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認知症疑いの親を、上手に受診させるには?

2015年09月02日(水)

私は認知症の親を受診させるのがとても得意な医者だ。
これまで失敗したことが、一度もない。
杉山孝博先生が、すでにそのノウハウを書かれていた。
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『認知症疑いの親を、上手に受診させるには? 』
 2015/8/31
 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91033500X20C15A8000000/

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

 認知症は早期発見が大切だが、例えば自分の親にどのような症状が出たら認知症を疑えばいいのか、その基準がはっきりしない人も多いのではないだろうか。また、認知症の疑いがあってもなかなか病院を受診してくれない親などをどのように連れて行けばいいのか。早期発見と早期受診のコツについて紹介する。

■認知症、早期発見のコツ

 早期発見が大切な認知症だが、症状がかなり進まないと気付かれないケースが多い。

 「例えば親の場合、同居していれば変化に気付く機会もありますが、1年に1回か2回帰郷する娘・息子ではなかなか分からないでしょう」と、川崎幸クリニック院長の杉山孝博さんは話す。

 同居していなくても分かる兆候はないのだろうか。判断に役立つチェックリストの一つが、「認知症の人と家族の会」が作成した「家族がつくった認知症早期発見のめやす」(下記参照)だ。

 これら20個のチェック項目を念頭に置きつつ、「最近あったことなどについて話をよく聞いたり、たまに会ったときによく観察したりすれば、変化に気付くことがある程度は可能です」(杉山さん)。

どのような症状が出てきたら認知症?

物忘れがひどい
1 今話したばかりの電話の相手の名前を忘れる
2 同じことを何度も言う・問う・する
3 しまい忘れ、置き忘れが増え、いつも探し物をしている
4 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う

判断力・推理力が衰える
5 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
6 新しいことが覚えられない
7 話のつじつまが合わない
8 テレビ番組の内容が理解できなくなった

時間・場所が分からない
9 約束の日時や場所をまちがえるようになった
10 慣れた道でも迷うことがある

人柄が変わる
11 ささいなことで怒りっぽくなった
12 周りへの気遣いがなくなり頑固になった
13 自分への失敗を人のせいにする
14 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた

不安感が強い
15 ひとりになると怖がったり寂しがったりする
16 外出時に持ち物を何度も確かめる
17 「頭が変になった」と本人が訴える

意欲がなくなる
18 下着を替えず身だしなみを構わなくなった
19 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
20 ふさぎ込んで何をするのもおっくうがり、いやがる
(公益社団法人「認知症の人と家族の会」のホームページ「家族がつくった認知症早期発見のめやす」を改変)

 当てはまる項目がいくつかあれば、認知症の疑いが強いので、一度病院で詳しい検査をしてもらうといいだろう。

■認知症の人を受診させるコツ

 認知症の疑いがあると気付いたものの、「自分は病気ではない」と思っている親などを医療機関に連れて行くのは、本人の反発を招くこともあり大変だ。何か、いいコツはないのだろうか。

 「本人に説明して納得が得られた上で受診するのが一番望ましいですが、納得しないケースも多いものです。その場合、認知症の特徴に合った、いろいろな工夫が必要です」と杉山さんは話す。

 杉山さんが勧めるコツをいくつか紹介する。

(1)できるだけ抵抗の少ない科を受診する

 認知症専門の診療を受けるには、通常は「物忘れ外来」や「精神神経科」「神経内科」などを受診するが、初期の認知症の人は、「精神神経科」に強い抵抗があるので、「物忘れ外来」「老年科」「心療内科」「神経内科」などで一般的な診断を受けてから、認知症専門の診療に移行するとよい。認知症専門医を受診したい場合は「日本認知症学会」のホームページ(http://dementia.umin.jp/g1.html)から検索できる。

(2)「私の健康診断に付き合ってください」とお願いする

 あらかじめ医療機関に話をしておき、名前を呼ぶときに本人の名前ではなく付き添いの名前を呼んでもらい「ご一緒にどうぞ」と呼び入れてもらう。まず形だけ、介護者の診察をして、「せっかくですから血圧を測りましょう」というようにして本人の診察に移ると受け入れてくれる場合が多い。医師の協力、演技力が必要となるが、杉山さんはこの方法でうまくいくことが多いという。

(3)訪問診療をしてもらう

 「○歳以上の方を対象に、訪問の健康診断をしていますが、診察させてもらってもよろしいですか?」と医師がいえば、拒否する人は少ないという。

(4)「保健所に健康診断に行きましょう」と誘う

 認知症相談をしている保健所に誘うのも一手段。病院よりも抵抗がなく受け入れやすい。ただし保健所ではCTやMRIの検査はできないので、保健所から、病院への受診を薦めてもらう。

(5)かかりつけ医に「知り合いのよい先生を紹介しよう」と薦めてもらう

 かかりつけ医に協力してもらい、紹介状まで渡されると大部分の人は従うものである。

(6)頭痛、だるいなどの身体症状をきっかけに受診する

 頭が痛い、だるいなど身体症状を訴えるときに、担当医に協力してもらい、本当は風邪による頭痛であっても、「頭の検査もしておいた方がいい」と認知症とは言わずに検査してもらう、あるいは専門医を紹介してもらう。

 他に受診時の工夫として、落ち着きがない人の場合は付き添いを2人にする、家族の言うことをなかなか聞いてくれない場合は、ヘルパーやソーシャルワーカーなど家族以外の人に付き添ってもらう、受診日をあらかじめ言わないで当日の朝、「予約しているので行きましょう」と言うなど、その人の性格や状況によって対応するとうまくいくことが多いと、杉山さんはアドバイスする。

(伊藤左知子=医療ジャーナリスト)

Profile
杉山孝博(すぎやま たかひろ)
川崎幸(さいわい)クリニック院長
1947年愛知県生まれ。東京大学医学部付属病院での内科研修を経て75年川崎幸病院に内科医として勤務。87年より川崎幸病院副院長に就任。98年9月川崎幸病院の外来部門を独立させて川崎幸クリニックが設立し院長に就任、現在に至る。公益社団法人認知症の人と家族の会(旧呆け老人をかかえる家族の会)全国本部の副代表理事、神奈川県支部代表。公益社団法人日本認知症グループホーム協会顧問。「認知症・アルツハイマー病 早期発見と介護のポイント」(PHP研究所)、「介護職・家族のためのターミナルケア入門」(雲母書房)など著書多数。

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この記事へのコメント

長尾先生も認知症患者を増やしたくて仕方がないご様子ですね。
1から10までで、4と10以外は「高齢者」はみなさん身に覚えがあると思いますよ。
11から13はウチの父親なんか、元来がそういう「性格」です。「ささいなことで怒り周りへの気遣いがなく自分の失敗を人のせいにする」(ただし身内に対して、です)だから家族はタイヘンです。なおかつ15の「ひとりになると(怖がりはしないけど)寂しくてしようがない・いつも女房がそばに居ないと何もできない」そういう日本男子はフツウに山ほど居ます。
18「下着を変えず身だしなみを構わない」これもウチの父親は自宅に居て他人に会わずに済むときは10日も風呂に入らなかった。他人に会う予定が入ると風呂に入って身ぎれいにする。家族が臭い臭いと嫌がってもどこ吹く風。今は施設に居て他人に囲まれているからいつも身ぎれいにしているのです。

こんなチェックシートで認知症に仕立て上げるなんて、精神病患者製造とまったく同じですよ。
長尾先生、正気ですか? 見損ないました。

Posted by komachi at 2015年09月02日 03:57 | 返信

私の母は同じ事を何度もいいます。
数えたら、最高7回でした。
そろそろ、気にしないとと思ってました。
受診のコツ、とても参考になりました。実践してみます(^o^)

Posted by さぬきんぐ at 2015年09月02日 06:44 | 返信

このチェック項目を読んで、私ヤバイかも、と冷や汗でした。1から10までで、当てはまる項目が結構ありました。
私は50代ですが、独居の93の父は、1から10までで、4と10以外はまさにその通り、自分で「同じこと言うしな、新しい事は頭に入らん、」等々よく繰り返して!言っております。
11から13は急にこのようになったとも感じませんし、性格的にも当てはまらないようです。
下着を変えず身だしなみを、、、は、入浴や着替え、洗濯が一人でやるのが精神的体力的にきつくなったとは言います。
80代半ば位までは冬でも毎日風呂掃除、入浴、下着を換えていましたが、最近は、冬場は一日おきに入浴、風呂湯もクスリを放り込みそのまま。
パンツは毎日換えていますが、シャツはそのまま数日のこともよくあり、臭いし毎日換えたほうが、と言うと、年寄一人や、いいわと。

父もですが、このようなチェック項目で受診したら、そのあとは認知症患者が一人出来上がり!!!!(不謹慎な表現でスミマセン)だろうな、なぜ急にこんな話題?と、何だか違和感を覚えました。
私の叔母は、家庭の事情から深酒、孤独感、せん妄、このリストに当てはまること沢山、別の叔母が(2)を実行で一芝居、認知症の診断を受けて、紆余曲折の後、特養に受け入れてもらえて、何とか日々を過ごしています。

小畑ふみこからkomachiへの返信 at 2015年09月02日 08:24 | 返信

だよネ~!ってセカイも必要ですよねェ。
ホームDr.掛かりつけ医に介護認定の書類を頂く時に、
Dr.曰く「お義母さんて、元々そんなカンジなんじゃない??」って...
名言だと思いました。

Posted by もも at 2015年09月02日 09:00 | 返信


たしかにすばらしいコツですね

身近な人でも
悩んでいる人は大勢いますので

また認知症はこれから増える問題ですので
大事な情報です

Posted by 病気にならない科学的秘密! at 2015年09月02日 10:47 | 返信

「認知症」に仕立てる為なら「当事者団体」をも利用する巧妙な政策。
そのうち「認知症」じゃない老人が希少になって、肩身が狭くなるかも。

Posted by 平穏CM at 2015年09月02日 11:16 | 返信

ここ最近…
わたしも ボケてきたかと思ったりもします
もの忘れが激しいんです
ちゃんと やれているんだろうかと不安になるんです
不安になるとさらに 不安のホルモンが出てくるのがわかります
更年期で片づけてる自分もいるし
まわりの人には アリセプトは 飲ませないでねと伝えれてます

一口に認知症と言っても
タイプがあるので きちんと診断してくださるお医者さまにかからないととんでもないことになりますよね

うちの母が 12歳 年下の弟が亡くなって …
少ししたら おかしくなってきたんです

何度も同じことをいう
さっき 行ったことを忘れて 自分の意見を押し通す
ボタンの掛け間違えをする
食べながら こぼす
料理が できなくなり とんでもない味付けをする
…ってな具合です

かかりつけのクリニックの先生にお願いして
総合病院の専門医に紹介していただきました
予約が ずーっと先で 受診までの期間
徐々に戻ってきました

予約日が 近づき
母は 受診を嫌がったんですけど
一度くらい診ていただくのも いいんじゃないのと説得し受診
検査結果は 異常なしでした

おや?って 思うことは大事であり
それが 年相応なのかを考えて
きちんと 生活ができていれば 大丈夫ですよね

ともかく
死んでしまうようなことがあったら
ダメですよね

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2015年09月03日 12:04 | 返信

 久しぶりにコメント失礼します。前回は一般人と書きましたが、居宅ケアマネやってます。前回の記事を書いたときには医療職とは違うという意味で一般人と書きましたが、後でケアマネだと書けばよかったかな?と思いました。

 さて、認知症の早期発見早期治療ですが、気になる症状があれば甲状腺機能低下症や慢性硬膜下血腫や水頭症や、身体疾患が原因でなっているかもしれないので、一度受診して検査してもらうのが良いと思います。身体疾患を治療することで治る認知症はその時点で治してしまうのが良いと思うからです。

 でも、身体的に異常がなくて、物忘れ程度であれば、薬物療法をするのは疑問があります。
 物忘れ程度と言っても、ボーっとしているような方であれば、アリセプトを少量服用したら、覚醒度が上がって、とても良くなる可能性がありますね。
 でも、活動的に過ごしているのに、物忘れがあるという人にはアリセプトは効かず、より興奮させてしまうと思うのですが、いかがでしょうか?
 アリセプトが良いとか悪いとかではなくて、使いようですね。それと状態の見極めが大切ですね。

 家族さんに認知症の疑いで相談されたらコウノメソッド実践医を紹介していますが、相談なしに他の医療機関に受診されて、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を処方され、厚生省の基準どおりに増量されていかれると、悪くならないかハラハラしてしまいます。
 胃腸障害がでて、中止になると良いのですが、良くも悪くもならない場合は「進行を遅らせる」という良く分からない効果を期待して、だらだら服用することになるので、それは嫌だとおもうのですが、副作用が出てないだけに、中止を言い出すこともできず、そのままの人もいます。

 物忘れ程度であれば、リスクを背負ってまで服薬する必要は無いように思うのですが。。。初期であればデイサービスに行って、友達と話して、笑って帰ってこれたら、それが一番の薬になるかと。
 この記事は早くから薬を飲むように進めている記事では無いのかもしれませんが。そのように読み取っている人が多いようなので。

 もちろん、色んな症状が出て、家族が困るようになったときには、薬が必要と思います。その時は「薬を利用してより良く生きるんだ。」って事ですね。

 神田橋先生の本は読まれた事はありますか? 「神田橋條治医学部講義」はぜひ読んでいただきたいです。

Posted by みるく at 2015年09月03日 09:43 | 返信

長尾先生は、今、岐路に立っておられますね。
「アピタルの 《1961》 がんを放置して、人生の最終章を商店街で迎える」 を 読みました。
長尾先生は、特に高齢者の癌に関しては、いろんな観点から、その患者にとって最も良い選択を援助できる、ほんとにトップクラスの医師だと思います。
ですが、いろんな観点から、認知症に関しては、あまり深入りなさらない方が良いのではないかと。
特に、政治家をかしらに頂いて「抗認知症薬の適量処方を実現???」・・・
まるで認知症らしき高齢者は抗認知症薬を服用するのが当たり前みたいですね。 そして誰もが当てはまるチェックシートで高齢者を「うまく言いくるめて」医療機関へ受診させるのですか? 認知症早期発見のために???  

長尾先生は、いつから、国民の医療化を志すようになったのでしょうか?

認知症を「薬剤で治療できうる “脳の病気”である」という考え方は、うつ病や統合失調症の薬物治療と同じ過ちを犯すのではありませんか?

なお、ある筋から聞いた話ですが、
河野医師の名古屋フォレストクリニックへ、自費で遠方から診察を受けに行った親子が、3分診察で病名を告げられニコニコ握手されてハイ、次の人・・・とやられて、たいへん憤慨していたそうです。 
長尾先生が忌み嫌っている近藤誠医師の「お高い」セカンドオピニオンと、同じではありませんか?

Posted by komachi at 2015年09月04日 04:07 | 返信

komachiさんのご意見に賛成です。
認知症に本質的に有効な薬剤が存在しない現状、長尾先生が各方面で訴えているように抗認知症薬を飲むとかえって悪化するケースが圧倒的に多いという事実を踏まえれば、認知症疑いの方々を受診させる必要があるのか?薬を飲んでも副作用無限地獄が待っているだけではないのか?と。
「認知症疑いの患者を受診させようキャンペーン」の裏側には製薬会社の利権が存在します。自治体に積極的にカネを出している会社もあります。神奈川県内の政令指定都市では特にその傾向が顕著のようです
本当に賢明な患者家族は無用なキャンペーンにのって受診などせず、サプリメントを購入している人も多いと聞きますね。サプリメントの利点は増量しても抗認知症薬や抗精神薬でみられる重篤な副作用がほとんどみられないことです。

Posted by ある実践医 at 2015年09月04日 02:09 | 返信

サプリメントについて

コウノメソッド推奨のサプリメント「〇ェル〇ー〇」は、2年前に亡くなった母がずいぶんお世話になりました。2011年から亡くなる3週間ほど前まで約2年半、嚥下可能な期間は、何らかの種類の「〇ェル〇ー〇」を服用していました。
もう済んでしまったことですが、2009年に「認知症」という「診断名」が付けられたころに、今現在の私の知識と経験があれば(その経験とは他ならぬ母本人の経過そのものなのでありますが)、「認知症なんて噓っぱちでしょ。アリセプトもグラマリールも必要ないでしょ。「〇ェル〇ー〇」だけで十分でしょ。」と、断言できます。

「〇ェル〇ー〇」は、効きます。
願わくばもう少し手ごろな値段だったら、先行きに不安を感じないで使えたと思います。
嚥下困難傾向が強くなって、値段が高い方の「〇ェル〇ー〇」を購入するたびに、いつまでおカネが続くかなぁ、と不安でした。「〇ェル〇ー〇」を増やしていった時、嚥下困難が回復して元気になるのではないか、と思えたこともあったからです。ずっと買い続けるしかない、と覚悟していました。

でも、もう、購入する必要がなくなりました。母は貧乏な育ちで結婚してからもおカネのやりくりで苦労していたので、早々とおカネの心配を無くしてくれたのかもしれません。84歳でした。
今、88歳の父(施設に居ます)も、この数ヵ月、物忘れがひどくなっていて、「〇ェル〇ー〇」を飲ますべきか、迷うことがありますが、施設内では、自分で歩いて自分で身の回りのことをやって特に問題なく穏やかに生活しているので、必要ないと判断しています。私は、年と共に「物忘れ」してヨイのだ、と思うのです。衰えていく能力を、薬剤で賦活させる必要はないと、思うのです。
とにかくできるだけクスリの類は飲ませない方針で、施設担当者も理解してくれています。施設の相談員いわく、「90歳超えてる人は、服用している薬が少ないほどお元気な傾向にあります。」とのこと。

河野医師はアカミミズの何とかサプリも推奨しているみたいですけど、ミミズなんて気持ち悪い・・・。
認知症は、ビジネスチャンス豊富な分野ですね。

Posted by komachi at 2015年09月06日 02:05 | 返信

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