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ハイリスク関節リウマチ患者さんへの福音

MTXから、抗IL-6剤の時代へ

2010年07月17日(土)

今夜は、「アクテムラ」という、4番目の生物学的製剤の勉強会でした。
肺疾患を有する高齢者の関節リウマチ患者さんへの大きな福音になりそうです。
当院でもこのお薬で、かなり改善した患者さんがおられます。

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生物学的製剤は、抗TNF剤と抗IL-6剤に分かれます。
今夜は抗IL-6剤の可能性を感じる勉強会でした。
「アクテムラ」の恩恵にあずかる患者さんは多いと思います。

光ケ岡スペルマン病院の平林泰彦先生の講演を拝聴しました。
以下、医療者向けサマリーです。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

MTXからアクテムラの時代!?


【TNF阻害剤VS
IL-6阻害剤の時代】

4種類の生物学的製剤が出て、リウマチ治療に大きな変化がおきた。

ここでやっと本物の薬が出てきた感がある。

アクテムラの臨床効果について、平林先生は
ご自身の140例のアクテムラ症例の経験を話された。

【臨床検討】

140例投与で、無効や2次無効例は1例も無かった。(これはスゴイ話)

ステロイドは5mgであれば2年かけて漸減してオフする。

メソトレキセートを飛ばしてアクテムラ投与例もある。

基本的にアクテムラ単独投与で、DAS28も、CRP、血沈も改善する。

活動性が低い群では3回目投与あたりから改善する。

【副作用】

レミケードやヒューメラにはBSEの問題がある。

アクテムラは大阪発なのでそのような問題は無い。


結核発症の合併症も無い。

TNF阻害剤は結核の播種性増殖を増長させる。


IL-6
アンプ(ポジテイブフードバック)をダイレクトに阻害する。

アクテムラにより血清VEGF濃度は低下する。

活性化血小板が関節内で増加しているが、それを抑える。

IL-6阻害剤には、TNF阻害剤とは違う作用がある。

【考察】

IL6阻害剤は実によく効く生物学的製剤のようだ。

レミケードもエンブレルもMTXと併用が必須条件である。

しかし、間質性肺炎のある方には、MTXが使えない。
そのような患者さんは結構多い。
そうなるとアクテムラしか使えない。

【その他、副次的な現象】

Hbは1以上増加する。炎症性貧血を改善させる。

血小板は減少する。

HPの除菌で改善する症例もある。

リウマチの調子が良くなると、よく食べて体重が増えてメタボになる。

コレステロールの上昇を見る方が多いのでゼチーアを投与する。

【実際の投与法】

8mg/kgを1時間で点滴投与する。

初回から第二回まで3週間。それ以降は4週毎とした。

3週目ぐらいでアクテムラ切れになる症例が多い。

【口腔ケア、副鼻腔炎の重要性】

・関節リウマチと歯周病との関連も重要。
 タバコなどもっとのほか。

常に歯からの菌血症を合併している症例もある。

・慢性副鼻腔炎の合併例は、耳鼻科との併診を。

【他剤からのスイッチング】

・レミケードおよびエンブレルは2次無効にも、アクテムラはよく効く。

IL-6シグナルはRAシグナルのボトルネックか!?

【ハイリスク症例へのアクテムラの投与】

・82歳発症のRA女性例。

・感染症のチェックは必須。胸部CTも必須。

・アミロイドース症例にもよく効く?

【まとめと私の感想】

これまではDMARD早期投与でも関節破壊は止められなかったが、

関節炎の進行を止める薬がついに出てきた。

アクテムラは、一味もふた味も違う生物学的製剤と言えるだろう。

ハイリスクの高齢者リウマチ患者さんに、アクテムラは福音となるだろう。


アクテムラはRA治療のファーストラインとなるべき薬である。

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