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「拉致ショートステイ」に振り回された3日間
2010年02月11日(木)
クリスマスにエイヤと家に帰った認知症の患者さんは、食事は食べる、良く喋るで嘘のように元気になる一方です。廃人のようだった方が今では私と冗談を言い合います。今回は2日前から相談を受けている患者さんについてです。認知症のAさんは、現在ショートステイ中ですが、「拉致入院」ならぬ「拉致ショートステイ」に振り回されています。
2日前、まだ見ぬAさんが熱を出したとご家族から往診依頼がありました。往診しようとすると「施設と契約している開業医がいるので、長尾が行くとその医師が気を悪くするので絶対に来ないで欲しい」と施設から電話がかかってきました。「ハイハイ」と答え、これで終わったかなと思っていたら翌日、ご家族がクリニックにたずねてこられました。「近くの開業医ではなく長尾先生に主治医になって欲しい」と。
要介護5の認知症末期の患者さんのこれまでの主治医を聞いて驚きました。2年前までは、遠く離れた都市の精神科医、そしてこの2年間はこれまた遠く離れた産婦人科医でした。実際に診察したのは最初の1度、それも一瞬だけで以降2年間全く診察することなく(連れていけないので家族受診だけで)、投薬が行われていました。見ていないのに主治医意見書も書かれていたようです。頼む方も頼む方ですが、頼まれる方も頼まれる方です。2年間、結局、誰も診ていないのです。悲しい話ですが認知症連携なんてまだ夢物語。このような例は何人もみてきました。
ショートステイ先の職員は施設契約の主治医に診させた結果、近くの病院に入院させるという方針になりました。ご家族はその医師も病院も信頼していないと明言されました。「ほう、拉致ショートステイから拉致入院やな」なんて思っていたら、さっき電話があって「明日思い切って家に帰る」との結論が告げられました。
認知症患者さんが本当の意味での主治医を持つことは実際にはとても難易度の高いことのようです。地域での認知症対策はまだ黎明期であることを実感しました。また介護施設に入れる医師の制限は何か対策を考えないといけません。私は幸か不幸か、施設の嘱託医を頼まれたことがありません。施設入所中の患者さんからSOS電話をもらった時が一番困ります。助けたくても入れない、向こうで契約している訪問看護師は診てくれない。システムをなんとか改良して欲しいものです。
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