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2月12日(木)

2009年02月12日(木)

朝はソルトスタジオの改良、昼は尼崎地域医療フォーラムの司会と懇親会、夕は「兵庫県がん戦略会議」の公募面接試験、夜は高脂血症と心臓病の勉強会と懇親会と充実した1日でした

  今日は分刻みのハードスケジュールで忙しい日でした。朝は近藤先生、出版社の社長さんと待ち合わせて、ソルトスタジオの改良などの打ち合わせをし、近藤先生と昼食。
午後は、尼崎市医師会主催の「尼崎地域医療フォーラム」が開催されました。「まちの病院がなくなる」の著者である城西大学準教授の伊関友伸氏の講演「岐路に立つ自治体病院経営」を拝聴しました。尼崎市医師会地域医療連携・勤務医委員会委員長である小生が司会を務めました。

 その後、高原周治先生(尼崎市医師会長)と左近賢人先生(西宮市立中央病院院長)を含めた3人によるパネルデスカッションを橋本創先生(尼崎市医師会副会長)と私の司会で行いました。
伊関氏は「病院は勝ち組と負け組にはっきり分かれている」と指摘しその原因を分析されました。たとえば同じ病床数400床である国立奈良病院と長野県相沢病院を比較されました。医師数は81:133、PTは4:54、臨床工学技士は2:23であるのに前者は赤字、後者は黒字であり、その違いは何故なのかを解説されました。

 自治体病院の経営破たんは主に事務方のお役所体質と医師不足が原因であり、高度化・専門化に対応できないからだと指摘、その上で伊関氏は夕張の例も挙げ結論として「公設民営化」という考え方を一つの選択肢として提唱されました。懇親会で「独立行政法人化はどうですか?」と質問すると、「いいですね」とのことですが「社会医療法人も良い」とのこと。結局、「お役所体質」を脱却することが重要であり、あとは住民と一緒になって「民主主義で決める」しかないとの結論でした。なんだか、政治の「政権交代」の議論のように感じました。

 肝心の県立塚口病院と廃止と県立尼崎病院との統合の問題については、
1)自転車で通える範囲にある県立病院を廃止してはいけない、
という意見と 
2)廃止は仕方ない、統合・集約化して高度医療に対応した新病院を作る方が良い。患者は地域の開業医がしっかり見て、良い病診連携をすれば問題ない
という意見に分かれました。

 私自身の感想としては「そもそも公的病院が必要か」という疑問に対しては、「現在では必要であるという確固たる論理は、もはやない」と思うようになり「県塚は存続を」と考えていたのが「県立病院としては統合が合理的かな」に変わり、県塚の後は「公設民営化」が現実的かと思いました。

 その他、「療養病床は世界に誇る日本の文化である」というご意見「急性期病院→在宅医療という国の進める流れだけでは介護力不足で対応できない患者が大勢いる」というご意見などが出ました。現在、全国の病院の約1割が自治体病院だそうですが、やはり当事者意識の低い素人に近い役人が経営する基礎体力のない自治体病院からまず経営破綻する理由が理解できました。

 
 伊関氏は医師ではなく「病院を治す専門家」であり全国を視察して回っておられ情報量も豊富でとても説得力がありました。そのようなジャンルの学者はあまりいないと思いますが、「医師法21条」や「事故調」の問題に気づいていないのは、やはり「市民だな」と思いました。しかし私もこの問題には敢えて触れませんでした。

 「医療にお金をもっと投資すべき」は梅村議員に代わって私が言いましたし、「医師の給与が低すぎる」と言われた伊関氏には「もっと大きな声で言ってください。こればかりは医者も政治家も言えませんから」と頼みました。遠路はるばる駆けつけて頂いた三杉先生、梶山先生のお顔を壇上から拝見して大変嬉しかったですが、さすがに行政の偉いさんや県立病院の院長2人を前にして率直な意見は言いづらかったです。しかしこのような趣旨の討論会が持てたことは意義深く、大変勉強になりました。昼飯を食べた同じレストランで行われた懇親会に参加しました。

 その後、兵庫県庁横で行われた「兵庫県がん戦略会議委員」の公募枠の面接試験に臨みました。面接はこの年になっても緊張します。今回はタバコ対策を推進するために応募しました。

 夜は神戸で開催された高脂血症と心臓病の勉強会と懇親会で、沢山の質問をしました。スタチンという薬は「心不全にも効く」という兵庫医大の川端先生のご発表は大変刺激的でした。最新のマルチスライスCTによる冠動脈狭窄の診断に関する特別講演をされた藤田保健衛生大学の尾崎行雄教授の特別講演を拝聴しました。この大学病院は教授もバンバン当直をしていて断ればクビになるそうです。当直の話の方がびっくりしました。外科手術は年間1万件を超え、おそらく日本一臨床を行っている大学病院の一つだと思います。

 懇親会では尾崎教授に「元気な大学病院の理由」と「心筋梗塞を激減させたオランダの国家戦略」について色々と教えて頂きました。日本の特定保健指導もやり方次第では間違っていないのかなとも思いました。

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