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抗インフル薬にマクロライドを併用する理由

2010年12月02日(木)

今夜は、徳島大学の木戸博教授の講義を拝聴。
私ごときが言うのは不謹慎だが、研究熱心で素晴らしい医師だった。
もちろん関寛斎のこともよく知っておられた。
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開業医がなぜ、インフルに感染しないのか?
いや、インフルワクチンを打たないのか?
今日の講演で、今までの謎が解けた。

タミフルにマクロライドを併用するといいことは何度も聞いていた。
今夜は、その論理的背景を、じっくり教えて頂いた。
マクロライドは、抗インフル剤の弱点を補う。

インフルエンザ研究は、感染症研究のモデル。
さらに、炎症研究のモデルでもある。
基礎研究は面白い。

【タミフルを使うと抗体ができない】

どうやらこれは真実のようだ。

タミフル/リレンザは、Buddingを止めるが、
ウイルスが細胞に入ることを止めない。
⇒免疫が出来ない=再感染し易い

タミフルを使うと鼻汁中の抗インフルIg-Aは上がらない。
マクロライドを併用すると、免疫が出来やすい。
繊毛運動も刺激するので、去痰作用もあるし、抗炎症作用もある。

マクロライドは、抗インフル剤の弱点を補う。

【インフルエンザ脳症とトリプシン】

インフルは、全身の各臓器が微量に発現している
消化酵素の「トリプシン」を、激しく誘導する!

トリプシンは脳のどこに発現しているのか?
⇒海馬の神経細胞に、トリプシン遺伝子が強く発現している。

昔、アプロチニン(=トラジロール=トリプシンインヒビター)
という薬があった。
牛の肺から作られた薬だが、製造中止になっている。

今、これがあったら、脳症に使えるのに・・・
現行のフォイパン(ロングハーフタイムのトリプシンインヒビター)では、
あまり効果が期待できない。

インフルに感染すると、まず最初にサイトカインが誘導される。
⇒NFκーBを介して、トリプシンが誘導される。

血液脳関門(BBB)の、タイトジャンクション(ZO-1)が破壊される。
⇒ウイルスが、脳、心に入り放題になる。
ちなみに、心筋にもトリプシンが発現している。

そして、ミトコンドリアの不安定性⇒ATPの低下と悪循環に陥る。

【インフルは血管内皮細胞を障害する】

血管内皮細胞は、エネルギー源の70%を脂肪に依存している。
糖尿病が、インフル感染のハイリスクとなる。

重症インフル脳症の60~70%に
遺伝子多型の集中が見られた。
(CDT2、UCP,ATPsynthaseの遺伝子多型)

熱に弱い人=日本人に多い
F352Cというアミノ酸変異(遺伝子多型)がその原因。

すなわち、脳症になり易い人となりにくい人がいる。
末梢血のATPを測定する機械=ATP Kitで測定が可能。

【血管内皮細胞のパーミアビリテイ】

これが障害される
=タイトジャンクションの破壊
⇒パーミアビリテイの亢進

これは、細菌感染でも同じ。
炎症に共通と言うべきであろう(これは私見)

思わず、クロンクハイトカナダ症候群を
思いだした。木戸教授はご存知なかったが・・・

最後に、中国人留学生は
一生懸命研究するそうだ。
一方、日本人は、・・・

研究でも負けている??


【私の質問】
Q1 ワンデイタイプの、新しい抗インフル薬も同じか?
A 基本的には同じ

Q2 アジスロマイシンも同じか?
  またワンデイタイプのマクロライドも同じか?
A データは無いが、マクロライドは、同じであろう。
 




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この記事へのコメント

「貝原益軒の(養生訓」は既に分子生物学の極意を得ていた??すごい
腹8分目、少食(空腹を感じる事) 寒さを感じる事 背筋を伸ばす 有酸素運動
すべてミトコンドリアを増やす方法を見抜いていたのではないでしょうか?

 どうもウイルス感染後疲労症候群PVFSはエネルギー代謝を低下させ ミトコンドリアを損傷させる
らしい 慢性疲労症候群やポリオ後症候群も 同じようなメカニズムで 全身疲労 全身倦怠感が生まれるようですね 問題はどうすれば弱ったミトコンドリアを元気にするか?
 やはり 貝原益軒の思想に戻らなければならないかも?

Posted by サブ at 2011年11月10日 04:54 | 返信

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