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2月11日(水・祝)
2009年02月11日(水)
今夜も大往生―3泊4日ご飯の旅―
昼はソルトスタジオのDVD撮りでした。当院の職員の何人かにもソルトスタジオを体験してもらいましたが、意外にも評価は様々です。中には「暑い、光線で興奮する、退屈だ」といった声もあり、オーダーメイドのソルト療法にしなければいけないと思い会社の方に伝えました。
2月8日の日曜日に、肺気腫と肺炎で某病院に1ヶ月入院していた患者さんが退院してきました。さっそく日曜日の夕方から(いつもながらの最悪のタイミングなのですが)、在宅医療がスタートしました。病院からは「食べたら死ぬ」と言われています。高カロリー輸液と酸素吸入が命じられていましたが、本人が「どうしても家に帰りたい、死んでもいいからご飯を食べたい」と言い張り、家族も納得して連れて帰られました。
夕方、初回訪問時にはすでに、たこ焼き、お寿司、ご飯、おかずを大量に食べて、大満足で満面の笑顔でした。酸素も外し、点滴の必要もなくなり、意外なほど穏やかな様子でなにか拍子抜けしました。しかし次の日には予想どうり重症の誤嚥性肺炎を起こし、激しい呼吸困難に陥りました。夕方の訪問時には点滴は拒否でしたが、深夜に電話が鳴り、点滴を希望されたので訪問看護師さんにステロイドが沢山入った点滴をしてもらいました。
しかし呼吸状態が極端に悪く、深夜1時に私が往診した時には、「間違いなく間もなく亡くなります」と説明しました。しかし意識はあり、まだ少し食べているので何か違和感がありました。翌朝になってもまだ呼ばれないので看護師に聞くと「今日は嘘のように快調に回復した」とのこと。結局、翌日は気持ちが悪いくらい快調で、あの晩は何だったんだろうてな感じでした。
そして今日の夜、訪問すると、大量に食事をして普通に冗談を言っておしゃべりしていました。「小康状態に戻りました。今夜は大丈夫ですから、家族の皆さん、家に帰ってくださいね」なんて話をして離れたのですが、1時間もたたぬ間に呼吸停止との連絡がありました。30分後に到着しましたが、既にお坊さんがお経を上げて家族や近所の人が20人ぐらい集まっていました。まだ死亡宣告も何もしていないのにお経をあげ終わった気の早い若いお坊さんに言われました。「今どき家で亡くなるなんて珍しいですね」と。分かっていないのですね。お坊さんなら「よかったですね」と言ってほしかった。
亡くなった患者さんの大きく開いた口の中を見ると、舌の上にご飯粒がホントに一粒、そびえ立つ様に見事にくっついていました。家族が言いました。「先生、母は本当に食べながら死にました」。どうやら本当に窒息ではなくて、死ぬほど好きなご飯を食べながら亡くなったようでした。沢山の臨終の場に立ち会い、死ぬ30分前までアイスクリームを食べていた人はいましたが、本当に食べながら亡くなった人は初めて見ました。
「3泊4日、念願のご飯の旅」と言うべき最期を過ごして、本人とご家族の希望通り自宅で亡くなりました。今夜も大往生でした。短期間でしたが、心温かい長男・長女さんとも交流ができて、町医者冥利につきる在宅医療となりました。
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