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自宅にいくつかコルセット（正式名称、腰部固定帯）がありますが、帰宅までとても我慢できません。帰りがけに患者さん用の新しいコルセットを装着しました。院長特権です。院長だからこれぐらいの贅沢をしてもバチは当たらないでしょうと、自分勝手な言い訳を笑っている看護師さんにつぶやきながら。優しい看護師さんが「私が持っている使い捨てカイロを貼ってください」と差し出してくれました。こんな時、本当に優しい看護師さんかどうか、よくわかります。（笑）とにかく、その湿布を貼ると１０分ぐらいでとても気持ちよくなりました。痛みも少し緩和されました。しかし「急性期は本当は冷やすべきでは？」

そのまま、約束の新年会に向かいました。と言っても車を降りてから思うように体が前に進みません。パーキンソン病の患者さんより遅い感じです。たこ八郎さんと似た歩き方です。それでも私は「前に進めばそれでよし！」くらいにしか気にとめません。下手なゴルフ経験がこういう時にこそ生きてきます。そうです。そう１ｍでも前に進めばいいのです。

「それでいいのだ！」

約束の「夙川多賀谷」に這うようにたどりつきました。「焼きガニ」（写真）はとても旨いけど腰は痛い。１時間経過したころトイレに立ちあがりましたが上手く歩けません。脳梗塞患者さんの気持ちがよく分かります。それを見たママさんが、氷を巻いたタオルを持ってきてくれました。さすが人生の大先輩。人の痛みがよく分かるようで、いつもにまして感激しました。

帰り際、ママさんから大きな包みを頂きました。何かと思いきや氷の塊でした。「家に帰ったらこれを腰に巻いて寝てください」と優しく巻いてくれます。どちらが医者か分かりません。ママさんや御主人は何度も同様な経験をなされたようです。自分が経験しないと他人に優しくできないというのは真理です。冬はギックリ腰にご用心です。

こうして氷を巻きながらこの拙文を書いています。今日１日の命題、ギックリ腰は冷やすべきか？温めるべきか？は、はからずもじっくり実験することが出来ました。そして私なりに結論が出ました。やはりギックリ腰の急性期は冷やす方がかなり楽でした。医学常識のとうりでした。しかし、今さらこんなくだらないことを書いている自分が情けなくなります。なにかのご参考になれば幸いです。当院のスタッフでもある、ＪＦ学会の会長の羽原先生（理学療法士）に聞いてみると、「２日目が最も痛い。１、２日目はしっかり冷やして。３日目から温めてください」とのことでした。