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涙が出たら、呼吸が止まりました
2010年03月22日(月)
別の末期がんの方の最期は、「涙が出たら、呼吸が止まりました」でした。訪問するとご家族からそう言われました。臨終には驚くほど沢山の家族が集まっていました。枕元で、何がおきたか分からない子供がワンワン泣いています。見渡すと他に3人子供がいて、ジッと様子を見つめています。「子供たちはこの光景を一生覚えているよ」と言いながら、死亡診断書を書きはじめました。
涙が出たら呼吸が止まったのか、呼吸が止まったから涙が出たのか。どちらが先かは、どちらでもいいのです。ご家族がそれほどに静かで厳粛で苦痛がない最期だった、と感じてくれたことが一番大切にしたいことです。
本当に驚くほど穏やかな最期でした。麻薬を要したのはわずか2日間だけでした。4日前には、ドライブしたり買い物もしていました。「先生や看護師さんが来てくれるから、歓迎できるように」と、沢山のお花を買いこんで戻ってきました。
残念なことに、「桜までもたない」という私の予想が当たってしまいました。まさに「ピンピンコロリの末期がん」に近い形でした。ご家族は、穏やかだったことに感謝してくれています。
一昨日の嵐で、ゴルフ場の桜が無残にも何本も倒れていました。2分咲きの桜もありました。倒れた桜を見ながら、亡くなった方を偲びました。黄砂で中国絵画のように山々が霞んで見えました。
一期一会の「患者さんとの花見大会」が来週になりました。そろそろ本格的に準備にかかりたいと思います。
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この記事へのコメント
こんばんは。
桜が咲く前に旅立たれたのですね。私の母は10年前に桜が散ったころ亡くなりました。最期は透析もできない状態でしたが、がんの方の痛みもなく眠るように亡くなったそうです。私がちょうど子供が小さかったので病院から自宅に戻って、朝学校に行くのを送り出した直後に亡くなったと病院に付き添っていた兄から聞きました。ですので、桜がちょっと苦手です。
ところで先生、今日神戸大学病院に入院中の末期がんの私の利用者さんに会いに行くと今月末に自宅へ帰ることが決定し、とても喜んでおられました。息子様が統合失調症で唯一二人きりの家族です。4~5日前に在宅医の先生と私とで、もうわずかな命なので入院しているよりもお二人で暮らす時間を作って差し上げたいと話しておりました。ご本人様も息子様の事が心配で転院をすすめられていましたが、「早く家に帰りたい。家で息子とけんかしてでも暮らしたい。」と、強く希望されていたのです。残された1分1秒を大切に過ごしていただきたく在宅医の先生と訪問看護さんやヘルパーさんと共に支援をする体制を整えていこうと思っています。
私の下の子も神戸大学病院の小児科・特殊外来の先生に診ていただいておりますが、いつもその先生は目が充血しているのです。脳外科の教授でいらっしゃいますが、いつも1時間ほど話を聞いてくださいます。私には、「睡眠は十分に取るように。」と、おっしゃってくださいますが、その先生こそ、帖ご多忙でいらっしゃることと思います。本当に先生方は大変なんだなあと毎回感じます。受診時にいつも感じるのですが、その先生は「子供の魂」を診ていただいていると感じます。とてもそれがうれしいです。
Posted by 山崎裕子 at 2010年03月22日 09:28 | 返信
山崎裕子さま
コメントありがとうございます。
山崎さんはケアマネさんですね。
退院予定のがん患者さんは幸せだと思います。
多職種連携で頑張ってください。
あと、1時間も話を聞いてくれる神戸大学小児科の先生は素晴らしいと
思います。しかし後に待っている患者さんが少し心配です。
目が赤いのは、私だったら「二日酔い」です。
Posted by 和 at 2010年03月24日 01:38 | 返信
こんばんは。お返事いただきましてありがとうございます。実はその先生は予約で知的障害や発達障害、身体障害の重複障害の子供さんたちを次々に診ておられます。疾患が目に見えない部分ですのでどうしても話が長くならざるを得ません。ですので時間を長く取られるように予約を助手さん(研修医の方?)がPCで入れていってます。それでも2時間半ほど待って、その時はそれ以上は待てなくて帰りました。すると留守番の子供が「さっき神戸大学の先生から電話あったで。」とのことでお詫びのような内容だったとのことでした。メンタル面のケアはどうしても時間がかかります。他の患者様たちも待つことを想定してお菓子を食べたり、TVをみたり、持参の本屋おもちゃで工夫されています。最近は発達障害がようやくスポットを浴びるようになり、それらを診察できるDRが圧倒的に不足していて初回予約も取れなくて、という新聞記事を読みました。大人になってようやく診断が下り、自分がなぜ他の人と違うのかが発達障害であった、障害名を受けて納得でき、自分に合った職場で自立できた、との連載がありました。医療分野で一番遅れているのはそういう方たちを診ることのできるDRが少ないことと思います。今はメンタルヘルス系の分野が盛んです。私の会社でも年に1回退屈な・・・と言ってはいけませんがカウンセラーさんが来て研修に強制参加させられます。カウンセラーさんも私達に退屈させないように必死です。「となりの人と向き合ってまずは自己紹介して・・・3分間相手の方を思い切り誉めちぎってください。」とかでやらされます。他の参加者は「楽しい。」と言っていますが私は内心「またかー。」という思いです。今、ほんとに格差社会のせいかメンタル系がおおはやりですね。それはそれでいいのですが、すぐに病気のレッテル張りを簡単にしてしまうのがとても嫌です。やはりきちんと患者様と向き合う精神科の先生にみていただいて通院を繰り返し、本当の診断をあおぐことが大事、と思います。精神病院の中も随分と変わりましたね。PSWさんの活躍も県立K病院の方々はとても素晴らしいです。統合失調症の親子様の退院時カンファレンスの時には3時間もかけていましたが、HP主導ですので私からは要点絞ってもう帰らせて、とは言えない状態でしたが・・・そのときには両方のDR,OT,NSさんが3人、在宅側も役所のCW,各事業者総勢15人くらいでした。その親子様たちは共依存関係で暴言、かなりひどい暴行が何度もあったのでそのくらいの人たちとの連携が必要なのです。今日もお母様から私宛に電話がありました。こういう様に精神面のケアは時間を要します。よくも悪くも結果は何年も何十年も続いていきます。先が見えません。いかにメンタル面での服薬コントロールが難しいかがわかります。私の21歳の子供も数え切れないくらいの薬をかえて経過を観察していきました。いまだに病名はわかりません。精神障害者福祉手帳2級はいただけましたが・・・自分の子供が臨床対象となるので親御様の気持ちは痛いほどわかります。話がかなりあちこち飛びましたが、メンタル面の治療には時間はかけないと・・・とお話したかっただけです。今日も何人かのご利用者様とお会いし、エネルギーをかなり消費しました。でも高揚感はあります。私は時間のあるときが逆に駄目なのです。そういうときには暇にならないように映画観に行くとか、(先日の金曜も中央市民病院でお二人のご利用者様の話がDRやMSWさんからあり、ついでに遅くなったので一人でレイトショーに行きました。)本を読んだり・・・長尾先生からいただいた本は常に手の届くところにあり、何度も読んでいます。共鳴できる部分がたくさんあってついつい読み進めていってしまいます。本当にいただけて嬉しいです。
Posted by 山崎裕子 at 2010年03月24日 08:58 | 返信
山崎さん
いいお話、ありがとうございす。
プライベートと仕事はどこか繋がっていますね。
医療・介護系は、まず人に寄り添うことが好きであることだと
改めて思います。
Posted by 和 at 2010年03月25日 02:01 | 返信
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