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奈良の杉山先生が伝道する「在宅ホスピス」

「在宅緩和ケア+外来化学療法」がスタンダードの時代

2010年07月03日(土)

特別講演は、奈良のホームホスピスひばりクリニックの杉山正智先生による、
「もし末期がんになったら、あなたは人生の最期をどこで迎えますか?」でした。
がん専門在宅クリニックの先進的な活動を詳しく教えて頂きました。

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在宅看取り数が全国ベスト5に入っているという、
杉山先生の膨大な講演の要点を列挙してみたい。

・がん拠点病院との連携がとにかく大切。
ここと喧嘩しては在宅医の仕事が無くなる。

・多くの人は、在宅で死ねることを知らない。
杉山先生は、それを伝道して回っている。

・病院に通えなくなったら・・・余命1ケ月。
 要介護になったら・・・余命3週間

・訪問は目立たぬように。
白衣なし。制服なし。車にロゴなし。

・患者さんからの電話には、
つべこべ言わずに「まず行く」ことが大切。
医者とケアマネのフットワークこそが命。

・「併診」開始は、早ければ早いほど良い。
「がん拠点病院での外来化学療法と在宅緩和ケアの併診」が正解。
これは私と全く同意見である。

・在宅緩和ケア給付について
日本では、2社のみが在宅給付を行っている。
Prudential生命がGOOD!
日額1万~3万円。日数制限なし。
入院保険に無償でセットされている。


【私見】
1 「午後から在宅へ」組(=ミックス型診療所)と、
  「午前から在宅へ」組(=在宅専門クリニック)との
  すみわけをどう考えていくのか?

2 がんと悲がんを一応は分けて考える必要があると思う。
  私は、悲がんの終末期医療の方が難しいと思う。
  寿命延長とQOLを両立させる必要がある。
  末期がんは、QOLだけでいいから、むしろやり易い。

3 本来、「緩和ケア」は、がん・非がんを問わないはず。


次回は11月。
テーマは「施設での看取り」の予定。
これも必見。


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この記事へのコメント

分かりやすいサマリーを有難うございました。

長尾先生の「私見」についてですが、医療消費者としては
■1.どうして住み分けが必要なのか…わかりません。住み分けないと困りますか?
■2.と3. おっしゃる通りと思います。症状緩和のケアはすべての病気に対して望ましく、補完医療も含むし、麻薬による疼痛緩和も含むのでは、と考えます。
要するにADLを維持し、QOLをupできるものなら、病名は何でも緩和ケアでは?
(診療報酬についての知識なく書いています)

Posted by 梨木 at 2010年07月04日 01:06 | 返信

梨木さま、長尾です。
重要な質問ありがとうございます。
またまた舌足らずな表現をしてしまいました。

ちょっと難しくなりますが。
「在宅専門クリニック」と、「ミックス型診療所」は、似ていますが、少し違います。
前者は外来なし。後者は外来がメイン。
前者はがん専門や神経難病専門など専門特化していることが多い。後者は、何でも屋が多い。
前者は極めて少数。後者は多い。
前者は麻酔科ないし神経内科出身が多い。後者は前科にまたがる。
前者は看取り数を重視するが、後者はさほど意識しない。
ちなみに看取り数は、末期がんが多いと多くなる。神経難病や認知症など非がんの看取りは、末期がんの頻度と一概に比較できない。
野球に例えれば、前者はストッパー専門、後者は先発完投型。
両者が、それぞれどのように成長していくのか予測しにくい。
それぞれの長所・短所が世間に認知されて、上手く使い分けられるといいと思う。
なんとなく、ホスピス病棟と一般病棟に似ている気もします。

あと、緩和医療の概念は、ご指摘のように
がん、非がんを問わない、極めて広い概念だと思います。
しかし、麻薬の保険適応は、非がんには制限がかかっています。
医療者の中でも、「がんの緩和医療」は非常に難しく、「非がんの緩和医療は簡単だ」と信じている人が大半です。私自身は、反対だと思いますが、ここが最も悩ましいところです。まあ、正解はそれぞれに難しく個性がある、といったことろでしょうか。
頑張りますが、まだ相当な時間を要する気がします。

Posted by 長尾 at 2010年07月08日 04:20 | 返信

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