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高専賃の憂鬱

2010年08月22日(日)

最近、都市部では高齢者専用賃貸住宅(高専賃)が増えてきました。
基本的に、マンションであり、個人住宅です。
しかし、そこには、いろんな問題があるようです。

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当院は在宅医療を行っていますが、口コミが半分、紹介が半分です。
医療の基本である、フリーアクセスとご縁を大切にしたいと考えています。
これまで、あの有名な「高専賃」とは、ほぼ無縁でやってきました。

昨日の午後、熱中症の老人を往診していると、
ある高専賃の管理者から連絡があり緊急往診しました。
今すぐ長尾先生に主治医を変わって欲しいという入居者がいるとのこと。

急いで駆け付けると、老人は比較的元気でした。しかし
これまでの在宅主治医に相当な不満があるようです。
鬱積した不満を初対面の私にぶちまけ始めました。

在宅主治医とは、はるか遠くの、私も聞いたことのない在宅専門クリニック。
2週間に1回、形ばかりの回診に来るそうです。
主治医と提携している薬局からお薬が出るそうです。

その施設は、当初は、その主治医が担当することが、入居の条件だったとか。
しかし、聞けば聞くほど、首をかしげることばかりでした。
特に、急変時の対応を謳いながらも、実際は何もしていない。

近隣の病院との連携にも、全く関与してくれないそうです。
救急搬送病院の手配にも、全く関わらない。
施設のケアマネ達が一生懸命探すそうです。

「転倒し打撲した」と電話すれば、診察もせずに、湿布が処方され、
「熱が出た」と電話すれば、診察なしで、風邪薬が届けられるそう。
実際に診ないで処方するのは、おかしいのでは?と施設管理者は言いました。

要するに、緊急時の往診対応が全くないようです。
急変時の修羅場を経験した家族らは、その在宅専門クリニックに
大きな疑問を持ち、当院に変更を申し出てこられたようです。

最近、このパターンが増えています。

当院だって、緊急対応には、365日苦労しています。
緊急対応こそが在宅医療の要だと、いつも講演して回っています。
しかし、その在宅専門クリニックは、かなり問題があるようです。

帰りがけに、もう一人の主治医も突然頼まれました。
どうやらそこには、介護はあっても、医療は無いようです。
いや、一応あるのですが、緊急対応が無いに等しいのです。

ましてや、「訪問看護」などは、そこには存在しません。
あちこちで、「在宅医療の主役は訪問看護師」と叫びまくっていますが、
訪問看護が存在しない在宅医療とは、ルーの無いカレーのようなもの。

ひょんなことから、今流行の「高専賃」と関わることになりました。
この春から、悪徳在宅医のトバッチリを受けて、集合住宅へ複数患者さん訪問の
場合の診療報酬が、830点から200点に大幅値下げされました。

私はこれは悪徳在宅医駆逐のためには、しかたがないことだと思います。
全国在宅療養支援診療所連絡会に、再三再四、このような悪徳在宅医や
在宅ビジネスを内部で取り締まる「自律」を提案しましたが、なんともなりません。

在宅連絡会は、このままでは、日本医師会の二の舞です。
まだ小さな組織なのに、自律性が全く発揮できません。
このままでは、改革者どころか、存在感、存在意義さえ怪しくなります。

診療報酬大幅引き下げで、経済的な理由で在宅専門クリニックが引き揚げて、
私に出番が回ってくるなら、これも御縁と考え、引き受けようと思いました。
あくまで自然体で、御縁ある尼崎のひとたちと関われたら最高です。





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この記事へのコメント

ショックでした!
元ケアマネとして、いろいろ調べてきたつもりです。

見守りつきアパートメントの形で、主治医も介護サービス事業所も自分で選択できるという点が、自由度が高い。もし必要なら介護保険オーバー分は自費でサービスを受ければ良いし、それで生活維持出来れば、アパートなんだから終末期まで住み続けられる(認知症で他人に危害を加えるようになったら退去)というのが、これまで調べてお返事をいただいた内容です。費用は家賃と管理料。食事は利用に応じて支払う。介護費は自己管理。

主治医を指定して、それが入居の条件だったなんて! 賃貸なのにそこまで言うのは人権侵害だし、自分の命を他人が決めたお医者様に預けたくありません!

今ブラックボックスのふたが開いた感じがしています。
内心、入居しても良い一つの選択、と考えていたのに…事前調査が大事ですね。
ただ入居のための大金を払う必要ないので、一度家に逃げ帰ってまた探してみることができる点が、家を売り払って入る(市民レベルの話)有料ホームと違うところです。
突入&潜入ルポ、これからもよろしくお願いしますね。
それにしても診療報酬の大大大巾ダウン、ひどいです!(怒)

Posted by 梨木 at 2010年08月22日 09:57 | 返信

大変関心があるので、再度のコメントお許し下さい。
高専賃は介護の必要がなくても入れるし、管理のサービスはコンシェルジェのレベルと理解しています。一般にその程度の管理費になっているよう。クールな言い方になってしまいますが、入居者の過度の期待もあったのでは?

今回のケースで不思議に思った点、いろいろありました。
「施設のケアマネ」が搬送先を探す? どこの施設のケアマネでしょうか。
二週間に一回の回診? 不要不満なら断れないのですか。
転倒し打撲に湿布? 福祉タクシー呼んでヘルパーと整形医受診は出来ない? etc.

自由な分だけ(=介護費を支払っていない分)プラスもマイナスもあり、在宅主治医の選択も含めて自立が(本人orキーパーソンor後見人)求められる形態ではないでしょうか。
その形態(見守りつき建物内個室で独居)が、見守りなしで自宅で独居と比べ、家賃・管理費に見合うQOLを提供しているのか、していないならどう改善すれば良いのか。期待するところが大きいからこそ考えていきたいです。

現在は毎朝起きたら「元気です」写メールを送信していますが(突然死もありえる!)
私も含め友人間で「死ぬのはしかたないとしても腐るのは嫌」という声が多い。
さりげなく、管理室でドアの開閉めや水の使用で、安否を確認してくれるのは魅力的。
不必要にかまわれず自由なプライベート空間を保持しつつ、常に人の気配を感じられる住み方って良いかも。高専賃の実態が知りたい! 時々教えていただけると嬉しいです。

Posted by 梨木 at 2010年08月22日 07:44 | 返信

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