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12月9日(火) 末期癌患者さんを囲んで愉快なカラオケ大会、その後電話40本以上
2008年12月09日(火)
病院から逃げるように家に帰ってきた末期がんのAさんは、元ちょっと有名な歌手であり歌謡教室の先生です。全く食べられないため点滴栄養を受けながらカラオケスタジオの2階の1室でたった一人で1ケ月以上頑張ってきました。看護師さんが点滴の付け替えや痛み止め(麻薬)の調節のため、日曜祝日も関変なく毎日2?3回出入りします。
2週間前は国会議員や厚生官僚さんと、1週間前には新聞記者さんと一緒に訪問しましたが、とってもしんどいにもかかわらず快く取材にも応じてくれました。せっかくスタジオの2階に帰って来たのだから、一度は歌を通じた交流を持ちたいなと思っていました。かなり衰弱してきたので最期のチャンスかと考え、思い切って私からカラオケ大会を企画しました。
当院のスタッフが9人も集まりました。Aさんにとってこれ以上安心なメンバーはありません。スタジオの入り口には「本日貸切」と貼られていました。寝巻の上に黒いコートを着せて帽子を被ると、元スターのオーラが少し蘇ってきました。私が口火を切って「TSUNAMI」を歌い終わったところで、Aさんが颯爽と登場です。私の歌に「もうちょっとやな」と講評して笑わした後は、ゼンジー北京ばりの愉快な手品を始めました。息も絶え絶えの手品ですが笑いはしっかり取りました。
全員が歌い終ったあとに一人一人に実に的確な批評を加えて「全員歌手になろうと思えばなれる!」と誉めることも忘れません。笑いが絶えないあっという間の2時間が経過した時、彼にはもう2階に上がる力は残っていませんでした。私が背負って上がり、ベットに寝かすとグッタリと肩で息をしていました。
一緒にすごした看護師さんが同夜の院内メーリングリストに書いてくれた文章です。
「Aさん。痰をだすのに必死な毎日を過ごしておられ、苦しくて話がままならない日も ある中、今日は、スターのような登場、歌を聴くときの真剣な眼差し、ベッドに戻って 緊張のとれた顔(いつもは、しんどくて、顔の筋肉も緊張してます)、いつもより大きく 開いた眼、どれもこれも、退院されて初めてのことではないでしょうか。ケアマネさんは初対面なのに、皆さんの優しい心がとても温かい空気に感じられました。私自身心温まるものがありました。平日の忙しい中、本当にありがとうございました。」
私もとっても楽しいひと時であり、元気をもらいました。ダカラ在宅医療は楽しい!!しかし帰り道に、別の末期癌患者Bさんの3人の子どもさんから別々の電話が鳴りやみません。Bさんが急に明日から死ぬ前に友人に会うために東京に行くと言い出したからです。もうかなり衰弱していているので私は止めました。しかし「行く」「行かない」でモメにモメて、4人のストレスが全部私への電話に集中します。2時間、電話が鳴りやみません。
そこに今度は末期癌のCさんが発熱したとの電話が重なり、その後別の末期癌患者さんも娘さんから痛みについての電話と、電話が鳴りやまず、数えると40本にもなりました。
やっと眠りについたが、3時半に例のカラオケのAさんからの電話が鳴りました。どうやら夢と混乱しているらしく、「ラクダと馬がいる。犬もおるけどなんでや?」と訳の分からない話をし続けて電話を切ってくれません。10分ほど聞いていましたが、これには困りました。
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