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10月3日(金) 医療崩壊を守るシンポジウムを拝聴、自治労の熱い人たちと懇談

2008年10月03日(金)

081003.jpg 昨夜は、国会議事堂の裏にある星稜会館で、自治労主催の開催された「地域医療を守るシンポジウム」を拝聴しました。毎日新聞の鯨岡さんがコーデネーター兼司会役を務めました。

  9月末で銚子市民病院が閉鎖されたニュースが連日報道されていますが、シンポジウムの冒頭は、銚子市議会の議長さんが、閉鎖に至るまでの経緯の説明から始まりました。驚いたのは、銚市市民病院は地元では大変評判のいい病院で、収支はなんと黒字でありながら閉鎖されたことです。議長さんですら「なぜ閉鎖されたの、全く分からない」と言い放たれました。新臨床研修医制度による医局制度崩壊に伴い、大学病院からの医師派遣が途絶えたことだけが原因では無いようでした。どうやら、市長さんが、ある圧力を受けて閉鎖したように感じました。市内の民間病院やもっと大きなレベルでの政治力が働いているようでした。足が少し壊疽に陥った患者さんの足を、検査もろくろくしないまま、いきなり切断したような感じに、聞こえました。

  私がかつて勤務していた市立芦屋病院が閉院か再生か、芦屋市議会で連日もめています。また綿谷先生が先頭に立たれて存続を訴えておられる県立塚口病院のことも、当然頭にうかびました。銚子は決して他人事ではありません。全国の自治体病院の抱える問題を象徴しているように感じました。

  かかりつけだった患者さんや多くの精神科患者さんたちは大変困っているようで、50Kmも離れた隣町の病院までシャトルバスで通院しているそうです。何人かの医師は最後まで残ると頑張ったそうです。1人の医師は最後の最後まで抵抗しましたが、さすがに市長からの「解雇命令」には逆らえず去ったそうです。夕張市とはまた違った地域医療崩壊のモデルだと思いました。とても純朴な議長さんの話を伺っているうちに、一瞬自分自身が働きたくなりました。銚子には村上先生はいませんので、問題はこれからです。

  次に、全国医師連盟の黒川衛代表と梅村聡参議院議員が、勤務医の過重労働について、それぞれの立場から、参加者(自治労関係者)に分かり易く解説しました。40歳の医師が大学病院で死ぬほど働いても年収200万円であるという現実や、当直で一睡もしていない外科医がそのまま手術している現実など、私は何度も聞いた話に、参加者は身を乗り出して聞き入っていました。

  医療崩壊は、政治(医療費抑制政策)、マスコミ(医師を悪者扱い)、患者(コンビニ受診)など、複合的な原因ですが、ひとつだけ医師にも責任があります。それは、勤務医が想像を絶する過重労働をこなしながら、その実態をあまり外に向かって発信してこなかったことです。聖職と呼ばれてきたために、あまりにも我慢しすぎたんだと思いました。一般の人は、勤務医がそこまで過重労働だったことをこのシンポジウムで初めて知ったようでした。

  全国各地で、このような分かりやすい市民との地道な対話が必要であると痛感しました。フロアからは、ある看護師が「医療崩壊や医師不足ばかりが叫ばれているが、看護師不足やコメデイカル不足はどうなるのか。7:1になって仕事がさらにきつくなり、みんな辞めていく。看護崩壊も忘れないで欲しい」と過激に発言しました。

  最後に、地域医療のモデルとされる佐久総合病院医長の長先生が、「長野県は、少ない医療費で長寿を達成しているが、長野県には公立病院が多いためだ」と切り出し、「医療は、公か民か」という議論になりました。また、県立塚口病院を思い出しました。何人かの国会議員もメモを取りながら、熱心に聞いていました。その一人であった社民党の福島瑞穂議員は、今日の代表質問で、さっそく銚子市民病院の問題を麻生総理に質問していました。

  終了後、全国90万人の自治労組織の頂点にたつ会長さん、副会長さん、書記長さんも含めて関係者全員で食事をしました。私も、月刊「自治研7月号」で、梅村議員と後期高齢者医療制度について対談した御縁もあり、特別に参加させて頂きました。当然、オフレコの話ばかりですが、地域医療崩壊にこんなに熱心に取り組んでいる人たちがいることに感動しました。

  10月の爽やかな東京は異常に混んでいて、やっととれた場末の安ホテルにたどりつくと0時前でした。羽田空港7時半発の飛行機の窓からは、雲の上から見事に顔を出している鮮やかな富士山、そして日本の尾根と習った3本の山脈がはっきり見え、ヘッドフォンから流れてきた、竹内まりあの「人生の扉」を聞いていたら、とても眠い朝のはずなのに不意に目頭が熱くなりました。

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