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CTでの心臓検査の凄さ

―血管造影を超える可能性―

2010年03月20日(土)

今夜は県立尼崎病院循環器科の宮本先生による心臓CTの勉強会でした。何度も書いてきましたが、血管造影では予測できない心筋梗塞の可能性がCT検査で分かる時代となりました。県立尼崎病院では今年、64列から320列のCTに買い替える予定だそうです。MDCTの進歩はまちがいなく市民に貢献できると思いました。(以下、医療者向けです)

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luminograhy (血管造影)からvasculograpy(MDCT)へ

●陽性リモデリングプラークの怖さ
急性心筋梗塞の7割は高度狭窄ではない。高度狭窄はたった1割でしかない。血管外腔に向かってプラークが育ち、ある日突然破たんするケースが多い。急性心筋梗塞と不安定狭心症を合わせて、acute coronary syndrome(ACS)というが、従来の血管造影ではACSは予測できないことが分かってきた。

●MDCT(マルチスライスCT)というCT画像は、内腔のみならず血管壁が見える。今までは血管壁を見るにはIVUSという血管内超音波検査しかなった。

●Luminograhy からvasculograpyへ
そしてPositive remodelingかstenosisかの時代へ。
両者とも大切だが、前者の方が大切。Positive remodelingによるプラークが破裂してACSを起こす。従って冠動脈壁の評価が需要。藤田保険衛生大学のデータによると、MDCTでACSを起こすプラークが果たして予測できるか?答えは「できる」だ。

●LDL/HDL比=2.27が分かれ道。2次予防には1.5以下を目指す。
血管壁プラーク早期発見の重要性=薬剤で予防できる。
実際にはスタチン(メバロチン、クレストール、リピトール、リバロ)、Piogligazone(アクトス)EPA(エパデール)が効果があることが証明されている。

●LDLコレステロールを70以下に下げるとプラークは退縮する。
⇒急性心筋梗塞の既往のある人は70以下にすべき、
副作用として心配されていた
・癌の発生は認めなかった
・出血性脳梗塞も認めなかった

●プラーク退縮はMDCTでも分かる
MDCTでプラークの安定化を評価できる

●64列MDCTの問題点
・レントゲン被爆:被ばく量が大きい
・造影剤使用:sCr=1.5までに制限している
・画像精度の問題:βblockerで心拍数を60以下に下げる

●次世代MDCT(320列)の可能性
・被ばく量は64列の1/3程度に軽減される
・画像がより鮮明になる

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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

人間ドックのパンフレットを見ていたら、オプションで自分の心臓の「豪華・総天然色3D画像が撮れる」みたいなのがあって、その画像のリアルさにおったまげた覚えがあります。
思わず「50才の思い出」に1枚撮っておきたいなあと思ったりもしたのですが、よくよく考えたら真っ暗な体の中が、あんなに色鮮やかに写るはずがないから、あれはデータを画像処理する段階で色づけしたものでしょうね。
(医療関係者の「あたり前田のクラッカー!」という声が聞こえる・笑)

画像を正確に診断してくれる医師。
手術が必要となったとき、腕のいい医師。

この2つがそろわなければ、どんな緻密で豪華な画像も、しょせん猫に小判、ただのプリクラですね。
検査機器の開発と同時並行で、日々、勉強会などを開いて医学の向上をはかっていらっしゃる医療関係者の方々に感謝しています。

Posted by カンダタ at 2010年03月21日 10:18 | 返信

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