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建物内禁煙で受動喫煙防止を!
2017年03月10日(金)
産経新聞・呼吸器シリーズ第8回(最終回) 東京五輪とタバコ対策
建物内禁煙で受動喫煙防止を!
町医者の外来診療といえば生活習慣病の療養指導と風邪などの感染症対応に大別されます。来院数でいうと前者は慢性病なので年中一定ですが、後者はかなりの季節変動があります。冬はインフルの予防注射や風邪が流行るので夏場より相当に忙しくなります。そして風邪症状で受診される人の大半は喫煙者です。多くのタバコ税を取られた上に、医療費までも払わされて本当に気の毒だなあと思います。もちろんあの手この手で禁煙を勧めますが本人は「ストレス発散のため体に良い」と思い込んでいる場合が多い。しかし喫煙者の大半はニコチン依存症なので「ストレス発散」どころかニコチンが入ってこないとストレスが貯まるのです。しかし禁煙外来につなげて禁煙に成功した人が沢山います。風邪はその時だけですが、タバコ病は一生もの。だから風邪受診が禁煙治療の大チャンスです。
さらに深刻なのは家族や周囲の喫煙で起きる受動喫煙被害です。たとえば飲食店やパチンコ屋さんの従業員が自分はタバコを吸わないのに風邪症状で年に何度も来院され本当に可哀そうです。タバコ病による死亡はよく知られていますが受動喫煙により年間1万5千人もの命を奪われている事実はほとんど知られていません。タバコの煙は多くのがんの発生に関与しています。たとえば20歳代の若者の口腔がんで看取りは本当に心が痛みました。50歳代の食道がん、咽頭がん、喉頭がんで命を落としていく患者さんは異口同音に「タバコが体に悪いなんて知らなかった」と喫煙を後悔しながら旅立たれました。喫煙に満足・納得して旅立った人を診たことがありません。だから「禁煙で人生を変えようー騙されている日本の喫煙者―」(エピック)という本を書き市民啓発を続けてきました。見事に騙されている人たちを見る度に心が痛みます。国民全体の喫煙率は男性は32.1%、女性は8.5%で全体では20%を切りました。最もタバコを吸うのは男性の30〜50歳で、30代が44.3%、40代が44.2%。ちなみに男性医師の喫煙率は10.9%で、年々低下しています。
さて2020年東京五輪に向けて受動喫煙対策を強化する法案が議論されています。国際オリンピック委員会(IOC)は 1988 年以来、オリンピックにおける禁煙方針を掲げ、会場の禁煙化だけでなくタバコ産業がスポンサーになることを拒否してきました。バルセロナ、アトランタ、シドニー、アテネ、北京、ロ ンドン、リオデジャネイロ、あるいはロシアのソチなどのオリンピック開催都市ではすべて罰則付きの「受動喫煙防止法」(北京市のみ「条例」)が定められました。世界一喫煙率の高い中国においても北京オリンピック開催のために北京市を含む6 都市に「受動喫煙防止条例」が制定されました。私は町医者として東京五輪開催を機に世界標準に追い付きたいという願いがあります。しかし国会での議論を聞いていると「タバコを吸う自由」だけを主張している議員さんがいて呆れます。吸いたい人は誰もいない屋外で吸えばいいだけで、罪のない人がタバコの被害者にあわないようにする受動喫煙防止こそが今、必要です。そのためには「分煙」では意味がなく「建物内禁煙」しかありません。分煙では受動喫煙被害は解決しないのです。「分煙という言葉を死語に!」が、呼吸器シリーズ最終回にお届けする私からのメッセージです。
キーワード 禁煙外来
ニコチン依存症の人には届け出をしている医療機関において保険診療での禁煙治療が行われている。貼り薬であるニコチンパッチやタバコを吸いたくなくなる飲み薬(バレニクリン)などを使い2~3ケ月のプログラムで禁煙する。
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この記事へのコメント
建物内禁煙では私は足りないです。たばこが存在したままでの受動喫煙防止対策など不可能だと思っています。喫煙者はたばこを吸っていないときも常時煙やたばこの成分を発し続けているからです。職場でも路上でも電車の
中でも家にいても不意討ちで襲いかかってきて、逃げ場がありません。我慢も限界、体も悲鳴をあげはじめ、このままでは生活が成り立たなくなりそうです。何かいい解決策を知りたいです。
Posted by まこ at 2017年03月13日 07:32 | 返信
パチンコというのも、まあ、ゲーセンも同様でしょうが、
パチンコという企業自体がタバコに似ているような。
ちょっとだけ昔の話ですが、
長いこと日本に居る米国人が言ってたことが記憶に残っています。
日本は車でちょっと走るとパチンコ屋ばかりだと。
それだけ日本という国がパチンコ産業に毒されている。
パチンコ屋が無くなると喫煙者も減るかもしれない。
でもダメかな。
だって、カジノを作るって決めたのでしょう?
カジノを禁煙にできるの?
カジノを禁煙にできるのならパチンコ屋も禁煙にできるはず。
そう、思いませんか?
Posted by 匿名 at 2017年03月14日 02:41 | 返信
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