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「糞便移植」による難病治療

2014年12月01日(月)

昨日の産経新聞・兵庫版の連載には、「糞便移植」について書いた。
ウソのようなほんとうの話だ。
腸内細菌は、もう一人の自分なのだ。

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産経新聞・腸と心シリーズ第7話  腸内細菌叢は「もう一人の自分」
                      「糞便移植」による難病への臨床治験
 
 腸は第二の脳である。いや、脳の上位に腸がある、と述べてきました。自分の腸内がバランスが良い腸内細菌叢なのかどうかを知るのは簡単です。自分のウンチを良く観察することです。バナナのように太く長いウンチであれば、OKです。あるいは、自分のオナラを真剣に嗅いでみることです。とっても臭いオナラは、腸内細菌叢のバランスが悪いことを意味します。さまざまな病気の原因は元を辿れば腸内細菌叢にある、という場合が多いのです。腸は単なる管ではなく、さまざまなホルモンを放出する内分泌臓器であり、免疫バランスを整える免疫臓器でもあります。単に食物の消化吸収だけではなく、従来考えられていた以上の重大な任務を担っていることを是非知って頂きたいと思います。

 そして良い腸内細菌叢を手に入れるためには、毎度の食事内容に注意することが一番大切です。冷静に考えてください。「貴方とは貴方の食べた食べ物自身」なのです。そして運動です。走るのではなく、毎日、少しでも多く歩くことです。入院して長く寝こむと必ず便秘になります。当然、腸内細菌叢のバランスが崩れて、ホルモンや免疫系に悪影響を及ぼします。世に知られる様々な病気を根本的に治すためには、腸内細菌叢にもっと注目すべきです。では、サプリメントを沢山飲めばいいでしょうか?残念ながら、口から飲んで腸まで届く善玉菌飲料はそれほど多くはありません。腸内環境を変えるのは、サプリメントだけでは難しいのです。ここで最近の腸内細菌叢に関する話題をご紹介しましょう。

 「糞便微生物移植法」という試みです。略して「糞便移植」。腸内細菌叢を他人のものと入れ替えてしまおうという発想です。健康な他人の便を病気の人の腸に移植することで強引に変えてしまおうという試みがすでに始まっています。ええ?腸内細菌叢を誰にどうやって移植するの?簡単です。内視鏡で腸管内ばらまくのです。糞便移植は海外では古くは4世紀に、近代では1958年に試されています。日本では本年3月から慶応大学病院で難治性潰瘍性大腸炎や腸管ベーチェット病を対象に臨床治験が開始されています。現在、臨床治験の一番の対象は抗菌剤の副作用ともいえる「偽膜性腸炎」です。この病気は治療が難しく死亡することがあります。この患者さんの腸に、健康人の腸内細菌を内視鏡でまき散らして治療する試みです。あるいは「糞便カクテル」を飲むのがさすがに難しければ、「糞便カプセル」として口から飲む方法もあるそうです。さらに、健康人の便をストックしておいて、いつでも提供できる体制を整える「糞便バンク構想」まであるとは、嘘のような本当の話です。近い将来、関節リウマチや肥満症や多発性硬化症などの難治性疾患は、糞便カプセル等による「糞便移植」で治療するという時代が来るのかもしれません。

 糞便移植を受けてください、という話ではありません。いいウンチを出せる腸内細菌叢をいい生活習慣で造りましょう、という提案です。人体とはチクワですから、腸管内は「外」です。そこに棲む1000兆個もの腸内細菌も「外の生き物」、すなわち「もうひとりの自分」です。しかし「本当の自分」の意思(=脳)で、「もうひとりの自分」も変えることも充分可能なのです。寒くなり当院でもインフルエンザが出ています。ワクチン接種を考えている方はお急ぎください。
 
キーワード 偽膜性腸炎
抗菌剤の長期投与により大腸に菌交代現象がおこりク口ストリジウム・ディフィシルという毒素を産出する細菌が異常増殖して偽膜を形成する大腸炎が発症する。発熱や血液を伴う激しい下痢がみられ、重症例では数日で死亡する。

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この記事へのコメント

シェイプアップによる栄養不足が頭皮に反響を与え、抜け毛につな
がっている場合もあるよ
うです。
ビフィズス菌を
腸まで届ける。
最短の結果は専門
家の意見を参考にしましょう

内臓脂肪の落とし方は案外認識
されておらず悪戦苦闘し
ている方が目立つのが
現状です。
人の腸には善玉菌がきちんといま
すか。
最近では整腸で
免疫力が上がる。美
容力もアップと言われています

ビフィズス菌を活かす方法。日和見
菌の存在。
腸内環境を改善
する事は、体の調子
を良くするこ
とになります。

Posted by 腸内細菌 増やす at 2016年09月05日 10:28 | 返信

善玉菌の中心であるビフィズス菌というのは胃酸について脆弱で、食べ物とかから取り込んでも、割と生きたままで腸でさえ辿り着きません。しかしながら、耐酸性のカプセルなどを用いるとか、胃酸の怖さから善玉菌を守る製法が駆使された栄養剤なら、生きた状態の菌というものを腸まで到達させることが楽になると言えます。命のある状態のまま腸に到達したビフィズス菌や乳酸菌というものは、腸の内部で糖類であったりを解体し、乳酸などを生み出しながら増加して壮健によい効果を振るいます。この作用は、命のある菌ならではのもの。乳酸菌は死んでしまった後でも、体内で有効な働きを発揮することが知られていますが、強靭な働きを受けるためには、死んでないままのステータスで腸に届くよう考えられた栄養剤を購入することが目のつけ所になります。腸の内側に存在し、壮健な身体というものを維持するために役立っている善玉菌。腸の内側には善玉菌以に外、身体に悪い影響を加える悪玉菌も居すわっており、善玉と比較し悪玉菌の方が優位になると、便秘や様々な病気が発生させられるハズです。腸の中の境遇を整えて健康を保つために、善玉菌というものを増殖させることが大切です。

Posted by ヤセ菌 増やす at 2016年11月04日 09:46 | 返信

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