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胃ろうは食べられるようになれば「外す」のではなく「使わない」だけ

2016年07月02日(土)

マスコミもみなさんはどうも「胃ろう外し」という言葉が大好きなようだ。
胃ろうのおかげで再び食べるようになった人がいるが、その胃ろうは
外すのではなく、単に使わなければいいだけのことなのだが・・・
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経鼻チューブには「外す」という行為がある。
気管内チューブも「外す」という行為がある。

外して万一、不都合なら再度入れればいいだけ。
しかし胃ろうはそうはいかない。

内視鏡で再度造るのは、結構大変だ。
だから胃ろうの場合は、もし不要なら「使わない」ことになる。

具体的には胃ろうからの栄養剤の注入を中止することが
管を外したことと同等の意味がある。

胃ろうを外すのは簡単だ。
抜くだけなので1秒で済む。

しかし今、せっかくあって、邪魔にならず将来役に立つ可能性があるなら
なぜわざわざ急いで抜ないといけないのか、私にはよくリ分からない。

世間の調査では、胃ろうを造っても口から食べられる人は半数もいるという。
しかし食べることが不安定だったり、お薬の嚥下ができなかったりする場合もある。

胃ろう栄養で自宅に帰ってきたその日から、口から全量摂取という人が何人かいた。
それは病院の胃ろう造設の判断が間違っていたからで「不要な胃ろう」であっただけ。

しかし抜かずに残すことが多い。

・将来、口から食べられる量が減ってきた時に胃ろうから不足分を補うことができる
・薬の投与ルートとしてだけ使い、重宝している人もいる。


胃ろうを維持する手間とは、バルーン型なら3ケ月に1回、自宅で交換するだけ。
所要時間はわずか1分。

外部はボタン型にしておけば、違和感や異物感は無い。
「おへそが増えるようなもの」といつも説明している。

みなさんは、家の部屋に電気のコンセントがありますよね。
使っていないコンセントを、いちいち抜きますか?

もし不要なら使わなければいいだけで、わざわざ引っこ抜くのかなあ。
いつか必要な時が来るのかもしれないので残していても不都合は無いはずなのに。


以上が、このブログに書き込まれたご質問へのお答えである。


マスコミは、わざわざ「胃ろうを抜いて見せる」という「やらせ」を平気でやらせている。
無邪気な市民は「おお、素晴らしい!」と称賛するが、医療者から見れば理解不能な行為。

とんでもない、という意味はテレビカメラの見世物になった患者さんが気の毒という意味。
マスメデイアが真実を報道することは無い、と最初から思っていたほうが正しい態度かも。






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この記事へのコメント

読みながら、「長尾先生が胃瘻を外さない訳」を説明していらっしゃると、すぐに分かりました。
以前の書き込みに、「結果不本意な胃瘻を外したいが、そうか..長尾先生も外した経験はないのか」
というコメントが脳裏にありました。胃瘻が身近に無い私にとっては、漠然とした???でしたが、
長尾先生は信念をお持ちでいらしたようで、このブログを読み「ヨカッタ!」と思いました。
それにしても、人の生命力は素晴らしい、と感じることができる最近でもあります。
高齢者と接し、やはり自発的が何より一番。即ち、自分の意志を持ち(周囲のプロに手助けして頂き
ながらも)何事にも努力があれば、何才になっても人は進歩すること必至です。
全てを医師依存し続けていくことは、不毛の戦いでもありそうです。自発的なエネルギー(意志)が
もたらす功が何より自然で一番です。と、最近の出来事から思いました。
人は90才代になったとしても、努力をする人には、それなりの見返りが必ずあると思います。

Posted by もも at 2016年07月02日 01:35 | 返信

難しい問題です

胃瘻を造設することの説明も不十分ですし…
胃瘻を抜去することの説明も不十分です

昨年のことです
脳梗塞で嚥下が低下し 胃瘻造設していた40代の女性が 食べれるようになり…
「胃瘻を取りたい」と訪問に伺うたびにおっしゃっていました
受診時 医師に相談してみてね…と伝えたが
「先生に うまく言えない」と言われ 診察に同行しました

ですが…
医師は 抜去のリスクを説明しません
「抜いてくれるって〜よかったわ〜」
彼女の笑顔を見たら よかったね…としか言えない自分がいました

ちょっと待てよ!本当に これでいいのか!
彼女は 40代で これからの人生を生きていかれる方です
きちんと理解しないと後悔することになるかもしれないと思い
訪問時に説明させていただきました
(うちのスタッフは 先生が説明することだよね…と怒っていましたが)

彼女は
「胃瘻があることで 気分がすぐれない 見たくないのよ」
「肉芽が形成したり ジュクジュクして手入れがたいへん」
先生の説明から1年間 悩み 抜去しました

たった一瞬のことかもしれませんが…
人生の選択です
一緒に考えていきたいですね

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年07月02日 07:48 | 返信

>マスメデイアが真実を報道することは無い、と最初から思っていたほうが正しい態度かも。
老舗の和菓子屋さんが姿を消して、スーパーに置かれたパック入りの団子は添加物入りで
しかもオートメーションで型押しされて味気無い代物になってしまった。比喩ですが、そういった
似ていて否なるものと思っていた方が賢明かも知れないですね。マスメディアの内実が崩壊し、
一方でSNSの浸透により、一般からの辛辣な物言いの方がセンセーショナルな時代となりました。
嘘の片棒を担ぐマスメディアは、もはや狼少年なのかも知れません。

Posted by もも at 2016年07月02日 10:44 | 返信

 単なる一例ですが、母が訓練を続けてやがて食べられる様になった時、胃ろうを外すかどうか非常に悩みました。周囲の医療関係者は「お守りがわりにつけておいたほうがよい」と声をそろえて言いましたが、私は外してやりたかったのです。
 母は元気な時、父の介護をしていましたがその父は胃ろうをつけたまま、食べられないまま亡くなりました。その時母は「胃ろうは嫌だ。たとえ食べられなくなってもつけたくないからね。」と私に言いました。「胃ろうになったらそのまま亡くなる」というイメージが、母にも私にも強く残ったのです。だから「死のお腹の穴」は外してやりたかったのです。
 しかし、先生の本を読んだり、PEGドクターズネットワークで勉強した結果、「急いで外す必要はないのだ」と知りました。お腹にあけた「死の穴」がピアスの穴のようなものだなんて、ズッコケました。
 その後は、残しておいてよかった思う場面がたくさんありました。
 骨折の治療中に嚥下機能が落ちたときは胃ろうを使って回復に必要な栄養や水分をとることができましたし、発熱や真夏に水分摂取量が少ない時や、口腔・咽頭内に残さないように飲まなくてはいけない一部の薬などは直接胃に入れる事ができ、安心です。
 当初はバンパー・チューブ型で、三年使えるタイプでした。酢ロックをしていてもチューブは真っ黒になるし着替えの時はひっかかるしで気を使いまくりましたが、その後看護師さんにボタン型のバルンタイプを勧められ、かえてからは交換が容易でいつも透き通った清潔なPEGを保てていますし、下着にひっかかる事もなく、本人もついてるのを忘れているくらいです。
 要は正しい情報と、丁寧な説明に出会えるかどうかだと思います。
 特に介護者はいろんな情報から隔絶されています。情報といったらテレビくらいしかありませんからテレビの情報には、たとえそれが間違っていても影響されます。
 医療のプロでもない介護者がテレビの情報を真に受けて信じるのは当然かなと思いますから、発信側は正しい情報を流す責任があると思いますが最近はさすがにテキトーだなと思う番組もたくさんあります。
 
 介護をしていると「するかしないか」「続けるかやめるか」という重い判断をしなければならない場面がたくさんあります。そもそもわからないのに、全然わからないのにそれでも悩んで悩んで決めなければなりません。
 私は先生の本に出会う事ができたのですごくラッキーでした。その経験から、何においても「わからないまま判断する」事や「イメージで決めてしまう」事はなくなり、「ほんとかな?」と思ったら聞いて、調べて、納得してから判断するようになりました。
こういった経験を、どこかで発信できたらと思う今日この頃です。

Posted by かんこちゃの娘 at 2016年07月03日 10:59 | 返信

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