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在宅専門クリニック考
2016年02月26日(金)
医療タイムス2月号 在宅専門クリニック考 長尾和宏
今春の診療報酬改訂の概要が明らかになってきた。今回、在宅専門クリニックを正式に認めながらも厳しい縛りがかけられる。一方、外来診療を主とする在宅療養支援診療所にもより明確な要件が課せられる。そしておそらく多くの在宅関係者の多くにとってマイナス改訂になるであろう。当然存続の危機に立たされる医療機関も出るだろう。今、在宅医療制度はどんな方向を向いているのか、私見を述べてみたい。
これまでの在宅医療は、普通の町医者、在宅療養支援診療所、機能強化型在宅療養支援診療所の三類型で、患者から見れば一物三価という面もあった。在宅療養支援診療所のハードルは低く、医師3名が課せられた機能強化型においても、3つの医療機関の連携でも条件を満たすとされてきた。しかし今回の改訂は本来の在宅専門の在宅療養支援診療所や本来の町医者型在宅療養支援診療所とはなにか、という明確な課題が突きつけられた。前者は、在宅患者の比率が95%以上であり、後者は複数医師(3人以上)で運営する単独型の町医者型在宅療養支援診療所である。これまで基準線上に位置していた診療所は、普通の町医者にふるい落とされる可能性が充分ある。
一方、病院の歴史を振り返ってみると、様々な機能分化を繰り返しながら、急性期、慢性期、地域包括ケア病棟など看護師の配置基準でカテゴライズされてきた。一方、“町が病院”とみなす在宅医療の世界では多職種連携がチーム医療であるため看護師数でカテゴライズすることはできない。そこで在宅看取り数や往診数などを機能評価基準とし、新しい診療所機能区分を明示したのが今回の診療報酬改訂なのか。サ高住や有料老人ホームなどの同一建物でキックバックにより荒稼ぎするビジネスモデルはもはや過去のもの。そのためサ高住や有料老人ホームなどから“退散”する在宅療養支援診療所が相当出るのではないか。実際そうなった場合、その後は一番近い“普通の町医者”の出番ではないだろうか。そもそも地域包括ケアとはコミュニテイーベイスドなので医療機関は近ければ近いほど良い。そもそも別に在宅療養支援診療所でなければ在宅医療を提供できないわけでもない。高い診療報酬を得るためにはそれなりの技術や人的投資や教育機能が必要である、というだけの話だ。従って、日本医師会が謳う“午後から在宅”と矛盾する内容とは思わない。
では、この数年間急増した在宅専門クリニックは今後どんな役割を果たすべきなのか。それは病院に喩えるならば高次救急や集中治療室を有する高度急性期病棟と同じような存在ではないか。今後、地域には様々な医療需要を持った患者さんが病院から日々“排出”される。当然、受け皿となる医療機関も機能分化しなければ対応できるはずがない。病院側から見ればさらなる“マッチング”作業に迫れる。人工呼吸器がついた患者さんや小児在宅などは、普通の町医者では到底対応できないので、相応の技術と組織力を有する在宅専門クリニックが受け皿になるべきであろう。要約すると、今後はドラゴンヘッドと日医が主張するロングテイルという関係性が明確になるはずだ。今回の改訂をそう受けとめるが、私が望むのは繰り返し述べている「診療規則の簡素化」である。規則が複雑すぎるため在宅から撤退する医療機関が増えるならば、まさに本末転倒になるからだ。
今春の診療報酬改訂の概要が明らかになってきた。今回、在宅専門クリニックを正式に認めながらも厳しい縛りがかけられる。一方、外来診療を主とする在宅療養支援診療所にもより明確な要件が課せられる。そしておそらく多くの在宅関係者の多くにとってマイナス改訂になるであろう。当然存続の危機に立たされる医療機関も出るだろう。今、在宅医療制度はどんな方向を向いているのか、私見を述べてみたい。
これまでの在宅医療は、普通の町医者、在宅療養支援診療所、機能強化型在宅療養支援診療所の三類型で、患者から見れば一物三価という面もあった。在宅療養支援診療所のハードルは低く、医師3名が課せられた機能強化型においても、3つの医療機関の連携でも条件を満たすとされてきた。しかし今回の改訂は本来の在宅専門の在宅療養支援診療所や本来の町医者型在宅療養支援診療所とはなにか、という明確な課題が突きつけられた。前者は、在宅患者の比率が95%以上であり、後者は複数医師(3人以上)で運営する単独型の町医者型在宅療養支援診療所である。これまで基準線上に位置していた診療所は、普通の町医者にふるい落とされる可能性が充分ある。
一方、病院の歴史を振り返ってみると、様々な機能分化を繰り返しながら、急性期、慢性期、地域包括ケア病棟など看護師の配置基準でカテゴライズされてきた。一方、“町が病院”とみなす在宅医療の世界では多職種連携がチーム医療であるため看護師数でカテゴライズすることはできない。そこで在宅看取り数や往診数などを機能評価基準とし、新しい診療所機能区分を明示したのが今回の診療報酬改訂なのか。サ高住や有料老人ホームなどの同一建物でキックバックにより荒稼ぎするビジネスモデルはもはや過去のもの。そのためサ高住や有料老人ホームなどから“退散”する在宅療養支援診療所が相当出るのではないか。実際そうなった場合、その後は一番近い“普通の町医者”の出番ではないだろうか。そもそも地域包括ケアとはコミュニテイーベイスドなので医療機関は近ければ近いほど良い。そもそも別に在宅療養支援診療所でなければ在宅医療を提供できないわけでもない。高い診療報酬を得るためにはそれなりの技術や人的投資や教育機能が必要である、というだけの話だ。従って、日本医師会が謳う“午後から在宅”と矛盾する内容とは思わない。
では、この数年間急増した在宅専門クリニックは今後どんな役割を果たすべきなのか。それは病院に喩えるならば高次救急や集中治療室を有する高度急性期病棟と同じような存在ではないか。今後、地域には様々な医療需要を持った患者さんが病院から日々“排出”される。当然、受け皿となる医療機関も機能分化しなければ対応できるはずがない。病院側から見ればさらなる“マッチング”作業に迫れる。人工呼吸器がついた患者さんや小児在宅などは、普通の町医者では到底対応できないので、相応の技術と組織力を有する在宅専門クリニックが受け皿になるべきであろう。要約すると、今後はドラゴンヘッドと日医が主張するロングテイルという関係性が明確になるはずだ。今回の改訂をそう受けとめるが、私が望むのは繰り返し述べている「診療規則の簡素化」である。規則が複雑すぎるため在宅から撤退する医療機関が増えるならば、まさに本末転倒になるからだ。
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この記事へのコメント
在宅専門クリニック考 ・・・・・・ を読んで
病気に罹ったとき、体調に不調が現れたとき、私の中では、
ご近所の医院〔町医者さん?〕に行くか? 規模の大きい
病院に行くか? の二者択一という程度の認識でしたが、
今回の“在宅専門クリニック考”を読んで、在宅医療を担っ
ている医療機関に“普通の町医者・在宅療養支援診療所・
機能強化型在宅療養支援診療所”の3形態があり、どこに
受診するかで受けられる医療と(医療費)負担が異なること
を初めて知りました。
そう言えば、病院も最近では“急性期対応・慢性期対応・地域
包括ケア? ・ リハビリテーション対応”と細かく分類され
ているみたいですネ。
医院や病院に行くとき、何がどう違うのか? 分らないまま
選んでいるのが実情と思いますが、どこを選ぶかでどのよう
な “メリット” ・ “デメリット” 〔特長〕があるのか? 一度
一覧表にして、どなたか教えて戴けないでしょうか?
医療タイムス 2/22 号の表紙、Top News として “かかり
つけ医に手厚く、「紹介状なし」は5000円追加(16年
度報酬改定案答申)” という文言が見えますが、血液検査や
レントゲン撮影などの検査をして、初診料込みで3000円
~5000円程度という認識を持っている私にとって、病院
に紹介状なしで行くと別に5000円が必要と言う理屈が分
りません。
この5000円は、何のため? どこへ行く? 単純に病院
の収入増? ・・・・・・、何よりも、受診者本人に対する何かの
ペナルティ??? と疑問と不満が湧き上ってきます。
長尾先生が本ブログの終わりの部分で述べられているように、
もっとシンプルで、分り易い仕組みにして戴ければありがたい
と思います。
Posted by 小林 文夫 at 2016年02月26日 09:16 | 返信
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