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キャリアブレインのインタビュー記事
2013年10月23日(水)
キャリアブレインによる私のインタビュー記事が公開されている。
http://www.cabrain.net/management/article.do?newsId=41137
いきなり、CBニュースのトップだそうだ。
http://www.cabrain.net/news/newsRanking1.do#day
当たり前のことを書いただけなのだが、
同じように感じている人が多いのかもしれない。
「助かる命奪われる」
医者に殺されるな―。最近、書店に行くと、こうした「医療否定本」が目を引く。100万部を
超えるベストセラーも生まれ、医療現場にも影響が出始める中、この流れに待ったを掛け
た医師がいる。兵庫県尼崎市の長尾クリニック院長、長尾和宏氏だ。長尾氏は先月、「『医
療否定本』に殺されないための48の真実」(扶桑社)を出版。「助かる命が奪われるのは、
非常に由々しき問題だ」と主張する長尾氏に話を聞いた。【聞き手・敦賀陽平】
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特集 » 特集 2013年10月21日 15時00分
医療現場にも影響、「医療否定本」に反論-長尾氏
「助かる命奪われる」
―なぜこの本を書いたのですか。
患者さんに、正しいことをお伝えしたか
っただけです。一部で不必要ないし過剰
な医療が行われている事実はあります
が、そこだけを強調することで、医療を全
否定している。こうした医療否定本には、
「手術や抗がん剤、がん検診も無意味」
「がんは放置した方がいい」と書かれてい
ます。それを単純化して、「がんは放って
おいても治る」と思い込んでしまった患者
さんがたくさんいる。中には、簡単に助か
るがんもいっぱいあるのに、それを放って
おけというのは犯罪に等しい。助かる命
が奪われるのは、非常に由々しき問題で
す。
早期の胃がんは進行がんにならない、死なないと書いてありますが、それは違う。僕も、
進行がんに発展した患者さんをたくさん診てきた。そして何人か、がんを放置した結果、亡
くなった方も見てきた。早期がんの自然経過です。年齢や全身状態によっては放置した方
がいい病変がある一方で、早期発見・早期治療が有用な病変も多くあります。それを頭ご
なしに全否定するのは、まったくのナンセンスです。治せるものまで治してはいけないとい
う風潮は、非常に危険だと思います。
医療否定本の中には、「エビデンス」という言葉がよく出てきます。一般の読者は、一つ
の論文の結果を「エビデンス」として、何か絶対不動の真実のように信じているようです
が、それは間違いです。5%の危険率で有意差が出たということは、5%は間違っている可
能性を含んでいるということ。否定本の中にある「エビデンス」という言葉が、一般の人の
間で独り歩きしている状況は危険です。エビデンスはアカデミアの世界でしかつくられない
という、当たり前のことから啓発する必要があるとも思いました。
それなのに、医療者側が誰も反旗を翻さない。誰も反論しないから、国民は医学会も否
定本に賛同したと思い込んでいる。学会や大学の肩書を背負う先生方は、そう簡単には反
論しにくいでしょう。だから、わたしのような“町医者”から言い出してみました。そろそろ本
当のことを言わないと、取り返しが付かなくなる。もはや看過しない方がいい。町医者の僕
は失うものがないから、どれだけたたかれても構わない。願わくば、この本と医療否定本を
読み比べて、医療者に点数を付けてほしいと思っています。
医療現場にも影響、「医療否定本」に反論-長尾氏
「助かる命奪われる」
■医療否定本を無視できない時代に
―患者さんだけでなく、医療者の方にも読んでほしいと。
そうです。昔だったら、「変なことを言う医者がいる」で済まされたでしょう。でも、今や書
店に行くと、「病院に殺される」「医者に殺される」といった本ばかり。そして、大手新聞や週
刊誌は、こぞってそうした本を絶賛してきた。もはや、医療否定本を無視できない時代で
す。売れた本の著者と出版社は本が売れさえすればいい。否定するのは勝手ですが、そ
の本を信じた患者さんの不利益は、誰が責任を負うのでしょうか。そもそも、そうした本が
氾濫する中で、患者さんは幸せになるのでしょうか。否定本の陰で、無用な不安におびえ
ながら泣いている方々が大勢いるのが現状です。
もちろん、医療者側にも反省すべき点は多々あります。こうした本が売れること自体、医
療が懐疑的な目で見られていることの裏返しですから。当然、反省すべき点はきちんと反
省し、しっかりと膿を出し切らなければならない。でも、だからと言って、医療を全否定した
ら、医者も患者さんも不幸になるだけ。医療否定本の説明に時間を取られ、本来すべき話
ができなくなるだけでなく、感情的なしこりが残ります。がんセンターの医者が“がんもどき
理論”の説明ばかりに時間を取られているなんて、本当にお気の毒です。
―極論が独り歩きしたということなのでしょうか。
出版社は、「売れたら後は知らない」となる。“売れた者勝ち”です。けれども、医療の情報
というのは、患者さんの命に直結します。医療界はいつも、メディアに翻弄されてきた。胃
ろうの問題にしても、市民には「胃ろうイコール悪」みたいに受け取られて、鼻からのチュー
ブやIVH(中心静脈栄養)を選択する人が増えてしまった。メディアのせいで、医療が逆戻
りした。現場は無用な苦労を強いられ、患者は胃ろうの恩恵を受けられない。医療否定本
の著者を、メディアは一斉に持ち上げた。そんな自分たちが医療崩壊、医療不信の一翼を
担っていることを、メディア自身がもっと自覚してほしい。
「『平穏死』10の条件」(ブックマン社)を書いてから、医療否定論者と間違われることがあ
りますが、僕は助かる命に関しては、医療の可能性を追求したい。ただ、終末期の延命治
療については、ある時点からは命を縮める「縮命治療」となり、逆に苦痛が増大する。すな
わち延命治療には、「延命」と「縮命」の分水嶺が存在する。縮命とは、患者さんの尊厳に
反するから、そこはやめましょうと主張しているだけです。必要な医療はしっかりとやるべき
であって、全否定する気など毛頭ありません。
国民の中には、医療に対する根強い不信感があります。しかし、明らかに抗がん剤が有
用な場合もあります。その時に、「いや、でも否定本にはこう書いてある」と押し問答になっ
て、やめてしまった結果、最後に後悔するのは患者さんです。僕は、患者さんはいい治療
を受ける権利、正しい情報を知る権利があると思う。いろんな情報を得て勉強しながら、医
師との話し合いの中で自己決定をする。それが医療です。それを全否定するということは、
医療現場にも影響、「医療否定本」に反論-長尾氏
「助かる命奪われる」
■がんもどきは“あと出しジャンケン”
―著書の中では、「がんとがんでないものの境界はグラデーションになっている」「がんもど
き理論は、あと出しジャンケンだ」と主張しています。
がんと“がんもどき”に分けることは、新しくも何ともなく、単純化にすぎない。悪性度という
言葉が昔からある。がんの悪性度はグラデーションであり、低いものが高いものに変化す
ることもある。本物のがんは小さくても転移するのは、その通り。1センチでも遠隔転移する
がんはいくらでもある。でも、「だから治療しても無駄だ」と言うのは乱暴です。
悪性度がどこまで高いかが分からないので、臨床の現場は苦労をする。本物のがん、す
なわち悪性度の高いがんだと分かるのは、あくまで治療後の話。そのような表現は、いわ
ば“あと出しジャンケン”にすぎません。やってみなければ分からないのが現実なのです。歌
手の桑田佳祐さんは、手術で食道がんを克服したように見える。しかし、同じ食道がんで
も、亡くなった芸能人には「それ見たことか」と追い打ちを掛ける一方、助かった芸能人の
話は決して書かない。結果だけを見て、本物のがんだから死んだ、がんもどきだから生き
ている、などと言うのは、単なるあと出しジャンケンです。ゴルフで言うならば、「タラレバ」と
同じこと。こんな表現は外野席からのやじにすぎず、医学や理論であるとは言えないと思
う。
血圧は高い方がいい。血糖値も高い方がいい―とエスカレートする。そんなはずはない。
高齢になれば、高くても放っておいていい場合があるのは事実ですが、それがいつの間に
か、高い方がいいに変わってしまった。否定本の中では、こうしたすり替えが多用されてい
る。国民の多くは、新聞広告の見出しを読んでいます。100万部も売れる本の広告は、そ
の10倍の方々の目に触れている。情報は、単純化されて伝わるので、そこで勘違いが起
こるのです。それなのに、なぜ医学会は反論しないのでしょうか。このような状況を「放置」
している医学会には、責任はないのでしょうか。
「がんは放っておいた方がいいんじゃないですか。売れている本にそう書いてありました
よ」。何度か、患者さんにこう聞かれました。がんで手術をしてはいけない? 違う。手術や
治療をしない方がいい場合もあるだけの話です。手術・治療をした方がいい場合はいっぱ
いある。医療情報は、正しく伝えなければならない。僕は、救うことができる患者さんを救
いたい一心でこの本を書きました。金もうけをする気など毛頭ありません。実際、これまで
出た書籍の印税は、すべて福島県相馬市に寄付している。患者さんから、「読んで安心し
た」という手紙を頂くたびに、書いてよかったと思っています。今度は医療界、専門家の出
番です。僕の本を読んでどう思ったのか、感想をぜひ知りたいですね。
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