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介護療養病床存続へ
2014年11月08日(土)
介護療養病床が条件付きで存続することになった。
いい老人病院だけが生き残れるのだ。
日本慢性期医療協会の役割は大きくなる一方だ。
いい老人病院だけが生き残れるのだ。
日本慢性期医療協会の役割は大きくなる一方だ。
11月8日(土) 介護療養病床への5要件って何?
昨日の新聞に「介護療養病床存続へ」という活字がありました。
「これってなんのこと?」という質問を何人から受けました。
あまり耳慣れない言葉かも知れませんが皆様の周りにあります。
長く療養する人のために入院ベッドのことです。
医療保険を適応する「医療型:と介護保険適応の「介護型」があります。
38万床(2006年)のうち医療型が25万床で介護型13万床です。
厚労省は、2006年に、こう発表しました。
・医療型25万床を15万床に減らして
・介護型13万床は、2017年度末に全廃しますよ、と。
しかし一昨日の会議で、この大方針を大転換をすることが決まったのです。
現在7万1千床ある介護療養病床を、2つに分るというのです。
「療養機能強化型(仮称)」と「その他」です。
そして前者は存続させましょう、という転換方針なのです。
ただし、前者には5つの要件が課せられました。
1 合併症のある認知症の方が一定割合以上いる
2 たんの吸引や胃ろうなどの方が言って割合以上いる
3 終末期ケアを受けている人が一定割合以上いる
4 生活機能を維持改善するリハビリを行っている
5 地域に貢献する活動を行っている。
この中でも、私は2と4に注目しています。
現在、在宅療養できない認知症の人は施設か精神病院に行きます。
施設では夜間は看護師もいないので何度も医師の電話が鳴ります。
医療が不要な高齢者など、現実にはほとんどいないのです。
箱ものに入ったならば、そこには「管理責任」が生じます。
本人や家族が「放置してくれ」という意向でもそうはできない。
それが「ハコモノに人を入れる」という事の宿命なのです。
病気になった時、行き場の無い認知症の人が増えています。
病気があっても認知症だあるだけで入院させてくれない病院もある。
結局、中途半端な施設に入り中途半端な医療になることが現実にある。
そして慢性期のリハビリは、現在、軽視されています。
リハビリ病院の対象者は、急性期の方だけで慢性期は対象外です。
要介護認定者は、介護保険の訪問リハビリで対応する仕組みです。
しかしリハビリとは、機能を維持するだけでもいいと思います。
もしくは、機能が低下する勾配を緩めるだけでもいいです。
すべての病める人の根底にあるのが「リハビリ」という思想のはず。
社会的入院を減らす目的で、療養病床削減政策が提唱されてきました。
しかし現実には、高齢の認知症の寝たきりの方が、高度急性期病院に
救急車で運ばれて入院・加療しているのが現実です。
そんな状況の中、いったん決めた方針を大転換したことは大英断で、
私自身も喜んでいます。
日本国民は、良質な慢性期医療も受けられる療養環境を希望しています。
療養病床は、かつては(今も?)老人病院とも呼ばれました。
あるいは、姥捨て山とも。
たしかにそんな病院も現存します。
そんな病院は、今回の転換で、「その他」に分類されて
介護老人保健施設への転換が促されて行くことでしょう。
つまり、優良老人病院のみが生き残れるという政策なのです。
実際、日本慢性期医療協会では、優良老人病院を目指して
認知症ケアをはじめて、様々な研鑽を重ねています。
姥捨て山のイメージではまったくありません。
「有料」老人ホームが、「優良」とは限りません。
不良な施設はむしろ無い方がい、いとさえ思う時があります。
療養病床も本当に「優良」な療養病床だけが存続するのです。
ところで、何が「優良」なのか。
それは私が想うには、
・口から食べることを最期まで支援してくれる
・移動という尊厳を大切にしてくれる
・排泄ケアを重視する
・毎日リハビリがある
・緩和ケアが充実している
そして
・平穏死させてくれる、です。
療養病床の中では、平穏死ができる病院がどんどん増えています。
日本慢性期医療協会に所属している1000を超える
病院のスタッフは、学会を開催したくさんの研修を重ねています。
さ来週も熊本で大きな学会があり、私も参加します。→こちら
「ばあちゃん・・・」という本で、劣悪な介護施設の話をしました。
どんな介護施設でも医療は必要ですから、いっそのこと、療養病床
を充実させて、そこにいいケアを持ってきた方がいいのではないか。
社会的入院の温床になる、という指摘もあるでしょう。
財源が無い、という指摘も当然。
しかしそこは「包括制」(マルメ)という制度で、乗り切るべきです。
町医者に身をおいていると綺麗事だけではすまない現実に対峙します。
医療が必要な認知症の人にとって、自宅以外の居場所も必要なのです。
「良質な慢性期医療」が無いと多くの国民は満足しないのが現実です。
今回の厚労省の転換は、そうした慢性期医療を重視したものです。
みなさまは自分の周囲の療養病床がどんな施設なのか見てください。
入院されるのなら、生き残れる病院を選択したほうがいいでしょう。
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療養病床を一部存続 「医療強化」に限り
毎日新聞社 2014年11月7日(金) 配信
厚労省:療養病床、一部存続 「医療強化」に限り
厚生労働省は6日、高齢の長期入院患者向けの「介護型療養病床」に関し、
医療機能を重視した施設については、2015年度の介護報酬改定で収入が手
厚くなるようにする方針を社会保障審議会介護給付費分科会(厚労相の諮問機
関)に示した。政府は17年度末で介護型療養病床を全廃するとしているが、
事実上、一部施設を存続させる方針に転じたと受け止められている。
同省の見直し案によると、介護型療養病床の中でも▽重篤な病気や合併症の
ある認知症患者が一定割合いる▽たんの吸引、みとりをしている――など、五
つの要件をすべて満たす施設を「療養機能強化型(仮称)」とし、報酬を重点
的に上乗せする。一方で、強化型以外の施設は報酬を引き下げ、より費用のか
からない老人保健施設(老健)などへの転換を促す。
政府は06年、「医療の必要性が低いのに入院している患者が多い」として、
当時約12万床あった介護型療養病床を11年度末までに全廃する方針を打ち
出した。しかし、老健への転換は進まず、11年に廃止期限を17年度末に延
長した。それでも14年4月時点で6万7000床残っており、田村憲久前厚
労相は今年2月、「必要なものは何らかの制度の中で残していく必要性がある」
と方針転換を示唆していた。【中島和哉】
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認知症対応のリハビリ強化 厚労省、介護報酬を加算
共同通信社 2014年11月7日(金) 配信
厚生労働省の有識者検討会は6日、認知症の高齢者が病院や施設から退院し
て間もない段階のリハビリを強化するべきだとの報告書の概要をまとめた。厚
労省は、実施する介護事業者への報酬を来年度から加算する方針だ。
検討会は、身体機能の向上に加え、認知機能を維持したり社会参加を通じて
生きがいを感じたりできるよう、本人の趣味や集団活動を通じた集中的なリハ
ビリの重要性を指摘。本人の状態に合わせ、通いや訪問などを柔軟に組み合わ
せて実施する。期間は最長3カ月間とした。
また、病気をきっかけに歩行などが難しくなった高齢者に対するリハビリで
は、最長6カ月間の集中的なリハビリの創設を提案した。前半3カ月は身体機
能の向上を重点的に行い、残り3カ月は趣味などを通じた「社会参加」を目標
とする。現行では、内容が筋力向上など身体面に偏っているためだ。
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