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余命8年
2010年06月23日(水)
先週、よろず相談をしていると「がんで余命8年と言われた」という人が来られました。
「なんじゃそりゃ」と思ったが、黙って聞いてみました。本当の話のようです。
「8年なんて。喜んだらいいのか?悲しんだらいいのか?」。ホント、迷いますよね。
以前にも、ある病院から「余命5年」と宣告された「末期がん」の患者さんが
在宅患者さんとして紹介されてきました。
当院で調べると、早期癌から少し進行がんに入ったばかりのまだ小さながんでした。
「余命5年」と書いて紹介してきたのは、やはり研修医でした。
考えてみたら、「余命学」や「予後告知学」という教育はありません。
それにしても、感性というか常識というものが無いのかな?と思いました。
常識的に考えて、「余命」と言うからには、「1年以内」でしょう。
生命保険会社のリビングニーズは、「余命6ケ月」です。
健康保険の感覚では、「末期がん」というからには、「余命3ケ月」です。
末期がんの在宅ケアにおける平均在宅期間は、「1ケ月半」です。
これらに明確な基準はありません。
はっきり言って、主治医の主観が8割です。
主治医と言っても楽観的な医者と、悲観的な人医者は大違いでしょう。
「余命8年」で、悩める患者さんには、こう言いました。
「僕も余命10年か20年」
「今生まれた赤ちゃんでも余命80年だよ」と。
それにしても「余命8年」とは・・・
初めて聞きました。
占い師じゃあるまいし。
そのお医者さんの顔を一度見てみたいと思いました。
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この記事へのコメント
院長先生の助言は、良い回答だなと思いました。
Posted by st**yminmin at 2010年06月23日 08:24 | 返信
いろいろな事を考えさせられた刺激的な(面白いと言っては不謹慎)ブログでした。
■余命8年とはどういう計算式から出せるのか。良く治療の選択時に使われるAdjuvant Onlineを展開すると出るのですか?(数式・統計学オンチの私)
■初めは患者さんの思い違いかと読んでいたら、研修医が「余命5年」と書いていたことを知り、指導医は何をしているのかと。よくどこの医学部出たかよりどこでレジデントをしたかのほうが大切と言われるけど、そんな指導医なら、町医者様が勉強会で若いお医者様を教えていただくしかありません。
■もし余命8年がわかるなら(そして医者はたいてい余命を短かめに言うらしいから)ガンは人生にとってそんなに悪い病気と思えない。他の生活習慣病に比べて。
くわえて何故ガンだけが、告知・余命・カミングアウトなどスペシャルな単語で語られるのか。長寿時代と共に、細胞の老化がベースにある国民1/2がリスクを持つ大衆病になったのではないですか。
■この過激なブログは、SPボラをしている私達には、臨場感あふれるまさにライブです。
患者の気持ちになって代役すると言っても、どうしても自分の体験以上は広がりにくい。
ブログに、ええっ!と驚きながらも、少しづついろいろな状況がわかってきました。普通ここまで知ることは難しいです。ほんとうに有意義なブログです。
長文になってしまいました。お許し下さい。ご活躍をお祈りし応援しています。
Posted by 梨木 at 2010年06月24日 10:11 | 返信
梨木さま、長尾です。
的確なコメント、ありがとうございます。
私からの質問があります。
SPボラって、何の仕事なのでしょうか?
ちょっと気になったもので。
Posted by 長尾 at 2010年07月01日 09:14 | 返信
長尾先生へ SPボランティアについて
今日、先生のご質問に初めて気付きました。
7月半ば位からは「コメント一覧」に気付きチェックするようになっていたのですが
見逃していて、遅れたお返事でお許し下さい。SPに関心をもっていただき嬉しいです。
SPとは、Simulated Patient および Standardized Patient の略で、
模擬患者や標準模擬患者と訳されています。
良い医療職(医師のほか薬剤師・看護師など)を育てるため、
訓練を受けたボランティアが患者役となり、
医療側とのより良いコミュニケーションを築くツールとして
いろいろな場面設定で参加します。
模擬患者の具体的な一例は、医学部5年生の初回医療面接の患者役。
(SP側にのみ大学側から授業での役柄のシナリオが渡されます)
そしてロールプレイ終了後、総合診療科の教授が鑑別診断の授業をし、
学生は、仮説ー演繹法による診断推論を学びます。
SPの役割は、一番には役柄の患者になりきって、医師(学生)の
言葉や態度(コミュニケーション)にどんな感じを受けたか
ポジティブとネガティブの両方についてフィードバックすること。
(なぜなら医師は臨床における自分の至らない点にも優れた点にも
自分では気付きにくいのに、言ってもらうチャンスが少ないから。
特に優れた点は将来その医師が指導的立場になった時、後輩に伝えて
行くのにとても大切になってくる と)
と同時に、その役柄の病気の病態や心理状態を理解して
ふさわしい患者としての受け答えや感情の動きも必要とされます。
長尾先生のブログは、この点参考になること大!
現場の臨場感があふれていて、う~ん、この病気の患者さんはこんなお気持ち、
こんな発言をされることがある と。
(毎月定例会でロールプレイをし研修していますが、未知のこと多です)
その他モンスターペイシェントとか、インシュリン注射を拒否する患者役とか、
ガンの確定診断時の患者役、臨床実習に出る前のの標準模擬患者役(OSCE試験時)
とか要請は様々。面白いけれど、学ぶことは限りなくあります。
なるだけシンポジウム等にも参加しますが、ブログの迫力はやっぱりピカイチ。
私が属しているのは、日野原先生が理事長のLPCのボランティアグループですが
全国にいろんなグループがあり(大学病院でも養成しています)
今年も全国模擬患者学研究大会が東京で開催予定。
小さな力ですが、医療を少しでも良いほうに変えていけるのなら嬉しい。
ブログを楽しみながら、これからも役者業?に精進していきます。
(簡潔に文章を書く修行もしなければ。長文お詫びします)
Posted by 梨木 at 2010年09月02日 02:07 | 返信
梨木さま、長尾です。
ロールプレイは面白いですね。
以前、研修医を泣かせることを趣味(?)とする、末期がん患者役(本当に末期がん)がおられました。
私は、説明は上手いし、手ごわい患者さんにも日々対峙していますから、どちらの役でもできると思います。できれば、嫌な患者役をしてみたいものです。院内研修でも、ロールプレイを取り入れようと計画しながら、まだ出来ていませんが。
Posted by 長尾 at 2010年09月06日 01:38 | 返信
長尾先生のロールプレイ・デビュー、楽しみですね!
何の心配もしていませんが、ただ身についてしまった知識が邪魔をするでしょう!
素人の患者として、分からないふりをしたほうが良いのに、ついスルーしてしまう。
ショクヨクフシン・ヒンニョウ・バイタルチェックetc.・・・えっ、何のこと、???
実現後のレポートをUPして下さいね。仲間同志のロールプレイは特に難しいとされていますから、結果が楽しみ!
Posted by 梨木 at 2010年09月06日 05:41 | 返信
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