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水を入れるから、水を抜かなければならない!

なんでこんな単純なことが、病院医療者は分からないの?

2010年05月30日(日)

昨夜の患者さんは結局、家に帰れなさそう。
土曜日の早朝、看護師やケアマネに、在宅準備中止を指示。
その足で、別の病院に、同じような末期がん患者さんを訪問。
sの方は、1年以上食べていない、と言う。
高カロリー輸液を入れながら、腹水を抜く機械もついています。
患者さんは、「死んでもいいから食べたい」と言います。
私は「家に帰ると食べれるよ」と言いました。

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「食べれない」のではありません。
「食べさせない」のです。

食べれないら、大量に輸液する。
大量に輸液するから吐く。
吐くから食べさせてもらえない。

大量に輸液するから、お腹に水が貯まる。
貯まるから抜く。
もしくは、持続的に抜く機械が付けらる。
水を抜いたから、水を入れる。

これの繰り返しです。
ほとんど脅迫観念のような輸液。

これが1年以上続きます。
いくら我慢強い患者さんでも、これでは参ります。

主治医は最善の医療をしている、と胸を張ります。
患者は、なんだかよくわかりません。
家族は、心の底で、感謝が恨みに変わって行きます。


がんの終末期に500ml以上の輸液をしてはいけません。
苦しみを増すだけどころか、寿命を短くします。

伝えたいのは、これだけでもいいのです。
余命が1ケ月もない、と本当に思うなら、
「脱水状態におくことでの苦痛の軽減」を目指すべき。


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この記事へのコメント

今、世の中が看護師よりも患者が多い中、
病院では、手間がかかるのは結局、それ
だけ患者1人に時間はかけられないとい
うのが、ぶっちゃけな話しなのだろうな
と思います。院長先生に頼んでくるご
家族さんは絆っていうか、愛情というか
そういうものを感じます。
院長先生のお話ししていること、まだ体験
したことが無いからわかりませんが、理屈
はわかる気がします。人間はおいしいと思う
口があるのだから過去にも食べていたらおい
しい味を思い出して食べたくなる気持ちも
ありますよね。私のおばあちゃんの時は、
アイスクリームは食べていいでしたが、
毎日、同じようなアイスばかりバニラを見て
る私が退屈に見えました。

Posted by st**yminmin at 2010年05月30日 12:18 | 返信

絶食の指示がでている患者さんのもとに、その妻或いは夫が訪れては
看護師の目を盗んで 食べさせます。
その妻或いは夫が 要支援者・要介護者だったりすると
苦情は担当ケアマネのわたしのところへ来ます。
(食べさせている)その光景を想像するだけで少し微笑しますが
命にかかわることです!笑ってはいけません。

「怖いけれど、家では食べさせてたのだろうな。」

じゃあ、素人が食べさす危険行為より、専門職が食べることにちゃんと向き合えないのか?
と病棟に言い返してやりたいのですが、
それもできず。。。

「亡くなる前の日まで食べられました。」
と在宅で看取った家族さまがおっしゃったことがあります。
家族にとって口から食べられる、それをお世話さきることが 
どれだけ幸せな介護なのかと、鈍感なわたしにも理解できた言葉です。

Posted by カミムラクミコ at 2010年05月30日 09:10 | 返信

「食べれない」のではありません。
「食べさせない」のです。

まさに,そういう状況におかれている患者さんは多いですね.

悪性腫瘍とは異なりますが.
在宅の患者さんから「口から食べたい!」とのことで訪問診療の依頼がありました.
で,主治医に嚥下を診るという連絡を入れたところ
「患者に食べられるという期待を持たせるな」
「嚥下を診ると言うな」
と言われたそうです….
状況からすると,工夫すれば食べられる患者さんなのですが….

歯医者の嚥下が信用されていないのもあると思いますが.
病院医療者だけでなく,在宅医療者の意識も変える必要があると思います.
今回の主治医に限らず,他にもそういう在宅医療者はいます.

歯医者,がんばります.

Posted by 歯医者 at 2010年05月30日 11:32 | 返信

歯医者さん、
それってはやり 主治医が「ダメ」と言ったら、ダメなんですよね・・・
別コメントに書きましたが
「死期を早めても食べさせたいのか」
と医者に言われたときには、それを聞いても意志を曲げなかった家族の強さに驚きましたが、
わたしはそんな表現を用いて、説明する医者がとても悲しかったです。
最近 前にも増してごはんが美味しいわたしには、食べられないのは今まで以上に辛く思えます。

Posted by カミムラクミコ at 2010年06月01日 06:37 | 返信

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