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兵庫県が在宅看取り率日本一に
2010年03月31日(水)
兵庫県の在宅看取り率が日本一になりました。市民にはどうでもいい話かもしれません。しかし在宅医の世界では看取り数で評価されます。看取り数を上げようと思えば、末期がんが多く排出される病院と提携すれば数字が大きくなります。癌の平均在宅期間は1ケ月半。一方、認知症などの非癌の在宅はその10倍以上。まあ両者を合わせた数が、看取り数であり、看取り率です。
平成20年度全国平均の在宅看取り率は8.3%です。最低は北海道の2.9%、最高は兵庫県の12.3%でした。1位といわれると何となく嬉しい。訪問看護師さん、ケアマネさんの努力が数字となって表れることは、心から嬉しいです。
がん専門在宅診療所の看取り数は多くなります。私のクリニックのような非がん在宅患者さんが多いところは、看取り総数はそう伸びません。私自身は、在宅看取りは「結果にすぎない」と思っていますので、詳しい統計は取っていません。年間40~50人の看取り数は、阪神間では5本の指に入っているそうです。累計なら350人位でしょうか。
「看取り数」と「看取り率」が大切と言われています。「看取り数」にはあまりこだわりませんが、「看取り率」には少しこだわります。後者にこそ患者さんや介護者の満足度が反映されていると思うからです。信頼関係がなければ、「在宅看取り」にいたりません。
おそらくゴルフで100を切るのと似ています。
ゴルフ人口は2000万人とも言われています。
そのうち一生の間に1回でも、100のスコアを切る人は何割でしょうか?
定かではありませんが、1割とも2割とも言われています。まあ半分以下でしょう。
同じく、在宅医療に一度でも手を染めて、在宅看取りを1例でも経験する医師はどれくらいいるのでしょうか?1~3割程度でしょうか。
すなわち大半は、一生在宅看取りを一例も経験することなく、「在宅医療」を細々と(?)続けているのです。周囲を見渡すとそう感じます。
看取りは大変です。
何百人でも看取りができる医師と、頑張っても一人も看取りが出来ない医師に分かれます。
ゴルフで片手シングルになる人と、万年120叩くゴルファーがいるのと同じです。
年間看取り数100人で、看取り率10%の在宅クリニックと
年間看取り数10人で、看取り率100%の在宅クリニックがあれば
後者が圧倒的に優れた在宅クリニックであると、私は思います。
厚労省が在宅療養支援診療所のハードルを上げるのでは?との噂を耳にします。
「年間20人以上で、看取り率60%以上」との声を聞きましたが、私の感覚では妥当な数字だと思います。この数字をクリアしているクリニックは真の意味での在宅療養支援診療所だと思います。毎年このハードルをクリアし続けるのはどれだけ難しいか。同業者なら知っています。
いずれにせよ、全国1位の我が兵庫県に微力ながら貢献していると思うと、日ごろの苦労も吹き飛びます。
看護師さん、ケアマネさん、ありがとうございます。
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この記事へのコメント
【在宅看取り率】
国や県単位であれば、亡くなった人の数が分母で、分子は自宅(老人ホーム・老人介護施設を含む)で亡くなった人の数ですね。
在宅クリニックの看取り率の場合、分母は・・・
在宅・通院あわせて、そのクリニックにカルテがある人数ですか?
在宅医療の契約?をしている人の数ですか?
在宅療養支援診療所のなかには、整形外科や皮膚科や泌尿科といった診療所もあると思うのですが、この場合にも厚労省は看取り率を重視しているのでしょうか?
初歩的質問でお恥ずかしいです。
Posted by カンダタ at 2010年03月31日 09:11 | 返信
カンダタさま
とても重要な質問、ありがとうございます。
実は、分子の定義について在宅医仲間で現在、調査議論中です。
おそらく。カンダタさんが示された「老人ホーム・老人介護施設を含む」数字
ではないかと思います。
>在宅クリニックの看取り率の場合、分母は・・・
在宅医療を1日でも実施した(契約した)患者さんが分母です。
>在宅療養支援診療所のなかには、整形外科や皮膚科や泌尿科といった診療所もあると思うのですが、こ>の場合にも厚労省は看取り率を重視しているのでしょうか?
在宅療養支援診療所は診療科を問いません。
整形外科や泌尿器科でも驚くほどの在宅看取りを行っている診療所が
あります。
在宅医療とは、総合診療そのものです。
何科の医師でもなれます。
カンダタさんは、このような鋭い質問をされるところをみると
ジャーナリストさんでしょうか?
数字はとても大切です。また、分かり次第、アップします。
Posted by 和 at 2010年04月01日 11:57 | 返信
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