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なるほど・・・

2016年05月05日(木)

勤務医さんから、また書き込みを頂いた。
町医者のブログを読んで頂き、ありがたい。
なるほど、と想うと同時に、先が見えてきた。
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【がみたさんからの書きこみ】
『診療所の医師にも救急車の適正使用と大病院の関わり方の教育を』

たしかに・・・

診療所の医師は病院から見ればそう映るだろうし、
私も勤務医の時、そう思っていたことを思い出した。

勤務医は無用な救急搬送で疲弊している。
若手は特に相当なストレスになっている。

「何かあれば救急車呼んで病院に行ってね」という開業医はたしかに多い。
しかしこれは最低の開業医で、恥ずかしい限りだ。

しかしいくら頑張っても本人や家族が「救急車で病院へ」と言われることも確かにある。
「行っても仕方が無いのに」と少しは諭すが、非がんの場合は止められないことがある。

今回の例は、救急搬送→救命成功が何度か続いたため今回もそうなった。
患者の家族の希望を尊重する我が国の医療では、どうすることもできない。

市民の大病院信仰は勤務医のみなさんは知らないだろうが、凄まじいものがある。
特に家族が医療者だった場合、「なにかあれば大病院に救急搬送」を、となる。

私たちに連絡無しで勝手に救急車を呼んで大病院を目指す人も後を絶たない。
私たちはこうした残念な結果を、「敗北」と呼んでいる。

大病院信仰、フリーアクセス、救急車無料の我が国では、やりたい放題の市民もいる。
それで幸せかというと、決してそうではなく、逆恨みをする患者さんもいる。

「大病院信仰、どこまで続けますか」は、そんな想いで書いた本だ。

しか今回、伝えたいことは、その大病院の医師が医師法を知らないこと。
まあ、それは在宅医療に詳しくない開業医も同じことかもしれないが・・・・



【匿名さんの書き込み】

>端的に言ってあなたの説得不足でしょう。
>自分の説明不足を棚に上げ、家族の希望だからと言って
>大病院に押し付けておいて文句を言うわけですね。。



それは違う。

何度も何度も、時間をかけて話合いをしても、
伝えることができない患者さんや家族が存在する。

そして結果として「病院に投げた」わけだから、
投げられた方はやってらないのも分かる。

ただ、投げられた病院も気の毒だと思う。
しかし投げたくて投げているのではない。

そして、それと医師法20条とは無関係の話。

開業医が悪いから法律などどうでもいい、とは、ならない。
その点について書いたので、論点は区別してほしい。

今後、こんな症例が確実にまだまだ増えてくる。
無用だと思われる救急搬送が、年々増えている。

でも大病院は、なぜ「超急性期病院では適応無し!」で断わらないのか。
100歳の看取り搬送を断ることをしないで、超急性期病院と言えるのか。

断って欲しいケースを受け入れて、どうしても受け入れて欲しいケースが断られる
という悪循環に陥りつつある。

どこまでが大病院の守備範囲なのか、この際、市民に啓発すべきではないか。
これは、開業医にはできない。

療養病床をもっと活用すべきだが機能分化ができていない。
だから最前線で働いている若い医師は、文句を言いたくなる。

なるほど・・・・

だから今回のようなケースは、本来ならここではなく、オープンな場で
議論をして多くの市民にも参加してもらい、一緒に考えるべき問題だ。

そして大切なことは、消防と警察もケアマネも必ず参加すること。
そのような議論こそが本来の、”地域包括ケア”であろう。


こんな、異常な搬送、過剰な処置がいつまでも続くはずはない。
いろんな意味で、制度の破綻は時間の問題であるように感じる。


無用な救急搬送問題はあまり表には出ないが、きわめて大きな問題だと思う。
たとえば今回ののような具体的事例で2~3時間のシンポができればいいな。

仰せのように
『診療所の医師にも救急車の適正使用と大病院の関わり方の教育を』も大切だ。

そして
『介護職やケアマネにも救急車の適正使用と大病院の関わり方の教育を!』、であろうし、
『国民全体で救急車の適正使用と大病院の関わり方の議論を!』とすべきだ。

勤務医を非難するような文章を書き、頑張っている勤務医のみなさまには申し訳なかった。
これは市民の皆さまにも考えてもらうべき問題だ。

いい勉強をさせて頂いた。

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この記事へのコメント

当地が田舎な由だからかも知れませんが、救急搬送先も限られた病院しかないために(絶対数が少ない)
タライ廻しも出来ないがために、救急隊員が、それなりの発言をしているようです。
病院との連携を踏まえてとは思いますが、要請があれば黙って搬送、という様子ではないようです。

Posted by もも at 2016年05月05日 01:07 | 返信

おはようございます。
誰かが悪いというより、いろんな要素が絡み合っていると感じます。
仕事で海外の高齢者福祉・医療の勉強によく行っていますが、外から
見ると、日本の良さと悪い部分は表裏一体と感じます。
行き過ぎた制度(国策)ととことんやる医療、さらにとことん求める
一般市民(国民)、費用負担のとことんサポート…。
死ぬことが敗北・悪と誰もが無意識に思っている中で、解決できない
問題のように感じます。
高齢社会白書のデータでも延命に関して望まない(自然を望む)人が
ほとんどなのに、「最期を迎えたい場所」を「病院」と上げる人も
ほとんど。激しく矛盾を感じます。
全ての人にきちんとした死生観の教育を、そして自己決定の尊重を、
と思いますが、医療業界、薬品業界、官僚、その他もろもろの利権や
既得権もからむと難しいの世の中なのだなぁ、、とも思うばかりです。
日本は全体的に良い国ですが、価値観の個別性を無視する部分も感じます。
話があちこちずれましたが(^_^;)、おそらく問題の根源は私たち
一般市民が、しっかりと自分の見識を持つべきかと。お医者さまが
決めるのではなく、自分(と周辺家族)の責任は自分で持つことが
大事かと・・・。

Posted by 匿名 at 2016年05月05日 09:15 | 返信

本人の現時点での耐えがたい苦しみが、救急搬送したほうが軽減されるのであれば、救急搬送を選ぶべきかな、と思います。
本人の現時点での耐えがたい苦しみが、在宅訪問診療医師による医療行為のほうが軽減されるのであれば、在宅医を待つべきかな、と思います。
同じ程度なら、在宅医に診てもらうほうが安心できるハズです。

問題は、在宅医もピンキリで、電話が常に通じるとは限らず、通じてもすぐにすっ飛んで来てくれるとは限らず、すぐに来てくれても苦痛を軽減するスキルが十分とは限らず、
そういう不安があると、救急車はすぐに来てくれて救急専門医がいるハズの救急病院へ運んでくれる、という安心感のほうが先に立って救急車を呼ぶことになるのではないでしょうか。
救急病院に詰めているすべての医師がすべて、苦痛を軽減するスキルに長けている、とは、私は思いませんので、救急搬送したところでどのような医者に当たるかわからず、より苦痛がひどくなるケースも多いと思います。

今回の長尾先生の件は、根本的に家族は以前かかっていた大病院を第一の選択肢ととらえていて、過去何回も生き返っているので、救急搬送したのはやむを得ないと思います。当然、死亡診断書は搬送先の医師が書くべきです。

それにしても24時間ルールについては、厚労省が誤解を解く通達を出しているにもかかわらず知らない医者が多いです。でも、警察も、ですか・・・・

一般的には、現時点では、国民の信頼度は、救急搬送のほうが、在宅医よりも優る、と 認めざるを得ません。それを、在宅医のほうが信頼できる、と感じさせるには、在宅医の質を向上させることと、マスメディアによる情報提供が必要だと思います。

優秀かつ良心的な在宅医の象徴として長尾先生が一人で戦っている感がありますが、父が最近、以前の施設を出て入居した介護施設には、志高い若い医師のグループが、訪問診療クリニックとして選択肢に入っていて、最期まで施設でお世話いただけるとのこと。もちろんそのクリニックと契約しました。父は、明確に、救急搬送しないでほしい、病院は嫌だ、という意思表示をしました。

その場になってみないとわからないことはたくさんありますけれど、長尾先生のご尽力は、間接的かもしれませんが、若い医師の心に響いていると思います。

Posted by 匿名 at 2016年05月05日 04:41 | 返信

ふと、問題点に距離を置いてみて、冷めて考えてみた時に、日本人の勤勉さが浮き彫りに感じる
事柄のように思えてしまいました。
誰もが自分の職業的立場・組織的立場に立って、最善とは何かを考えながら、人への思いと立場の
バランスに憂慮しながら試行錯誤している、現代の超々高齢化社会の渦中にある現象だと思いました。
どの職業に於いても、根底は、日本人は優しく親切だと思います。
一方でお上は、○○○○プランとかの題目を掲げて、中身はと言えば、人の痛みを和らげるとかの施しと
程遠い、どこかしらの利益享与・享受が目的であるかの如く見えてしまう、表面的な...うわっつら.。
視点の違いが乖離している現実逃避的な現状...。「現場を見て、知って下さい!」と言いたく
なるような、現実離れな政治に思い及びました。

Posted by もも at 2016年05月05日 10:45 | 返信

私の地元では、些細な事(の様に思われる事)で救急搬送を受け入れて下さっている病院が、3名のドクターで在宅診療部を強化し、休日も夜も緊急時は対応して下さる様になったそうです。救急受け入れの大変さをご存じのドクター達の在宅医療に期待感で一杯です。
私も医療依存度が高く、家族が看れない方の為に、看取りの家を立ち上げようと動いています。医師法20・21条の周知徹底と色んな問題を冷静に分析して、自分の場所で半歩でも前に進めば、喜んで下さる利用者が一人でも増えてくれるのではないでしょうか?

Posted by ルナース at 2016年05月06日 09:39 | 返信

ううう〜モヤモヤします
勤務医さんとのやりとりと皆さんのコメントなんかモヤモヤしてました
そして
これこそが「地域包括ケアシステム」を進めていく上での大きな問題とマサにこれと思いました
多職種連携の前に同職種も分かり合っていません。なので看護師も今更看看連携とかいってますし、ケアマネージャーの実力に差がありすぎると言われてますし、ましてお医者さんもこんなですから、専門職以外の一般人は死ぬところ、死に方まで自分たちで決めるものとは思いもよらず、終末の話なんぞ縁起でもない、自分はガンにならない、ガンになって死ぬかもしれないと思っても今すぐではないと死ぬ直前まで思っている のが現状です。
モヤモヤしながらもう一度読み返してみるに
まあ地道にやるしかないです というのが結論
ただ自分のテリトリーをひたすら守っていくだけの専門職は、専門職とは言えません
広げて、深める連携を同職種、他職種でしていただきたいし
一般の人たちは自分に火の粉がとっでくる前のことにもう少し目を向けていただけたらと思う今日この頃です

Posted by うめ at 2016年05月07日 12:12 | 返信

去年度のケアマネジャーの合格率で一番多いのは80%ヘルパーさんなんですね。看護師さんは少なかった。それなのに、ケアマネジャーに対する反感が強いのですね。
これは物凄くやり難いですね。
私は明治生まれの祖母が看護婦(日本赤十字病院の看護婦長)、母は大正生まれの薬剤師、私は昭和生まれの鍼灸師で、多職種連携の家系なんです。だから看護師さんも薬剤師さんも同じ距離感で見てしまう。
でも看護師さんは、元職へるぱーさんのケアマネジャーが嫌いなのかも。
だから訪問看護師から「ケアマネジャーがすぐ救急車をよぶ」等の発言がでるのでしょう。消去されたけど。
これは長尾先生と大病院の患者さんの搬送問題とは関係ないと思いますけど。

Posted by 大谷佳子 at 2016年05月08日 03:38 | 返信

先陣切られた「とある勤務医」さん。アドバイスお待ちしています。
先日の軽井沢バス事故。小泉規制緩和やアヘ観光立国高み化が背景に。
くだんの運転手。年金もなく、日銭稼ぎのため、大型バスに挑戦。遺骨ひきとられず。
ある遺族の父親は、息子の本(『社会を変えるには』)を手に、誓っていた。

つづく「勤務医」さん、「○○医」さんって、なにか、共通項がありますね。
五木寛之さんの「病院嫌い」を思い出します。
だから、病院のあるところを避け、わざわざ大回りされるのですね。

片田珠美さんのことばも、思い出しました。
「攻撃欲の強い人が他人を攻めて罪悪感をかき立てようとするのは、自分自身が抱えている後ろめたさに耐えられず、投げ捨てようとするからだ。」
なるほど、なるほど。

もひとつ、山折哲雄さんのことばも、思い出しました。
「主語なき普遍主義が、科学者たちの領域においても深く静かに浸透していると思わないわけにはいかない。」
なるほど、なるほど。

Posted by 鍵山いさお at 2016年05月09日 08:19 | 返信

なんども なんども…
長尾先生の投稿とみなさまのコメントを繰り返し読み
私も モヤっと感でいっぱいです

私自身 訪問看護をやり始めたから わかってきたことで
病院看護師であった時には 気づくこともなく 考えることすらしなかったです

長いものに巻かれてしまう…ひとつの駒でしかないのか…
人と違うことをやろうとすると 出る釘打たれてしまう

縁があって 関わる方に
全力で取り組み 患者さま 利用者さまだけでなく
うちのスタッフを含め 多職種のみなさまに理解の輪を広げ
本物の連携をしていこうと決意する次第です

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年05月09日 10:58 | 返信

腹が立ち過ぎ…
眠れない日が 2日間続きます
今日は 眠るぞ〜と思っています

この連休前に
お二人の末期がんの方からの相談がありました

お一人は 入院中 うまく退院調整され
おうちに帰ってきて
大切なお時間をご家族とお過ごしになっています
笑顔がみられます
本当によかったです

もう一人の方は
おうちで療養していた方が
連休前に 訪問看護 在宅医を決めたいと言われたんですが
病院とのやりとりで
調整がうまくいかず…
連休中に 熱発して 緊急入院
回復され 本日 退院する予定でした
残念ながら
昨夜から状態悪化し 今日 お亡くなりになりました

「おうちに帰りたい」という言葉を退院カンファレンス時に
ご本人がおっしゃたから悔しい気持ちにかられます

タイミング…縁でしょうか…

限界を感じます

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年05月11日 11:34 | 返信

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