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またもや介護疲れ殺人の報道に思う
2010年03月23日(火)
介護疲れ殺人の報道を見ました。過去10年間、増加傾向にあり400件以上にものぼるそうです。「介護者を癒したい」がコンセプトの西宮の「つどい場さくらちゃん」の存在感がますます大きくなっています。在宅現場でも、介護者のケアもこれまで以上に考えなければなりません。介護保険がカバーできないところを自腹で頑張っているNPO法人をもっと応援しなければ、と思いました。
<殺人容疑>「介護に疲れ」69歳妻を絞殺 三重 3月22日9時56分配信 毎日新聞
21日午後7時ごろ、三重県玉城町矢野、会社員、池田孝行さん(46)方で、「両親が倒れている」と、池田さんの妻(44)から119番通報があった。県警伊勢署員が駆け付けたところ、妻の母京子さん(69)が1階寝室のベッドの上で死亡し、父の雅純容疑者(72)がベッドの横で意識がもうろうとした状態で倒れていた。雅純容疑者は病院に運ばれたが、命に別条はなく「妻の首を絞めた」と話したため、同署は22日、雅純容疑者を殺人容疑で逮捕した。京子さんは寝たきり状態で、介護に疲れた雅純容疑者が無理心中を図ったとみて調べている。
容疑は、21日午前0時ごろから午後6時50分ごろまでの間に、1階寝室で京子さんの首をひもで絞め殺害した疑い。調べに対し、雅純容疑者は「介護に疲れた。妻がふびんだと思い一緒に死のうと思った。自分も薬を飲んだ」と話しているという。雅純容疑者は6人暮らし。京子さんは12年前に脳内出血で倒れて右半身が不自由となり、主に雅純容疑者が介護していたという。【木村文彦】
日本の介護殺人、過去10年に増加傾向 発生件数400件以上
2009年11月22日 18:14 発信地:東京
【11月22日 AFP】社会の高齢化が急激に進む日本で過去10年間に、高齢者が家族や親族による殺人や、介護放置、心中などで死に至る事件が少なくとも400件発生していると、20日の東京新聞が報じた。
同紙が過去10年間の新聞報道をもとに調べた結果、事件の件数は増加傾向にあり、2000年には32件だったのが2006年以降は年間50件以上発生していることが分かった。加害者の75%近くが被害者の夫や息子などの男性。一方、被害者の70%は女性だった。高齢者の世話をする人間が介護に行き詰まり、経済的にも困難な状態に陥る傾向が高いことが原因とみられる。
400件のうち、殺人は59%(承諾、嘱託を含む)、心中は24%、傷害致死は11%、介護放置は4%だった。(c)AFP
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この記事へのコメント
介護疲れ殺人の報道がある度いつも思うことですが、
介護をされている人の苦労ばかりがクローズアップされているので、
亡くなった人の無念さに心が痛みます。
私は介護の仕事をしてきて17年経ちますが、
いまだに「介護=大変なこと」と捉えられていることに
「なんとかせなあかん!」と思っています。
出前講座などをする時には、介護をもっと身近に感じてもらえるよう
大変なことばかりじゃない、ということを伝えています。
もちろん、介護を1人でするとなると本当に大変です。
多くの人に関わってもらうことが大切です。
「つどい場さくらちゃん」は、介護する人も、される人も、
専門職も、誰もが集って話し合えるところです。
まるちゃんのおおらかさはすごいです!
そこに来られているA親子も素晴らしいです。
A親子と2月に食事を一緒にさせて頂きましたが、
娘さんは「今が一番幸せだ」と心から言われていました。
お母様を長尾先生に診てもらうようになって、薬が少なくなったことで、
ますます元気になってきたと話されていました。
介護職も、仕事を楽しんでいる人は多いです。
加古川でヘルパーの連絡会や多職種連携研修の運営をしていますが、
制度に対する不満などの思いはたくさん抱えていますが、
みんな元気です。介護の仕事に真剣に向き合っています。
老人ホームで働いているとき、
「死ぬまで生きる」という当たり前の事に気づきました。
また、「人は死ぬときが自分の作品だ」ということを教わりました。
その言葉を知ってから、
私たち介護職は作品の最後の仕上げに関わらせてもらっている、
と思うようになりました。
それなのに!
最近の出来事ですが、
私たちが丁寧に最後の仕上げにかかっているのに、
突然の状態変化で病院に運ばれ、
93歳なのに気管切開を施されました。
食事も摂れません、話をすることもできません、
悲しいです。
少し話がそれましたが、
介護がもっと一般的に理解されるよう、
介護されている人の生きる権利を守れるよう
声を上げていきたいです。
Posted by 木谷万里 at 2010年03月24日 03:09 | 返信
長尾先生。
介護保険制度がはじまり、10年経ってもなぜこのように辛い事件が後をたたないのでしょうか?「妻が不憫だった」という夫は「自分が不憫」なのでしょう。
家族は愛情、介護は他人・・・極端な言葉ですが、わたしはそう言い続けてケアマネジャーをしています。
人間が本来、本能的に有していると考えていた、子への愛情も危うい時代です。
人生60年時代にはなかった、10年、20年介護する家族のモチベーションを国はどのように支援すべきなのでしょうか?
Posted by 上村 at 2010年03月25日 06:44 | 返信
>私たちが丁寧に最後の仕上げにかかっているのに、
>突然の状態変化で病院に運ばれ、
>93歳なのに気管切開を施されました。
>食事も摂れません、話をすることもできません、
>悲しいです。
木谷さん。まさに、これです!!!
何故こうなってしまうのか、医療者も市民も正面から
向き合う時だと思います。
この想いを胸に秘め、頑張りましょう。
Posted by 和 at 2010年03月25日 12:39 | 返信
上村さん
>人間が本来、本能的に有していると考えていた、子への愛情も危うい時代です。
私もそう感じます。
自然回帰でしょうか?国にはあまり期待できません。
自分の周囲だけしかできません。
Posted by 和 at 2010年03月25日 01:57 | 返信
上村様、コメント有難うございました。
その気管切開の方は、今日ケアマネジャーに確認したところ、
不整脈があったということで、ペースメーカーを2,3日前に植え込まれたとの事です。
またしても!です
いつまでも往生できません。
本人は辛いと思います。
家族は自らが判断することができず、
医者に任せているのです。
このままだと死んでしまう、これをしたら100歳まで大丈夫と言っているのでしょうか。
今は自殺以外、自分で死に方を選ぶことができにくいようです。
Posted by 木谷万里 at 2010年03月26日 03:15 | 返信
ペースメーカーですか?
今日、ちょうどペースメーカーを入れた人がいましたので
ブログに書いてみます。
Posted by 和 at 2010年03月28日 12:51 | 返信
今日またケアマネから連絡があり、ペースメーカ植え込みして3日後に亡くなられたとの事です。
多臓器不全だったとの事です。
Posted by 木谷万里 at 2010年03月29日 04:55 | 返信
昨日ケアマネから連絡あり、
ペースメーカー植え込みをして3日で亡くなったと連絡ありました。
1月末まで在宅でヘルパーやデイ、ショートを利用されていて、
意思疎通も十分できていました。
「長生きしすぎた、しんどい」が口癖でした。
いつも感謝の言葉を頂いていました。
最期はどんな気持ちで迎えられたのだろうと思います。
結果論ですが、余命わずかな方に気管切開、ペースメーカー術を施すわが国の医療、
医療費の3分の1が高齢者にかかっています。高齢者は金のなる木ですか?と言いたいです。
Posted by 木谷万里 at 2010年03月30日 10:13 | 返信
木谷さん
確かに金儲けのためにしている病院もあります。
100歳の老衰患者さんに人工呼吸器を装着して死なせることが
医師の務めだと、現在でも本気で信じている、医者、病院長もいます。
またそれを望む国民もいます。
医療者と国民の共同責任です。
この10年を「日本人の死生観を回帰する」機会にできないか
考えています。
Posted by 和 at 2010年03月31日 01:55 | 返信
介護をしたことがあるんですか?仕事としてではなく・・・
母は、介護をしていますが自分の時間なんて全くない生活を送っています
介護に楽しみなんてあるんでしょうか?
反応がある人を介護しているならともかく、生きているというより、生かされている人を
介護している母にとっては楽しみはないです。
病院側はこれでもか!というほど生かしてくれますが、本人の意思と介護する人の意思も確認
してから最新医療をして下さい。でないとこういう事件は増える一方です。自然に死ぬのがいちばんなんじゃないでしょうか。
Posted by 匿名 at 2010年06月19日 03:41 | 返信
匿名さま、長尾です。
介護が楽しいひともいるようです。
仰せのように、きちんと同意を得た治療でないとだめですね。
私も自然にに死ぬのが一番だと思います。
しかし一旦入院すると、これが難しくなります。
Posted by 長尾 at 2010年06月20日 12:48 | 返信
私は介護の仕事に就く前、父親の介護を病院でですがしてきました。
1年足らずでしたが、突然の原因不明の病気で、
あっという間に寝たきりになり、何度も生死をさまようような状態でした。
(解剖後3カ月経過してから、膠原病とかベーチェット氏病だったかの結果があったように思います)
父の病院での介護は、意識がある時もあんまりない時も、
確かな交流がありました。
何とも言えない温かいものに包まれていました。
私は父とはしょっちゅう喧嘩をしていましたので、
仲は良くなかったのです。
だけど、寝たきりのような状態になって、
娘の私に身を任せる父に強い愛情を感じました。
母と姉妹で介護しました。
体は確かにつらかったこともありましたが、
幸せな時間でした。
その後、介護の仕事を選んで飛びこみました。
仕事で介護をしていた時にも同じような感情が湧きあがりました。
もちろんしんどい時もあります。
マスコミによって介護のしんどさだけがクローズアップされるのが気がかりなのです。
(その方がニュースになるからです)
もっと介護を自分たちの身近に置いてほしいのです。
そうすると、今の延命治療がどうなのか、ということを考えることができるのではないでしょうか。
どう死ぬのかをみんなが真剣に考えてほしいです。
Posted by 木谷万里 at 2010年06月21日 12:30 | 返信
両親の介護の時期は 息子夫婦の親子関係においても 進学や就職という大変な時期と重なります。
夫婦共働きは 一般的です。
そうなると 昼間の介護も 夜間の介護も 実質 夫婦間の老々介護の状態になってしまいます。
高齢者夫婦間の老々介護における介護者の疲労は、周囲が気がつかないまま 身体も精神も限界に達していると思います。
戦争・戦後、高度成長期を生き抜いた 今の高齢者の方々は 責任感が強く、忍耐強く、息子夫婦に頼る事がなかなか出来ないようです。 特に男性の場合 自分で抱え込んでしまわれるようです。
実際 息子は会社では重要なポストになり、両親の介護に時間も労力もなかなか費やせません。 嫁も仕事や家事や子供の事に追われ、(更年期にもさしかかり・・・)なかなか介護に専念できる状態ではありません。 同居していてもしていなくても 息子がいてもいなくても、 高齢者夫婦間の老々介護には 誰もがこのような状態になりうる可能性があると私は思います。
そのためにも 医師の訪問診療・訪問看護・ヘルパーの訪問等により 心身状態にふさわしいサービスが切れ目なく提供される事で、安全・安心・健康を確保する事が出来、介護者の身体的・精神的疲労も軽減され、在宅生活が維持継続できるのだと思います。
介護される方も大事ですが、 その方が住み慣れた自宅で最後を迎える事が出来るためには、介護者や家族への理解と、 医療・介護・福祉サービスなどの生活支援が日常生活の場で適切に提供され、 地域包括的に支える事が重要だと思います。
在宅で その人らしい最後を迎えるためには、まず その地域に 長尾先生のようなすばらしい在宅医、 24時間対応可能な訪問看護、ターミナル対応可能なヘルパーステーションが 必要だと私は思います。
Posted by k at 2010年07月05日 05:54 | 返信
介護を仕事にしてる人が
無償で介護してる親族にああだこうだ言ったらいかんでしょ
あんたは介護して金を貰って家に帰ってくつろげるだろうけど
親の介護してるほうは24時間介護でお金をもらえないどころか
穴だらけの介護保険制度でろくな支援も受けられず
仕事もやめて介護して、気がついたら再就職も出来なくなってる
当然結婚も出来ない恋人も作れない遊びにも行けない旅行も出来ない
下手したら自分の具合が悪くなっても医者にいけない
自分の親を何年も一人で無償で介護してからきれいごと言って欲しいね
自分も毎日早く死ねよって声に出していってしまうよ
時には暴力も振るう
親戚やもう一方の親が死んでも全くなにも感じないほど疲弊する
本当に増えるか分からない少子化対策より高齢化対策して欲しいよ
65歳になった国民全員が無条件で入居できる施設を公営で作って欲しい
年金のない世帯ごとに生活保護与えるより余程ましだと思うけどね
Posted by 774 at 2013年09月06日 06:07 | 返信
kさんに激しく同意です。介護でお金もえあえて生活できるなら、やりがいもって楽しむことともできるでしょ。プロとして当然。
一方で仕事もプライベートも犠牲にして介護する家族はなんとかサポートすべき。
医療がむやみに高度になって、いびつな延命治療が発達したことが、介護殺人がふえるよういんだとおもってます。
Posted by 親は元気だけど、 at 2014年01月22日 12:48 | 返信
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