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ALS生活50年のホーキング博士が安楽死の可能性

2015年06月16日(火)

イギリスのホーキング博士は、ブラックホールで知られる世界的物理学者。→こちら
しかしALSという神経難病になり50年にも及ぶ車椅子生活をしている。
その彼が安楽死を望んでいる、という報道が流れてきた。

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『人が、その意思に反して生命を維持されるなど、冒涜以外の何物でもない。もし回りの人の負担になるなら、あるいは、もはや人類に何の貢献もできなくなったら、私は安楽死を考えるだろう』

「時には自分を孤独に感じることもある。人びとは私と話をすることを怖がっている。私はしばしば気が怯み、疲れてしまう」

   スティーブン・ホーキング博士

スティーブン・ホーキング博士、安楽死の可能性を示唆
サイエンス
2015年06月08日

物理学の世界的権であるスティーブン・ホーキング博士は、自分は将来、安楽死を選択する可能性がある、と述べた。BBCでまもなく放送の、ダラ・オブリエン氏によるインタビューでの発言。
「人が、その意思に反して生命を維持されるなど、冒涜以外の何物でもない。もし回りの人の負担になるなら、あるいは、もはや人類に何の貢献もできなくなったら、私は安楽死を考えるだろう」と博士。

ただし今のところ、博士はまだ多くの発見をなし、理論を量産する計画がある。「宇宙のさらなる秘密を明らかにできずに自ら死ぬことなど出来ない」と博士。

また博士は、周囲の人との交流は自分には簡単ではない、と漏らした。同僚も崇拝者も、自分を恐れて近づかない、会話をはじめようとしない。「時には自分を孤独に感じることもある。人びとは私と話をすることを怖がっている。私はしばしば気が怯み、疲れてしまう」と博士。


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

彼の文章
「ALSを患って、体験してきたこと」は、必読だ。

気管切開をして意思伝達装置で論文を書いていることが
彼にとっての普通の生活だと述べている。

まさにそう。

ALSでの気管切開や胃ろうは、延命措置ではなく単なる生活の道具にすぎない。
車椅子や松葉杖とまったく同じで、延命措置ではない。

だから、私はALSの患者さんには全員、その時がきたら胃ろうや
気管切開や人工呼吸器を勧めているし、常に何人か管理している。

そういえば、今夜も人工呼吸器のALSの人を訪問していた。

しかし病院の専門医は、延命措置だと説明して、YESかNOだけを迫り、
それをもってインフォームドコンセントだと言っている。

とんでもない間違いで、命の冒涜だ。

ALSの専門家であるかもしれないが、生活支援の専門家ではない。
私は、生活支援の専門家を自負している。

神経内科専門医は、「人工呼吸器を付けたら外せない」の一点張り。
私は「付けても、お迎えが近くなればあなたが望むなら僕は外す」と言う。

しかし病院の専門医は、「この患者はDNR」のひとことで終わり。

医学教育、卒後教育の失敗を象徴している。
つまり生命倫理教育を怠ってきたつけが、国民にまわっているのだ。


ALS患者さんの人工呼吸器生活は付けてみないとどんなものか本人は分らないはず。
そして私が診ている呼吸器患者から誰ひとり、「外してほしい」と言われたことはない。

みんな生きたいのだ。

生きたくない人間なんて一人もいない、と思う。

しかしもし終わりが近いののならば、もう消えてしまいたいと思うのが人間だ。


多くのALS患者さんは、尊厳死に賛成で尊厳死協会に入会していることを何人の
日本人が知っているのあろう。

家族もリビングウイルを書いて入会している。
これはALS協会では絶対に言えないこと、とみなさん言われる。

その「尊厳死」とは、ホーキング博士のように人生の終末期が来たと
思う時の自己決定であり、呼吸器の装着の有無ではない。

しかしそんな現実はALS協会ではタブーだと、多くのALS協会員が言う。
「尊厳死に反対しているボスの学者に申し訳がたたないので」と言い訳をする。

要するに、隠れキリシタンのように尊厳死協会に入会しているのが現実だ。
リビングウイルがあるので人工呼吸器生活を楽しめているというのが現実。

そうしたボスこそが、我が国の命の大切さを議論することを阻害してきた超本人。
しかし、議論を阻害することが仕事であるから、本当に議論したら困るのだろう。


ホーキンス氏も、50年も車椅子生活をして、その時が来たと感じたのだろう。

彼はいま、安楽死を望んでいる。

日本の尊厳死協会員になっている多くのALS患者さんは、尊厳死を望んでいる。


たしかに、安楽死と尊厳死は違うもの。
しかしそれは法律や宗教的な背景が違うので、絶対的な差とは言えない。

大切なことは、自己決定であると思う。
もし自己決定できるのであれば、本人の意思は法律の枠内で最大限尊重されるべきだ。

ALSの患者会で講演をして、ALSの在宅患者さんに寄り添って来た20年だが、
なぜか日本ALS協会からは、いつも殺人者と呼ばれている。

真逆である。

無茶苦茶なインフォームドコンセントで勝手に死に導いている専門医こそが
私に言わせれば殺人者であり、許せない!と憤ることが時々ある。

しかしそんな事情を、マスコミは絶対に報じない。
ややこしいことは考えたくもないし、対立構図や両論併記を装うことで仕事を終える。

もし、こんな私の気持ちを少しでも聴いてくれるメデイアがあれば申し出て欲しい。
日本のメデイアは言論統制されているので、こんなブログで書く以外に方法は無い。

憧れのホーキング博士の記事を読んでつい興奮してしまった。

叶うならばホーキングさんと遭いたい。

意思伝達装置を通じて、宇宙の話をしてみたい。














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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

 印象でしかないのですが、ALS関連のブログを読む時はいつも、長尾先生の呪縛的思考を感じて
しまい仕方ありません。比喩的表現ですが、ALSが"筆舌にし難い難病"であるという点は理解できて
います。長尾先生が生身の患者さんと接し、如何ともし難い、施せない状態の歯がゆさ由なのでしょうか。それとも、国会や何かの場面で「人殺し」と心ない言葉を浴びせられる御経験からのトラウマなのでしょうか。それとも、ALSという病の向こうに、"巻子さんと御主人"を見てしまうのでしょうか。
 いつも、切ない心情の長文と感じています。
 人の命、根幹、に拘わる部分、難解であるからこそ、この日本国内で神経内科専門医の集団様、
医師団が腹を割って討論して頂きたいと思います。その時にALSだけでなく、医療の本質が見えてくる、
ということはないですか?

Posted by もも at 2015年06月16日 09:17 | 返信

昨夜の6月16日のBSフジ8チャンネルで夜8時から”医療費抑制は必然か?医療破産の現実味”と題して自民党の鴨下元厚生大臣と東大の伊藤教授という世界の社会保障に詳しい先生の対談がありました。
その中で鴨下自民党議員は「尊厳死については、今は担当医の裁量に任せています。色々な意見がありますので、近じか、誰もが納得するガイドラインを制定したいと思っています」と、仰っていました。
「アメリカは崩壊する(日本の医療は逃げきって)」と言う本の作者(女性)もいて、興味深い内容でした。

Posted by にゃんにゃん at 2015年06月17日 05:19 | 返信

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