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今時、珍しい、ホルモンの勉強会

2010年10月21日(木)

私は、大阪大学で、消化管ホルモンの研究で学位を授与されました。
糖尿病の勉強会は数あれど、ホルモンの勉強会は、あまりありません。
今夜は、第22回尼崎内分泌糖尿病セミナーの司会を務めました。
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前半の講演2題は、県立尼崎病院の先生の御発表でした。
まず、糖尿病患者さんのヘリコバクターピロリー除菌時には
低血糖に注意という講演。

クラリスやタケプロンには、特に注意が必要です。
次に、中枢性副腎不全を見つけるためにどうしたらいいかの講演でした。
全身倦怠感、繰り返す発熱、そして低血糖を見れば、疑わなくてはなりません。

ACTHやコルチゾールを測定するのですが、
やりすぎると、過剰検査と言われます。
この辺のバランス感覚が必要です。

特別講演は、東北大学の、小川晋先生。
糖尿病性腎症の管理におけるカルシウム拮抗剤の役割
について、詳しく御教示頂きました。

熊本大学の小川先生はアテンプト試験で、テルミサルタンを推奨し、
東北大学の小川先生は、今夜の講演で、オルメサルタンを推奨されました。
本当のところ、実は、まだ何も分かっていません。

さらに、糖尿病性腎症は、いったい誰が診るのか?
年下のドクターに大変意地悪な質問をしてみました。

糖尿病専門医?
循環器専門医?
腎臓病専門医?

小川先生は、「診たいと思う医者が診ればいい」
と答えられました。

現在、この問いに、ちゃんと答えられる医者はいないでしょう。
大病院の医師は、どうしても他科の医師に遠慮してしまいます。

まさに「総合病院に総合医療なし」が、現実です。
医学界の幹部におられる先生には、
是非ともこの命題に真摯に対峙して欲しいと、願います。

以下、小川先生の講演サマリーです。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


尿蛋白は患者の腎臓の運命を決定する!

減らせば透析導入が減る!

それで腎臓病患者さんの運命を変えれる


腎保護とは、脳梗塞や心筋梗塞を起こさないこと。

だから腎臓を守ることは命を守ること、と言える。

 

厳格な血糖降下に加えて、

血圧の低下が重要。


ARBは容量依存的に腎を保護する。

 

 

糖尿病患者の腎臓を顕微鏡で見ると

糸球体が大きく

メサンジウムが多い。

 

足突起(Podocyte)の消失がある。

その足をちょん切るのは、マクロファージ

基底膜の肥厚も見られる。

 

糖尿病性腎症の原因は、高血糖である。

 

血糖が高いと

糖化蛋白が増加。

AGE

RAGE

NADPHoxidase増加、を経て

活性酸素(ROS)が増える。

 

増殖と炎症が、糖尿病性腎症の本質。

TGFβ

MCP-1(単球)⇒マクロファージに変化

炎症性サイトカイン

リンパ球浸潤

ICAM1,VCAM1活性化
などが、キーワード。
 

AngⅡはROS増大を介して腎障害を進行させる。

(高血糖とは独立して起こる)

  

CCBをコントロールに用いたら、

AgⅡの著明な低下がみられた。

AgⅡレセプターは全身にある。
心筋、腎臓、近位尿細管にも分布する。

 

傍髄質糸球体血は、血圧に依存する。

一方、皮質表層糸球体は、血糖に依存する。

糖尿病性腎症の進展抑制のためには、

血糖と血圧の両方を抑えないとダメ。

血糖には、インスリン等で、
腎保護、たんぱく尿減少には、ARBで対応すべき。
しかし、厳格な降圧には、ARBよりCCBが有効。

CCBの中では、酸化ストレスマーカーで見れば、
カルブロックが最も有効。

オルメテックとカルブロックの合剤である、
レザルタスへの期待がよく理解できた。


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