうちからこの後見制度を学ぶことも認知症ケアに必要なことだと思います。

 

 

キーワード  成年後見制度

判断能力の不十分な人を保護するため、本人に代わって法律行為を行ったり、本人の法律行為を助ける者を選任する制度。申請には申し立て人とかかりつけ医の診断書が必要である。

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この記事へのコメント

本人の貯蓄が銀行や郵便貯金などの場合は、解約手続きはたとえ本人が認知症でも家族が間に入って担当者が家に来たり電話で直接本人にかけてきていただいたりしてなんとか融通をきかせて下さいました。でも担当者によっては多分アウトだと思います。

「無慈悲な」のは株などの金融商品にしている場合です。郵便局の時に大丈夫だったから、証券会社の担当員にバカ正直に父が単独では取引が困難であるために私が間に入って手伝うが全て父の意思だと伝えたところ「承知いたしました。しかしながら申し訳ありませんがお父さまが認知の症状が出ているとの旨、お聞きした以上当方は今後一切お父さまのお手続きをお受けいたしかねます。こちらの金融商品についての売買は一切このお電話以降は不可能と御理解下さい。株式というものの性質上、ご本人様がそのような状態とお聞きした以上いたしかたないことです。」
私「はぁ、今父の隣で父と話しながらこの電話をかけているのですが父と代わりましょうか?」
相手「いえ、もはや本人様とお話ししたところで認知症ということですのでお話できることはございません。もうお手続きは全てさせていただけません。」

ある意味相談でかけたところもあるのですが、証券会社の方の氷のような無慈悲な対応には背筋が寒くなりました。
まぁ、でもこの時解約しなくて良かった。大した額ではありませんが少しは上がっているでしょうから。

この時に私が後見人だと言えたら相手の態度は180度違っていたのでしょうね。

Posted by チズ at 2013年04月27日 02:07 | 返信

少し要り用があって、母の貯金を降ろそうとしたら、カードでは降りませんでした。
「窓口まで、お越しください」と画面に、出ました。
母の貯金で、母の許可を得て出そうとしたのに「銀行のお金」みたいに、疑われます。
「フリコミサギが、いてるから」というのですが、腹立たしい思いです。

Posted by 大谷佳子 at 2013年04月30日 02:13 | 返信

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