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6月9日(火)

2009年06月09日(火)

ある若者の早すぎる最期に多くの老若男女とともに涙

 心を込めて、ある若者の最期を書かして頂くことをお許ください。私はこんなにも仲間に好かれた人を見たことがありません。この人に大きな感動を頂きました。

これまで1000人以上のご臨終に立ち会ったでしょうか。その中で、最も感動した最期でした。1年間、がんと闘い最期に家に帰ってきたのが2週間前。いつ訪問しても、友人や家族が何人も添い寝していました。いよいよ容態が悪化した昨日からは、「先生、呼吸が止まった」と何回も呼ばれました。ご自宅の各部屋に、おそらく50人ぐらいの老若男女が集まってお経を合唱しています。半日以上も続くお経の大合唱で、携帯電話の声がほとんど聞きとれません。ご臨終かと思って急いで往診して、よく見るとまだ小さな息をしていました。みなさんが「皆のお経が通じて息を吹き返したのです」と説明されました。これを昼、夜、深夜と3度も繰り返しました。

そして午前2時についに本当の最期の時がきました。こんなに沢山の人が集まり、祈り、泣き、そして心から感謝していました。100人近い祈りが強烈なパワーとなって伝わってきます。人々を押しのけ彼に近づきました。「ご臨終ですね」、と宣告すると、みんなはその若者に「ありがとうな」と叫んでいました。この若者は会社社長でも会長でも教祖でも文化人でも芸能人でもない、普通の一般人です。温かい人柄でいかに多くの人から好かれていた、ということがヒシヒシと伝わってきました。こんな深夜に全国から多くの人が自然と集まり、自宅に入りきれない人たちは路上でひっそりと祈り泣いていました。自宅の周囲がまるで葬儀場のような人だかりでした。

 亡くなって1時間経過しました。全員が別れのタッチをして、少しずつ静かになり、ついに家族のみになりました。きれいにする処置をしながら、ご両親としみじみとお話をしました。この方は、一度も怒ったことがなく、いつも感謝を忘れず、親や友人を大切にして、陽気で楽しく生きてきたと、ご両親が教えてくれました。「ありがとうな。あなたの親でいれて幸せやった。もう1回生まれてきても私の子に生まれてきてな」とお母さんがやさしく呼びかけました。あかん、つられて泣いてしまいました。私とは全く違う人間です。こんな素晴らしい人が本当にいるのだ。それに比べて自分はなんて醜い、なんて冷たい人間だろうとつくづく思いました。善良すぎる人間を早く召されるように神様がしくんだのでしょうか、納得がいきません。

 家に戻る途中、新聞配達の人たちと何人かすれちがいました。何事もなかったかのように空が白じんできています。昂ぶった感情のまま浅い仮眠に入りました。この若者の少し短いけど充実した素晴らしい生涯を思いながら。

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