ちょうど演歌の伴奏が始まったところに私が訪問しました。
ちらっと私を見ましたが、歌い出すことを止めませんでした。
私よりカラオケの方が、優先順位が上であることが分かりました。

最後まで一生懸命歌い終わり、
紅潮した顔を向けて私に言いました。
「先生も一曲、歌いませんか？」

一瞬、歌おうかとも思いましたが、
往診先でカラオケを歌う医者は、一生、お笑い草になると考え、
なんとか思いとどまりました。

第一、患者さん2人と管理人さんしかいない部屋で
昼間から感情を込めて歌うのは、どう考えても、ヘンです。
きっと馬鹿にされるでしょう。

その患者さんは、診察後も、歌い続けけていました。
カラオケ療法は、体にとてもいいから、頑張ってね！と、
言いました。

なんとものどかな午後でした。