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アフガニスタンの真実

中村哲医師の話を聞きながら、空海、そして関寛斎を思い出した

2010年06月14日(月)

昨日は、地元尼崎で、感動の午後を過ごしました。
アフガニスタンで26年間活躍している中村哲医師の講演会、
「アフガンに命の水を」を質疑応答を含めてたっぷり拝聴しました。
中村医師の朴訥なお話に涙が出ました。
私の頭には、空海、関寛斎、そして中村哲、とインプットされました。

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中村医師は、1984年から26年間、アフガンで活動しています。
最初はボランテイア活動で入ったのが、いつの間にやらこんなことになった、と。

1984年は、私が医師になった年。
中村氏は現在63歳。九州大学卒の神経内科医。
つまり、私が開業した年齢(37歳)で、アフガンに入職している。

1978年のソ連軍のアフガン侵攻が9年間続いた。
これでアフガン人250万人(アフガン人口の10%)が亡くなった。

アフガンとパキスタンの国境は実にファジー。
パキスタン側にある、ペシャワール会を拠点に活動している。
中村氏は両国間を行き来している。

アフガン人は、日本人を尊敬しているが、その理由。
1)日露戦争に勝った国
2)広島、長崎に原爆を落とされたが、見事に復興した国
つまり、同じアジアの国として、誇りに思っているらしい。

中村医師は、最初はフランス人と間違われたそうだ。
日本人とわかると友好的扱いを受けた。
最近は、アメリカの仲間だとばれて、友好関係がちょっと怪しくなってきた。

日本人は軍隊を持たないことをもっと強調すべきだと言われた。
日本人はもっと誇りを持って堂々とふるまうべきだとも。

ロシア軍進攻のあと、内戦状態に陥り治安が一時悪化した。
しかしタリバン政権で国土が統一されて、治安が急速に改善した。
最も安全な時代であった。

そのころから井戸を掘り始めた。
病気を無くすには、水を確保することが一番大切だと知った。

最初は病気を無くそうと頑張っていた。
ハンセン氏病などの伝染病が蔓延しているが、
わずかなお金もないので、人々は死んでいった。

そこに911事件が起こった。
そのころバーミアンも破壊された。

マスコミの嘘
・ピンポイント攻撃など無かった=無差別攻撃だった
・自由を謳歌するアフガン女性の姿もねつ造だった。
・タリバンは悪とは言い切れない。

中村医師にとってのアフガン問題とは
空爆ではなく、水の確保の問題。
水の問題は住民にとってまさに死活問題。

用水路を地元住民と一緒に作る毎日。
水が確保できると、難民キャンプから家族を呼び寄せることができる。
学校も作り、教育にも力を入れた。

現在は治水工事の毎日。
そこには、日本の伝統時術も応用されている。
「技術定着資産」と言う言葉を使われた。
治安を安定させるためにモスクも建設した。

Q 何故日本ではなくアフガンなのか?
A どちらでもよかった。
  もしアフガンにいなければ九州の無医村で働いていただろう。
  電車に乗って、ヨボヨボのおばあさんが乗ってきたので席を譲っただけ。
  それ以上でもそれ以下でもない。

Q 危険はないのか?
A 看護師や家族(息子さん)や友人が犠牲になったが、これは仕方がない。
  食糧配給チームを3つに分けて、リスクの分散を図った。
  「自己責任」という言葉には、「放っておいてくれ」と言いたい。

Q 今の日本をどう思うか?
A 余計なもの(携帯電話など)が多すぎるので、必ず行き詰まる。
  しかし日本民族は歴史があるので、必ず再生もできる。 
  拝金主義、武器主義からの脱却が必要。

Q タリバンの本当のところはどうか?
A 悪いとは限らない。
  自分もタリバン一派とみなされているのかもかもしれない。
  マスコミが作った偏見が多い。
  女性が顔を見せないのは、単なる慣習法だった。

Q 地球温暖化の影響は?
A アフガンも日本と同じで、洪水と干ばつの差が激しい。
  総じて、乾燥化との闘いである。

中村医師は、聴診器の代わりに、現在は什器を操縦する毎日である。
日の出とともに起きて、日没と同時に寝るので、健康である。

ペシャワール会の運営は寄付によって賄われている。
私も寄付をした。

中村医師の話を聞きながら、自分の無力さを情けなく思うとともに、
昨夜の免疫療法や、今日の京都での抗加齢医学会は一体何だろう?
と考えた。

同時刻に京都国際会館で開催されている、抗加齢医学会(アンチエイジング学会)の
シンポジウムテーマは、「抗加齢医学が日本人を幸福にするか?」だった。

中村医師に学ぶところは実に大きい。

彼はキリスト教徒だそうだが、言葉の中に
「和」と「男気」と「本物の優しさ」を感じた。

こんな医師はもうなかなか出ないだろう。

彼に関する沢山の書物や、DVDが出ているが、お金を出して買うべき。
そして、ライブは中村先生の人柄がよく分かり、一層のファンになるだろう。


  




 

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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

私も十数年前に中村哲先生の講演を聞き、涙しました。ユニセフに寄付するのならペシャワールの会に寄付して本当に役立ててもらいたいと思いました。

Posted by contigo at 2010年06月14日 10:15 | 返信

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