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在宅医療における糖尿病管理

「全人的医療としての糖尿病学」を目指して

2010年09月07日(火)

今夜は、「在宅医療における糖尿病管理」について、ある会でお話ししました。
病院や外来医療における糖尿病管理は、血糖の世界のごく一部に過ぎない。
インスリン患者さんが、死ぬまで在宅でどうやって過ごしているか
エライ先生は知りません。そもそも、興味がないでしょう。

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独居で、目の不自由な、認知症の患者さんが、
エライ先生から複雑なインスリンの打ち方で、
ザイタクに帰ってきます。

エライ先生は、まず認知症であることに全く気がついていません。
さらに独居であることを忘れています。
「生活」という視点がないのです。

家には、未使用のインスリンが何十本も転がっています。
打っていると言っていますが、どうも全く打っていない様子。
当然コントロールが悪いから、エライ先生はインスリンを増やします。

こんな笑い話のような光景が繰り返されている。
糖尿病外来から排出される、末期肺がんや末期膵臓がんも
「血糖を診て人を診ず」の象徴。

いったい誰がインスリンを4回も打つの?
正しく打ったかどうか、誰が確認するの?
人間の生活が想像できないエリート医師たち。

飲み薬も沢山出ます。
認知症患者さんは、箱に分配しても1週間分まとめて
飲んだりします。低血糖になります。

だから家に帰った途端に、エライ先生の処方は無視します。
独自の安全な方法を、看護師と相談しながら考えます。

在宅医療にかるような患者さんには、血糖管理は不要だろう
と考えている人も多い。
全く反対です。

最も簡単で安全な方法で、うまく血糖を管理して、
寿命を延ばすのが、在宅医学。
素晴らしいデバイスの恩恵は等しく受けれるはず。

認知症の主な原因は糖尿病。
脳梗塞の主な原因も糖尿病。

だから在宅医療と糖尿病は切っても切れない大変深い関係にある。
しかしエライ先生方は、下流の医療には、あまり関心が無い様子。

大幅な進歩がある糖尿病学は、超元気なひとを対象としている。
そんな病院に自力で通える人は、元気な人。
弱った人や寝たきりの人のことを考える「糖尿病学」はみたことない。

がん拠点病院が、がんの終末期についてあまり知らないのと似ている。
がんでどのように死ぬのかあまり知らない、興味もない、がん専門医。
だから血糖を専門とするなら、人生の終末までの血糖を考えて欲しい。

「全人的糖尿病学」について語った、つもり、の夜でした。

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