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気温４度。
鼻水が出てくる。
石黒さんと彼の友人について、３ケ所を回った。

石黒さんの車のトランクには、寝袋が詰まっていた。
お２人は寝袋を５、６個持ちながら、
「失礼します。寝袋はいりませんか？」と優しく声をかけながら回っておられた。

ホームレスの方は、意外にもあまり熟睡していないようだ。
石黒さんが呼びかけるとすぐに返事が返ってきた。
結構、若い人も多かった。

咳をしている人も多い。
肺炎が心配だ。
何も出来ない自分が情けない。

故・矢島さちゃん先生は、ここで頑張っていたそうだ。
自分のお金で薬を買って、配っておられたと聞いた。
なんとも言えない気持ちになった。

天王寺動物園周辺、釜が崎周辺、飛田新地周辺の
３ケ所を、お２人について回った。
飛田新地の華やかさは、長尾クリニック裏にある、かんなみ新地の比では無かった。

天王寺駅周辺には、３０名ぐらい？
釜が崎には、１００人くらい？
飛田新地には、２０人くらい？のホームレスの方が寝てられた。

公称、２５００人と言わている、大阪のホームレスの方々。
夜の９時と、深夜１時では、人口が２倍に増加するそうだ。
温かい地下街から追い出された人が、深夜に上にあがって来るらしい。

１０年前は年間２００人ものホームレスの方が路上で亡くなっていたそうだ。
しかしこの数年、ホームレスの方は減ってきている。
セイフテイネットの発達より生活保護で、救われたひとが多いそうだ。

しかし中には、生活保護を拒否する「骨のある？」ホームレスの方もいると聞いた。
「あんなもん貰ったら、生活が堕落する！」（？？）
１万円札とは無縁だったひとが、ある日から、銀行口座に１２万円も振り込まれる・・・

これに目をつける悪いひとは、、、、必ず、いるだろう。
目をつけられないひとは、パチンコや酒で、パーっと使う。
まあ、大きな目でみれば、景気対策なのかな？

こんな地道な活動を、１０年間も続けてこられた、石黒さんには頭が下がる。
いつもは「往診」を教えている自分が、今夜は、石黒さんに
ホームレスの方への接し方、寝袋の配り方を教えて頂いた。

金曜日は、天王寺から石黒さんらの活動は始まる。
どこかレトロなこの町は、尼崎で充分慣れているはずの自分にも新鮮だった。
有名な飛田新地を寝袋片手にうろつくだけでも、楽しかった。

いろんな家があるように、いろんな「簡易スペース」があった。
壁だけのもの、屋根が付いているもの、
部屋が２つあるものなど、いろいろな形態があった。

自分の家があるひともいると言う。
諸事情で家に居られないひと、家から追い出されたひと。
介護放棄というより、同居放棄にあったひとたちも、ここにいるという。

あと、破産されたり、蒸発したひともおられると。
たしかに、ここなら、身を隠せる。
私も、いつか、ここでお世話になるかもしれない。

自分も、昔、何度か路上で寝たことがある。
３畳一間に住んでいた時は、布団が買えず、寝袋で寝ていた。
遠い昔が蘇ってきた。
寝袋を２つもらい、ひとつを枕にしているひともいた。
これは、ちょっと贅沢。
釜が崎の夜は、暗くて寒くて寂しかった。
いろんな人が寝ていた。
炊き出しに集まる人の中には、生活保護受給者もいるそうだ。
自分もそのうちそうなるのかな？

本来は、ドカチンの集合場所。
ドカチンは、自分も昔（１９歳時）、やっていた。
「ドカチン」は、差別用語らしい。

昔、出版社に怒られて「日雇労働者」に変えたことがあった。
「ドカチン」のほうが、味があるんだけどな。
派手な飛田新地を出ると、これまたド派手な「玉出」の看板が目に飛び込んだ。
長尾クリニックの隣の「玉出」より、かなり派手だ。
ここは、ラスベガス？
この付近には、３、４件の「玉出」があった。
妙な親近感を覚えた。

明日は東成で講演だ。
しかし西成が気になる。

風呂嫌いで、いつも同じ服を着ている自分の
ホームレス願望が、さらに強くなった。

これからも大阪のあちこちでボランテイア活動に精を出される
石黒大圓さんに、エールを送りたい。
石黒さんは、ホームレスの人から学ぶことは多いと言う。

この謙虚さこそ、自分が学ばなければいけないところだ。