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6月28日(土)「なんでこんなやつに電話したんだ」と救急隊員がヘルパーを叱りました

2008年06月28日(土)

 ごった返してしる土曜日の午前診の最中、独居で足が不自由な在宅患者さんのヘルパーさんから携帯電話がかかってきました。「家に入ると患者さんの意識がないのです。救急車も呼びました」と。

 救急隊員にかわってもらいました。「この患者さんは糖尿病ですので低血糖かもしれません」と伝えるも、「意識レベル300だから、そんなはずはない。絶対に脳卒中だ。(ヤブ医者め)」と頭ごなしに否定しました。「かかりつけ病院は、A病院で」と言うも、「そんなの関係ない」と、これも無視。もう少し患者情報を伝えようとすると、受話機から離れて、「なんでこんなやつになんで電話したんだ」と、ヘルパーを叱りながら、ブチツと電話を切ってしまいました。
 
 外来を終えると、腹の虫が納まらない私は、消防隊の責任者にさっそく電話を入れました。「消防隊員は、主治医からの患者情報には耳を傾ける必要がある」「主治医は、全責任を負っている」「搬送先の先生にも情報提供する責任がある」など主張するも、私の言っている意味がよく分からない様子。「こんなやつ」と言われたので、むきになりました。

 消防隊の言い分は、「意識がない患者を、病院に運んで何が悪い。開業医には関係ない。」でした。「ヘルパーにちゃんと説明したから問題ないはずだ」とも言いました。

 要するに、在宅主治医、開業医なんて「そんなの俺たち救急隊員には関係ない」のです。昼過ぎにヘルパーさんに電話すると、救急車は結局B病院に行ったことが分かり、紹介状をFAXしました。
 
 最近、在宅医療と救急隊との連携が気になっていた矢先の出来事でした。在宅患者さんは、医師、看護師、ケアマネ、ヘルパーはもちろんですが、救急隊員や後方支援病院とも充分に連携していかねばなりません。しかし、今日の出来事で、“在宅医療”なんて救急隊員には全く認知されていないことがはっきり分かりました。

 拙書「はじめての在宅医療」でも、「救急車を呼ぶとどうなるのか」に2ページを割いて解説しています。しかし肝心の救急隊員との情報交換は一度もしておらず、近いうちにする必要があると感じていました。1時間に及ぶ電話でもおさまらず、結局消防署に、冊子を何冊か持って駆けつけ、責任者に同じ説明を繰り返しました。

 途中で、先ほどのヘルパーから「先生のおっしゃった通りやっぱり低血糖でした。すぐに意識が戻り今、家に戻りました」と、電話が入りました。力が抜けました。HbA1cは7.6%だったのですが、やはり低血糖はあるのです。

 結果はどうでもいいんです。身寄りもない独居の患者さん、大事なソウルメイトとも言えるかわいい患者さん、この世にこの患者さんの病気は自分しか知らないと自負している私に、「こんなやつ」と言い放った救急隊員は間違っていると思うのですが・・・。さっそく患者さんの顔を見に伺いました。
そんなかんだで3時間以上も費やしてしまい、せっかくの勉強会に遅刻しました。

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この記事へのコメント

長尾先生,こんばんは.
滋賀県に転勤したバイク乗り禁煙医師です

救急隊の態度,コンプライアンスには
大阪市にいる時に呆れかえりました

搬送するだけが仕事と思っています
バイタルはとっても,経験則でしか
物事を考えていません

彼らの喫煙率の高さも呆れますが
数年前,救急車の助手席で喫煙する
馬鹿な隊員がいたので,本部に
苦言を呈しました

先生の活動の幅広さとその速さに
感銘を受けております

Posted by ノースモークライダー at 2008年06月30日 11:20 | 返信

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