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緩和ケアもホスピスも「地域」へ

2014年04月29日(火)

医療タイムスの今週号の特集は、「がん患者就労と緩和ケア」。
私の連載は「緩和ケアもホスピスも地域に向かうことを書いた。
「緩和ケアは地域にある」という主張を強調したい。
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医療タイムス4月号    緩和ケアもホスピスも「地域」へ    長尾和宏
 
 緩和ケアというと緩和ケア病棟や施設ホスピスを連想する人が多いでしょう。しかし私はかねてより「緩和ケアは地域にある」と感じています。施設ホスピスならぬ「在宅ホスピス」に日々従事していていますが、在宅看取りの大半は、末期がんです。
オピオイドをはじめ種々の鎮痛薬の発達に伴い、自宅での緩和ケアは飛躍的に進歩しました。自宅効果と相まって、9割以上の患者さんが最期まで在宅で過されています。特に身寄りが無い独居の末期がんの方は10割、自宅で看取ってきました。それも、オピオイド鎮痛薬デバイスの恩恵だと思います。なんといってもレスキュー薬をベッドサイドに置いておくことができて、患者さん自身の判断で真夜中でも飲めるのが在宅ホスピスの特徴だと思います。
 
 さて、「施設ホスピス」は、がんとエイズに限られています。一方、「在宅ホスピス」は、がんに限らず、神経難病、脳梗塞、認知症まで全ての病態が対象であると考えられています。そのため私が所属している「日本ホスピス在宅ケア研究会」では、みなさんが「ホスピスマインド」という言葉をよく使います。

 「ホスピスマインド」には2つの意味があると思っています。まずは、一部のオピオイド鎮痛薬が非がん疾患の慢性疼痛も適応になったことです。もうひとつは、身体的痛みのみならず、精神的、社会的、霊的痛みを含むトータルペインを多職種で支えようという意味での、マインドです。ホスピスという哲学は地域においては、どんどん広がっています。病院によっては、化学療法専門医と緩和ケア専門医とに細分化しているところがあります。看護師も同様です。そんな場合、早期から在宅ホスピス医や緩和ケアに精通した訪問看護師が介入することで、適切なタイミングで緩和ケアの恩恵に預かれる患者さんが増えます。超高齢・多死社会とは、換言すれば緩和ケアの時代であると捉えることもできます。緩和ケアは、患者さんはもちろん提供する側も大変遣り甲斐のある仕事であると思います。
 
 以上の内容は、5月中旬に出版される予定の2冊の拙書「抗がん剤が効く人、効かない人」(PHP)、「大病院信仰、どこまで続けますか」(主婦の友社)にも詳しく書きました。興味のある方は是非ご一読頂ければ幸いです。いずれにせよ、がん対策基本法に基づいて行われている緩和ケアの講習会の裾野をさらに拡大していくことが大切です。
 
 前回、この4月の診療報酬改定を「地域包括ケア改訂」だと勝手に命名しました。これは単に患者さんの流れが、病院から地域へ、に変わるという意味に留まりません。13対1の地域包括ケア病棟の充実とそこにおける緩和ケアの介入が期待されます。さらにこれまでは、「病院の受け皿としての在宅」であったのが、「在宅の受け皿としての病院」という発想の転換点になります。そして緩和ケアも、これを機に施設から地域へと大きく転換すると思います。薬物療法のみならず、非薬物療法もさらなる応用が期待されます。リハビリ、傾聴、アロマテラピーなどには、さらに多職種が関わるべきでしょう。有名になったがんカフェもより地域に移行することでしょう。こうした動きこそが、“がん対策基本法”の本来のスピリットであると認識しています。
 
 



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